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音楽全般について 素人臭い能書きを垂れてます
プログレに特化した別館とツイートの転載もはじました

HEAVEN 17 / Higher And Higher(the best of -)

2005年05月18日 23時04分38秒 | ROCK-POP
 ヘブン17というと、80年代にヒューマン・リーグから分家したテクノ・ユニットで、本家よりヒューマン・リーグらしいというか、ヒューマン・リーグの実験面と音楽マニアな側面を継承したバンドとして玄人受けするバンドとして知られていたと思います。こういう名義上は分家なんだけど、実質的には本家より正統性がある....みたいな関係って、調度、ウルトラ・ヴォックスとジョン・フォックスとか10ccとクレーム&ゴトレーなんかもそうだと思いますが、ブリティッシュ・ロックってこういうの実に多いですよね(笑)。

 ともあれ、実に久しぶりにヘブン17を聴きました。ひょっとすると20年ぶりくらいになるかもしれません。この作品は93年に出た彼らのベスト盤なのですが、あまりに久しぶりなので、まるで初めて聴くようです。自分の記憶だと、ヘブン17って基本的には実験バンドといった印象だったのですが、改めて聴くと「えっ、こんなでしったけ?」と思うくらいにポップな感じなので少々驚いてるところです。これって、おそらくは彼ら以降に出てきた、例えばスクリテッティ・ポリッティ等が大ヒットしたせいで、テクノ的なリズムで翻訳されたソウルみたいな音楽が一般化した結果、そう感じるんだと思いますが、それにしても当時感じた「ひきつったような感じ」、「神経症的なリズム」、「異様に低カロリーな音楽の温度感」のようなものがこれほど違和感なくなっているのは、時間の流れを感じさせずにはいられません。ともかく、非常にセンスは良いごくまっとうな英国産ホワイト・ソウルに聴こえるんですよ。

 もっとも、このアルバム、どうやら12インチ・シングルのヴァージョンを主体に構成されているようで、1曲目は「Temptation」なんて、まるでエニグマみたいな雰囲気に作り替えられてますし、2曲目の「Fascist Groove Thang」はまるで90年代初頭の頃のハウスっぽい感じに再構成されたりしてますから、ひょっとするとここに収録されたリミックス・トラックは、ひょっとすると90年代に行われたマテリアルなのかもしれませんから、今回普通に聴こえたのは、そのせいかもしれませんが....。ともあれ、そうしたヴァージョンに絶妙なさじ加減でオリジナル・ヴァージョンを配置するあたり、なかなか巧みな構成というか、ヘブン17の知能犯ぶりがよく出ているところだと思います。とても楽しく聴きけました。こうなったらオリジナル・アルバムも買っちゃおうかな。 
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XTC / BBC Radio 1 Live In Concert

2005年05月14日 00時06分36秒 | ROCK-POP
 XTCは70年代終盤頃パンク/ニューウェイブの一角を担うバンドとしてデビュウ、他のニュー・ウェイブ・バンドから一頭地を抜けたシャープでエキセントリックなサウンドを持ちつつ、次第に知能犯的ポップ・センスを持つバンドに変貌、現在ではリーダーのアンディ・パートリッジの趣味性に全面に出した、ロック職人工房みたいな形で活動している訳ですが、この作品はそんな彼らが1980年に行ったイギリス国営放送用のパフォーマンスを収めたライブです。

 1980年といえば、XTCがニューウェイブ・バンドだった頃の調度最終期にあたりますが、ご存じのとおり彼はその後、ライブ活動を一切停止してしまいますから、両方の意味でとても貴重な記録といえます。イギリス国営放送は60年代から、メジャー、マイナーを問わず、ロック・バンドのこうしたライブ・パフォーマンスを記録してきた訳ですが、ここ10年くらいこうした音源が次々とCD化されていることからも分かるとおり、こうした記録はもはや英国の国宝的な価値があるものといってもいいでしょう。ブリティッシュ・ロック・ファンはBBCに感謝しなければなりません。

 さて、このアルバムですが前述のとおり、1980年のライブで、タジオ録音のアルバムだと第4作「ブラック・シー」に前後する時期ということになろうかと思います。曲目もほとんどが「ブラック・シー」と前作「ドラム&ワイアーズ」から曲で構成されていますが、とにかくここでの演奏は圧倒的です。ニュー・ウェイブ的にソリッドなところと、XTC流のポップ・センスがほど良く具合にバランスしているのは、この時期ならではといえますが、2本のギターの張りつめたテンション、リズム・セクションの前へ前へとせり出していくかの如き推進力などは、「ブラック・シー」や「ドラム&ワイアーズ」に収録されたオリジナル演奏を、ほとんど聴き返す気を失わせるくらいです。

 実は私、1979年に日本青年館だったか、彼らの初来日を体験できた者なのですが、記憶をたどってみると、あの時は、こんなイキが良く、すっきりとシャープにまとまった演奏ではなく、もう少し、ゴツゴツした、とっ散らかったようなものだったような気がします。まぁ、その一事で全てを判断するのは危険でしょうが、おそらくブィープ・パープルの「ライブ・イン・ジャパン」と同じよう、ディスクで聴けるようなテンションを保っていたのは、XTCといえどもごく短期間だったんじゃないでしょうか。そう考えると、このパフォーマンスの収録というのは千載一遇だったのかもしれませんね。

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ELTON JOHN / Live In Australia

2005年05月08日 11時55分08秒 | ROCK-POP
 1970年代頃、ロックの映像情報が圧倒的に欠乏していたの日本のロック・ファンがその渇望を癒すべく、貪るように観ていたのが、NHKが不定期にやっていた「ヤング・ミュージック・ショー」という番組。ストーンズの「ハイド・パーク」に、クリームの「ラスト・コンサート」、「スーパー・セッション」などなど、この番組には本当にお世話になりました。そんな「ヤング・ミュージック・ショー」で忘れられないプログラムのひとつが、73年に放映されたエルトン・ジョンのオーケストラ帯同ライブ。

 当時のエルトン・ジョンって、「クロコダイル・ロック」なんかをヒットさせ、シンガー・ソング・ライターっていうイメージじゃなく、むしろグラム・ロック的にギンギラギンなシンガーってな感じでしたから、こういう格調高いライブでもって、改めてエルトン・ジョンのイメージが更新されたというか、矯正されたのでした(実はそのどっちもエルトンの実像ではあることは周知の通り)。いずれにしても、この番組を録ったテープを私は毎日毎日飽きずに聴いて、その後、名作「エルトン・ジョン」を購入して、その次に....という経緯をたどってますから、当時ラジオで盛んにオン・エアされていたシングル・ヒットを除けば、この「ヤング・ミュージック・ショー」の音が、私の本格的エルトン・ジョン初体験だったという訳です。

 ところがこの映像、その後観たこともないし、音源がCD化されたという話も聞いたこともありません。もう一回あれを観たい、いや聴きたい....。思えば、そんな渇望をもう20年くらい抱き続けている訳ですが(笑)、87年にそれを半分くらい満足させてくれるかもしれないアルバムが発売されました。それがこの「Live In Australia」というライブ盤なのです。
 このアルバム、録音は85年と新しいものの、72年頃のオーケストラ帯同コンサートを再現したツアーを収録したライブ盤ということで、大いなる期待のもとに購入した訳ですが、結果は無惨でした。なにしろ、エルトンのボーカルが潰れてかすれ気味で、高域がほとんど出ていないという非常に苦しいコンディションだったんです。曲は72年頃のものばかり、デジタル録音でオーケストラの音はとてもブリリアントと、お膳立てはすべて揃っていたハズで、オーラス前に「布教本部を焼き落とせ」でもって、大いに盛り上がるあたり、あの時と全く同じ趣向だっただけに、なんとも残念でした。(あっ、そうそう、その後「ヒア・アンド・ゼア」の拡大版も出たましたけど、あれのディスク1にオケが入っていたら、かなり近い線だったんですがね~)。

 という訳で、この「Live In Australia」からですらもう十数年経つのに、私は未だに「ヤング・ミュージック・ショー」の映像と音に再会できていません。近年の「ワン・ナイト・オンリー」など聴くと、仮に今あれと同じことをやっても、「Live In Australia」以上に声は出ないことは必至ですから、おそらく再現というのはありえないでしょう。となると、オリジナルが発掘されるまでは、この作品で我慢するしかないのでしょうか。なんか最近では、ヤング・ミュージック・ショーと「Live In Australia」が記憶が浸食し合っているようで、「あれ、ヤング・ミュージック・ショーのオープニングは「ユア・ソング」だったっけ、それとも「60歳の時」?」みたいにごちゃごちゃになってきてます(笑)。こうなったらブートに手を出しちまおうかなぁ、いや、いかん、いかん....などと煩悶しながら、今日も私は「Live In Australia」を聴くのであります。

 ※ 個人的メモ:ヤング・ミュージック・ショー/エルトン・ジョン
   収 録:72/02/05、ロイヤルアルバートホール / 放映日:73/10/28、74/03/23
   曲 目:Your Song/Take Me To the Pilot/Sixty Years On/Tiny Dancer/The King Must Die/Indian Sunset/Border Song/Madman Across the Water/Burn Down The Mission/Goodbye
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DEEP PURPLE / Machine Head (DVD Audio)

2005年05月07日 14時51分41秒 | ROCK-POP
 ディープ・パープルはロジャー・グローバーを中心に旧作のリマスター(リミックスを含む)が順次進行中ですが、その副産物?としてしばらく前に「マシーン・ヘッド」がマルチ・チャンネル化され、DVD-Audioとして発売されてます。これまで2chのパートしか聴いたことがなかったので、今日は5.1chのパートを聴いてみました。

 一聴して感じるのは「こりゃもう、別物じゃねぇか」ですかね。「ハイウェイ・スター」のオルガン・ソロの前半でぐるぐる回るのは当たり前。ともかくその異様なほどの分離の良さは、自分がティー・エイジャーの頃聴いていたパープルの「マシン・ヘッド」のあの音じゃありません(笑)。どうやらオーバーダビングされたギターやオルガン、バック・ヴォーカル等を積極的にリアに割り振っているらしく、重ねた音が他のチャンネルに行った分、メインの音がぐっとリアリティを増したといったところなんでしょうが、なにしろこの三次元的に音が再配列された「マシン・ヘッド」は、良くも悪しくも違和感ありまくり!。

 例をあげれば、「スモーク・オン・ザ・ウォーター」ではギターのリフは、左チャンネル、途中からユニゾンするオルガンはサブ扱いなのか右後方、歌が始まると右チャンネルみたいな配列だし、「スペース・トラッキン」の中間部ではタンバリンが左後方に出てきたりします。ついでに、アルバムを通してヴォーカル、スネア、ベースはセンター・スピーカーはぴたりど真ん中に定位、特にベースは左右からは全く聴こえずセンターのみということで、左右のチャンネルの音からベースが抜けた分、やけに風通しがよくなってます。ついでにライドやハイハット類が前方と後方の真ん中、つまり頭の真横あたりで定位して鳴っているのも、立体感に拍車かけてます。

 そんな訳で、これはこれでアリだとは思うし、まぁ、おもしろいのも確かなんですけど、マルチ・チャンネル・ソースって、まだまだ過渡期なんだろうな、と思うのもまた事実。クラシックみたいに、ホールの音を丸ごと録るってのには適しているのかもしれないけど、マルチトラックで音を重ねまくったソースってのは、リミックスする人の嗜好、センスでどうにでも変えられますからね。とにかく、沢山の人に聴いてもらって、マルチ・チャンネルの音のコンセンサスが出来上がるのを待つか、とんでもない傑作が出てきて流れを決めるしない....とも思ったりしてますが、どうでしょうか?....ってーか、そもそもマルチチャンネルが定着するかという問題も、現段階では依然として不透明ですけど(笑)

PS: ちなみに2chの方ですが、CDのリマスター盤より繊細な音です。押しやコシの強さはCDの方がしっくりきますが、イアン・ペイスのシンバルの粒立ちなど、さすがCDにはないHiFi感があります。
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ブラッド・スウェット&ティアーズ/血と汗と涙 (SACD)

2005年05月01日 13時55分39秒 | ROCK-POP
 ブラッド・スウェット&ティアーズ(BST)は、シカゴと並んで70年代初頭くらいの頃、「バンドの中に管楽器をやるメンツがいる」という理由で、ブラス・ロックなどと形容され、当時勃興していたニュー・ロックの旗頭的存在として一世を風靡しました。シカゴと違って彼らは、あっという間にシーンから消えていきましたが、69年に出した「血と汗と涙」というアルバムだけは、昔からロックのヴィンテージ・アルバムとして非常に高い評価を受けているものです。

 このアルバム、両端にサティの有名なジムノベティを配したトータル・アルバムとして体裁。既成曲をアレンジでリニューアルしていく手法、演奏テクニック、ロック的なダイナミックさ等々、様々な要素が非常に高いレベルで音楽に結実した完成度を誇るアルバム....というのは周知の事実ですが、現在このアルバムの音楽聴いて感じるのは、そういうテクニカルな面よりは、むしろ「このバンド昔から大人だったんだねぇ」って、割とミもフタない印象(笑)。

 例えば、「神よ祝福を」とか「ユーヴ・メイド・ミー・ソー・ヴェリー・ハッピー」なんて、今聴くとスティーリー・ダンに先駆けること数年という、ほどよくジャズのテイストを取り入れた極上のAORですし、当時大ヒットしたロック的な「スピニング・ホイール」「モア・アンド・モア」にしてから、豪快ではあるが、若気の至り的ロックとは対局にある、けっこう大人のロックなんですよね。
 こういうセンスって、今から思えば当時バンド居た2人のアレンジャーのものだったんでしょうが、普通ならそのままCTIやヴァーブ・レーベルのような音楽になってしまうところを、とにもかくにもロックにできたのは、やはりデビッド・クレイトン・トーマスのヴォーカルが、極めてロック的スピリットに溢れていたからなんでしょうね。職人的に完璧なアレンジとソウルフルなロック野郎のヴォーカルが出会った時、なんともいえない音楽マジックが発動したってところですかね。

 さて、今回、この名作をSACDで聴きました。前述のとおりAORとして聴けそうなくらい完成度が高く、情報量満載な音楽ですから、SACDのようなメディアがよく似合います。アナログ盤や従来のCDではややナロウ気味な音質でしたが、リマスタリングが巧くいったのか、音の立体感や抜けは従来に比べてかなり向上しているという印象です。具体的にはベースの音程が良くわかり、手数の隠れて従来聴きとりにくかったバスドラムも存在感が伝わってきますし、左右のチャンネルくっきり振り分けられたライド・シンバルやピアノやオルガンの粒立ちもくっきりしていて、鮮度感のようなものが感じるあたり、その最たるものでしょう。

 こうなると、ほぼこのアルバムに準じた完成度を持つ「3」、少々渋いが味わい深い「4」、もちろんアル・クーパー在籍時のファーストも、ぜひぜひSACD化願いもんですが、たぶん無理だろうなぁ(笑)。
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Best of FLEETWOOD MAC -featuring Bob Welch

2005年04月25日 00時02分04秒 | ROCK-POP
 ネット仲間でもあるくれるぼさんが、自身のブログのフリードウッド・マックの「フィーチャー・ゲーム」をレビュウしている記事で、ボブ・ウェルチ在籍時代のマックのベスト的な選曲を紹介しているんですが、おもしろかったし、度々このブログでもボブ・ウェルチを扱っていることからも分かるとおり、私もボブ・ウェルチ時代のマックの大ファンなので、真似して選曲してみました。
 くれるぼさんは60分テープというフォーマットで選曲しておられるようですが、私はCDRというメディアに収めるべく、つまり70分くらいを目安に選んであります。これはアナログ盤でいえば、大体3面分くらいの時間ですので、全体を3部に分けて構成してるあたりが、まぁ、ミソですかね(ついでに、音圧を上げて、多少EQいじくって、今時のリマスター盤みたいな音にしちゃいました-笑)。

 第1部には、くれるぼさんのと同じ理由で、ダニー・カーワンの曲が入ってます。「千年の女」,「ダスト」,「天国の光」は。個人的には彼の3大名曲です(でも「天国の光」は入れるところに困りました、ボーナス・トラック扱いで、オーラスした方が良かったかも?)。「フィーチャー・ゲームス」はウェルチ最高傑作のひとつですね。ドラマチックさでも「ナイト・ウォッチ」に匹敵します。
 第2部はボブ・ウェルチ在籍時の最高傑作「神秘の扉」から中心に構成。個人的にはクリスティン・マクビーが歌う007の主題歌として使えそうな「キープ・オン・ゴーイング」がお気に入り。
 第3部はその後のマックの方向性を予見する「シーズ・チェンギング・ミー」と問答無用の名曲「哀しい女」を前半、後半は「黙示」~「ナイト・ウォッチ」でドラマチックに盛り上がり、エンドタイトルのような「雨にぬれて」で締めくくる「ペンギン」の後半を圧縮して構成しました。
 それにしても、クリスティン・マクビーの曲は泣く泣くはずし、ウェルチやカーワンも、絞りに絞ってこれですからね。「この時期のマックにはほんとうには良い曲が多いです。

 [Part:1]
01.Woman of 1,000 Years(1)
02.Bright Fire(3)
03.Angel(5)
04.Future Games(1)
05 Dust(2)
06.Sunny Side of Heaven(2)
 [Part:2]
01.Emerald Eyes(4)
02.Believe Me(4)
03.Hypnotized(4)
04.Bermuda Triangle(5)
05:Keep on Going(4)
 [Part:3]
01.She's Changing Me(5)
02 Sentimental Lady(2)
02.Revelation(3)
04.Night Watch(3)
05.Caught in the Rain(3)
 ※ (1)=フィーチャー・ゲーム[`71],(2)=枯木[`72],(3)=ペンギン[`73],(4)=神秘の扉[`73],(5)=クリスタルの謎[`74]
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MAGAZINE / Real Life

2005年04月23日 00時04分32秒 | ROCK-POP
 マガジンはセックス・ピストルズと並ぶバンク・バンドだったバズコックスでヴォーカルを担当していたハワード・デヴォートがバズコックス脱退後に結成したバンドで、ポスト・パンクな時期、血筋といい、アーティスティックな音楽性といい、一群のニュー・ウェイブ・バンドの中では、一頭地を抜けたバンドだったように記憶しています。このアルバムは1978年に発表された彼らデビュウ作です。

 さて、このアルバムの特徴は、直情型のパンクをベースにしつつも、ハワード・デヴォートのシニカルで屈折したヴォーカルを中心に、デイブ・フォーミュラのカラフルな空間を作り出すキーボード、多分ベースのバリー・アダムソンがもたらせたと思わせる濃厚なアシッド風味、ニュー・ウェイブそのものといった感じのソリッドなジョン・マクギーのギター、そしてパンク的なパワーをテクノ的に翻訳したようなマーティン・ジャクソンのドラムスが複雑に混在した、音楽的情報量がやけに多い、独特なポップさを満ちた音楽になっていることでしょう。
 彼らはこの後、もう少し統一感のある洗練された音楽に移行していく訳ですが、そちらの方も非常に良質な音楽であるには違いないとしても、このアルバムの奇妙にアートしたとっ散らかった感触は、このアルバムだけのもので、現在聴いても実に新鮮です。

 印象的な曲を拾ってみると、1曲目の「Definitive Gaze」のカラフルで立体的なシンセが作り出すテクノ的感覚、3曲目の「Shot by Both Sides」のパンクそのものなパワー感。ついでにこれもパンクっぽい4曲目「Recoil」でのマーティン・ジャクソンのチープでつんのめりそうなドラムのカッコ良さ。バリー・アダムソンの映画&アシッド趣味が出たに違いない6曲目「Motorcade」と7曲目「Great Beautician in the Sky」、当時はあまり印象に残らなかったものの、今聴くとヨーロッパ的な叙情が意外にも濃厚で、ちょっとロキシー・ミュージックみたいな9曲目「Parade」などあたりが特に印象に残りました。

 という訳で、スウィング・アウト(マーティ・ジャクソン)絡みで久々に聴いてみた訳ですが、これは昔聴いた時より、今聴く方がはるかに味わい深いです。当時はたんなる先取りっぽい、流行りものくらいの認識しかなく、レコードも大分前に売り払ってしまっていたのですが、紛れもなく英国ロックの傑作だったんですね。うーん、脱帽です。


PS:正確に思い出せないんですけど、CDはレコードは後半の曲順が違うような気がします。確かレコードでは「Great Beautician in the Sky」が最後だったような気がするんですが、誰かご存じの方教えてくれませんか。
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スウィング・アウト・シスター/アナザー・ノン・ストップ・シスター

2005年04月16日 23時09分46秒 | ROCK-POP
 スウィング・アウト・シスターといえば、バブル華やかなりし頃登場した、いわゆる「オシャレな音楽」をやる洋楽バンドとして登場したバンドですが、個人的にこのグルーブで一番好きなのは、やっぱ大ヒット曲「ブレイクアウト」を含むデビュウ作です。
 彼らはご存じのとおり現在でも活動中ではありますし、むしろ日本で人気が定着したのはむしろ2作目以降という言い方もできるとは思いますが、2作目以降はバカラック、ソウル、映画音楽といった彼らの好きな音楽を、自分たち流に翻訳することにばかりに埋没してしまい、デビュウ作にあったきらびやかなポップ性だとか、緊張感のようなものがなくなってしまったような気がするんですね。

 実際このアルバムは、80年代初頭頃のテクノ・ポップの方法を上手にポップに応用したエレクトロ・ポップの傑作だと思います。昔、某音楽雑誌にこのアルバムを称して、スクリッティ・ポリッティとプロパガンタのデビュウ作と並んで80年代のエレポップ3大傑作....みたいな記事ありましたけど、同じこと考えている人いたのかとうれしくなりました。
 で、前述のエレポップ的にこのアルバムを考えると、マーティン・ジャクソンのドラムスと随所に仕掛けられたテクノ風なリズムの対比がまずおもしろいです。元々彼はマガジンというニュー・ウェイブ系のバンドでバンクなドラムを叩いて訳ですが、その彼がこうしたジャジーでソウルっぽい音楽指向するバンドで、ばりばりにシーケンスパターンを張り巡らせたアレンジの中、ドラムを叩いていること自体、そもそもミスマッチングだった訳ですけど、逆に言えばミスマッチングであるが故にこのアルバムには独特の緊張感とポップさが出たともいえる訳で....とまぁ、屁理屈はこのくらいにしておきますが、ともあれ、そのあたりは「ブレイクアウト」のイントロで聴けるパンクなドラムを聴けば、一聴?瞭然ですよね。

 ところで、これまで書いてきた彼らのデビュウ作はもちろん「It's Better To Travel」のことですが、実は私が好んで聴くのは、これをアルバムごと別ヴァージョン化した「Another Non-Stop Sister」の方。このアルバムはおそらく「It's Better To Travel」からシングル・カットされた曲の12インチ・シングル・ヴァージョン等ばかりで構成されていると思うんですが、全体にリズムが表に出したダンサンブルなものが多く、現在の感覚からするとこちらの方が楽しめます。「Blue Mood」をダブっぽいテクノ・アレンジで再構成してみたり、「Surrender」の途中でアート・オブ・ノイズっぽいロマンティックなアコピを入れてみたりと、オリジナルよりおもしろいくらい....
....と、ここまで書いて、ものはついでとばかりに、この2枚のデビュウ作のおいしいところを抜き出して、私好みのアルバムをでっちあげてみました。今、CDR化したものを聴いているところですが、いゃぁサイコーです。もうこれで2枚をとっかえひっかえしなくて済みます(ちなみに曲目は以下のとおり)。

01. Breakout (A New Rockin' Version) / 02. Twilight World (Superb, Superb Mix)* / 03. After Hours* / 04. Blue Mood (Dubbed Up Version) / 05. Surrender (Stuff Gun Mix)*

06. Fooled By A Smile (Ralph Mix) / 07. Another Lost Weekend (Long Version) / 08. Communion (Instrumental)* / 09. Surrender (Road Runner Mix) / 11. Twilight World (Remix)* / 12. Breakout (Horney Version)

*=It's Better To Travel
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Carly Simon's Greatest Hits - Reflections

2005年04月12日 21時49分28秒 | ROCK-POP
 カーリー・サイモンは70年代初頭、フォークがシンガー・ソング・ライターという新しい衣装をまとって、新しい潮流をつくっていた頃、その流れなにのって登場した訳ですが、アルバムはほぼクロノジカルが構成されていて、曲はデビュウ・アルバムのものからスタートししますが、せっかくだから聴きながらメモってみました。


 01.That's The Way I've Always - / 02.Legend In Your Own Time / 03.Anticipation
 最初の3曲は70年代初頭のムードが一杯、モコモコしたタイコの音といい、多分初めて聴くはずなのに妙に懐かしいのは、私の歳のせいですかね(笑)。カーリー・サイモンって、一見柔和そうでいて、時にアーシーな表情を見せるあたり、独特な個性だと思いますが、2曲目はそういう特徴が良く出ていますね。3曲目はいかにもシンガー・ソングライターが時代の先端をいっていた、ちょっとしらけ気味なあの頃が甦るムードといえましょうか。

 04.The Right Thing To Do / 05.You're So Vain / 06.Mockingbird / 07.Haven't Got Time For -
72年頃の4曲です。ちょっとロック色が強くなるって感じで、日本でも大ヒットした「うつろな愛」など四半世紀ぶりに聴きましたが、名曲ですねぇ。ところで、これの冒頭でブルンブルンいうベース、あれクラウス・ブーアマンだったですね、納得!。ついでに、「うつろな愛」が入っているアルバム「ノー・シークレッツ」は、ポール&リンダ・マッカートニー参加ってことでもも当時話題になっていたことも思い出しました。彼女のこの時期は、英米混合なアフター・ビートルズの人脈とクロスしていたとは、ちょいと意外。

 08.Nobody Does It Better / 09.You Belong To Me / 10.Jesse / 11.Coming Around Again
 私の大好きな「ノー・バティ・ダズ・イット・ベター」はやはりひとつの転機となったんでしょうが、決してこの作品だけがそうなったのではなく、この時期から脇を固めるメンツもスタッフ関連、ドン・グロルニック、マイク・クイニエリといったジャズ・フュージョン畑のメンバーが増え、音楽も一気にAOR色を強め、彼女の柔和さが全面に出てきている感じでしょうか。

 12.Give Me All Night / 13.The Stuff That - / 14.All I Want Is You / 15.Let The River Run
 このあたりから、シーケンサーやデジタル・シンセ等の飛び道具が入って、弾力あるリズム、キラキラして立体的なサウンドの、いかにも80年代後半のアメリカの王道ポップス路線へなっている感じです。こういう音もいまや時代の音に聴こえるようになってしまったんですね。15曲は映画「ワーキング・ガール」の主題歌で、けっこう流行ったようですが、ほとんど覚えなかったです。

 16.Better Not Tell Her / 17.Love Of My Life / 18.Like A River / 19.Touched By The Sun / 20.Amity
 新しい音楽スタイルを作ることが困難となり、音楽資産が有限であることを前提となり、過去のスタイルをリサイクルするのが、逆にクリエイティブになったてしまった90年代以降は、彼女も王道ポップスを守りつつ、70年代前半のスタイルに徐々に回帰していっていることを感じさせることを感じさせる4曲です。最後の曲は娘、サリーとの共演で、こうやってクロノジカルな聴き方をすると、母親のデビュウ当時の声と驚くほど似ている。この人、アルバムを出したりしているんでしょうか。


という訳で、彼女の作品って、バックのサウンドやアレンジは時代に即していろいろ変わっているは前述の通りなんですが、ともすればヒット曲ばかり集めたベスト盤にありがちな懐メロ大会ではなく、伸びやかでウォーム、落ち着いた感情の中に見せる意外な力強さみたいなところを筆頭に、ほとんど彼女の全人格が見渡せるみたいなアルバムに仕上がっているのは、やはり彼女の個性故のものなんでしょう。
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LED ZEPPELIN / How the West Was Won (DVD Audio)

2005年04月02日 15時15分01秒 | ROCK-POP
 1972年6月25日カリフォルニアのLAフォーラム、同27日ロング・ビーチ・アリーナにて行なわれたパフォーマンスを組み合わせて構成されたライブ盤です。フォーマットとしてはCD(3枚組)とDVD-Audio(2枚組)が出ているようですが、私といえば5.1chの音がどうなっているか興味ありましたし、CDより少しでも良い音質で聴きたいとの理由(16bit/44Khz->24/48)からDVD-Audio盤の方を購入しました。なお、CDもDVD-Audioも収録曲は同じようです。
 
 演奏の方はといえば、まさに72年という時代の音ですね。当時の英米ロック全般の趨勢として、60年代後半~70年代初頭あたりの「怒濤のパワーとその垂れ流し状態」が、徐々に制御されつつ洗練された時期に当たっていたと思うんですが、レッド・ツェッペリンもまさにそういう成熟期的な時代状況を感じさせる演奏になっていると思います。
 アルバム冒頭の「移民の歌」「ハートブレイカー」「ブラック・ドッグ」とヒット曲を連打した後、「丘のむこうに」と「貴方を愛しつづけて」で気分を変えて「天国への階段」でハイライト、以降アコスティック・セットに移行....ってな構成は、実にコントロールされ、巧緻ですら構成ですからね。個人的な好みとしては、映像版DVDでみることのできた、これ以前のライブの方が、ロック的な混沌、スリル、凄みがあって好きなのですが、こちらは完璧に完成され尽くした横綱相撲もみたいな凄さはあります。まっ、ディープ・パープルでいったら、「メイド・イン・ジャパン」みたいなもんですかね。

 音の方ですが、マルチ・マスターが残っているんでしょう。様々なデジタル技術を駆使してサントラ「永遠の詩」と同時期の同スタッフによる収録とは、にわかに信じがたい生々しいライブ的な雰囲気に溢れた音にクリーンアップされてます。今的な感覚からいうと、もう少しボーナムのバスドラが重く響いてもよかったかなとも思いますが、おそらくジミー・ペイジにはこのようにボーナムのドラムが、当時聞こえていたんでしょうし、客観的にみてほとんどこれ以上はないウェルバランスです。
 問題の5,1ですが、リアはほとんどホールの残響音とオーディエンス・ノイズばかりで、それほど派手なことはしていません。もっとも誰もが予想するように「幻惑されて」その他のギター、「モビー・ディック」のドラム・ソロがリアに音が回ったりしますが、これも特に違和感ない味付け程度です。

 それにしても、ジョン・ボーナムのドラムってほんとうに凄いなぁ。個人的イメージとしては、ミスター・レッド・ツェッペリンっていったら、ページでもプラントでもなくて、完璧にジョン・ボーナムですね。「胸いっぱいの愛を」を続くロックン・ロール・メドレーで、なんてことのない8ビート刻んでも、ツェッペリン以外の何者でもない感じがするのは、まさにボーナムのグルーブ感=ツェッペリンだからじゃないですかね。ともあれ、この人が夭折してしまったのは、ロック界でほんとうに大きな損失でした。生きていたらデニス・チェンバース以上の存在になっていたんじゃないでしょうか。


 <ディスク1>
01.LA-ドローン 02.移民の歌 03.ハートブレイカー 04.ブラック・ドッグ
05.丘のむこうに 06.貴方を愛しつづけて 07.天国への階段 08.カリフォルニア
09.ザッツ・ザ・ウェイ10.スノウドニアの小屋 11.幻惑されて

 <ディスク2>
01.強き二人の愛 02.ダンシング・デイズ 03.モビー・ディック 04.胸いっぱいの愛を
05.ロックン・ロール 06.オーシャン 07.ブリング・イット・オン・ホーム
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ザ・ストーン・ローゼス/石と薔薇

2005年03月30日 00時01分23秒 | ROCK-POP
 1989年頃だったと思うんだけど、突如マンチェスターから登場したストーン・ローゼスに対するロッキング・オン周辺の盛り上がり方は尋常ではなかった。とにかく「60~70年代ロックをリアル体験できなかった、遅れてやってきたロック・エイジ達が、それを追体験すべくストーン・ローゼスに全てを託す」ってな雰囲気だったように思う。

 既にもう後戻りが不可能なほど音楽が多様化して、ロックなどもはや「時代の音楽」でさえなくなっていたあの時期、かつてのあったニュー・ロックの熱狂など、90年代に追体験などできる訳もなかったのだが、とにかく「80年代は何もなかった、でも90年代はストーン・ローゼスがシーンをひっぱるのだ」みたいな熱気だけは、ロック的同時代性から既に脱落しかけていた私にも伝わってきたものだ。オーラスの曲など、ビートルズの「リボルバー」、レッド・ツェッペリンの1枚目、ディープ・パープルの「イン・ロック」、あとXTCの1枚目あたりのオーラス曲と共通するような、バンドが別の次元へ向かって突き抜けて行くかの如き、まさにロックとしかいいようがない怒濤の混沌パワーがあって、「なるほど、これは本物かもしれん」などと感じたものだった。

 ところが、ご本尊のストーン・ローゼス自身はこれを出した後、確かメジャーのゲフィンと契約して、いよいよワールドワイドで大ブレイクか?期待させたのとは裏腹に、元々契約していたマイナー・レーベルとコダゴタなどで、5年も待たせた挙げ句、やっと出した2枚目(未聴)はあまり盛り上がることもなく、そのまま消滅してしまうという、ほとんど笑えない末路をたどったのは周知の通り。結局「80年代は何もなかった、そして90年代も何もなかった」となった訳だ。となれば、あの熱狂は単なる空騒ぎだったということになるのだろうか。ついでにいえば、私のサブカル的なロック同時代体験ってのも、多分このあたりがピリオドだったと思う。

 まっ、それはともかくとして、このアルバムも発表後早15年、なんかもう立派なロック・ヴィテージ物になったような気がする。当時はフォーク的な繊細さとダンス・ビートの融合が新しいなどといわれたものだけど、今となってはあっという間に水増しされて一般化してしまったこうした方法論より、今聴くと心を掴むメロディだとか純粋にロック的ダイナミズムといったものの方が印象に残る。また、そういうもんがあったからこそ、今聴いても音楽としての生命力を感じるのだろうとも思う。結局は音楽だけが残ったというところなんだろうけれど、同じ頃、同じように評価されていた、ライドとかハッピーマンデーズとかのマンチェスター勢って、今聴くと、どうなんだろう、ローゼスのような生命力を感じるのだろうか?。
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オリビア~ベスト・オブ・オリビア・ニュートン・ジョン

2005年03月04日 22時00分00秒 | ROCK-POP
 アバやカーペンターズはともかく、こにこきてオリビア・ニュートンジョンまで復活というか再評価されるとは思いませんでした。誠に失礼な物言いながら、この人は忘れてらてしまう存在だろうと、勝手に思っていたので、ここしばらくCMやTV番組のテーマ等でオリビア・ニュートンジョはひっぱりだこで、市場では新作、オリジナル盤の復刻、ベスト盤数種といった活況振りは、実に意外でした。

 そんな中、ちょい前になるけれど、ベスト盤を購入してきました。もちろんこれです。収録曲は22曲で、ほぼ代表曲は網羅されているといってもよく、1曲目の「そよ風の誘惑」から「ザナドゥ」「フィジカル」「愛の告白」「ジョリーン」とヒット曲のつるべうちです。「そっか、この人はこんなに名曲のカタログをもっていたのか」と改めて感心することしきりでした。やっぱ単なるアイドル歌手ではなかったんですね。

 中でも私が好きだった曲が映画「グリース」の中の一曲で「愛すれど哀し」という曲。まるでコニー・フランシスが歌いそうな、オールディーなバラードなんですけど、80年代のニュー・ウェイブまっさかりの頃にあって、この曲の「古式ゆかしい恋の切なさ」みたいなムードをやけに新鮮で、普通はシングルなど買わない私が、こればかりはシングルを購入して、すり切れるほど聴いたものでした(映画でオリビアが白いブラウスかなにか着て、この曲を窓際で歌うシーンも良かったな)。

 切ないといえば、「サム」の切なさは、正調オリビアの切なさで、これも久々に聴いてぐっきたし、「愛の告白」も楚々とした雰囲気も懐かしいです。ついでに「イフ・ノット・フォー・ユー」と「美しき人生」というジョージ・ハリスン絡みの、彼女の最初期の曲は初めて聴いたんですけど、こんなのも歌ってたんですね。

 そういえば、彼女って初期の英国製カントリー期から、「フィジカル」あたりを境にAOR路線に大変身しちゃった訳ですけど、今聴くと、両者の音楽が混在していても全く違和感ないのはけっこう妙ですね。きっと、時の流れが表向きの音楽スタイルの彼方にある彼女の音楽を浮き彫りにさせたからなのでしょう。

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PARIS / Big Town 2061

2005年03月03日 21時00分00秒 | ROCK-POP
 plectristさんがやっておられる「ギターな毎日」というブログの記事を読んで、なんか急に聴きたくなったもんで、自宅のCDラックを探したところ、購入した記憶はほとんどなかったものの、意外にもありました。手にとってみるとリスマター盤、おまけに未開封!、どうりで記憶が薄いわけだ(笑)。

 この「ピック・タウン2061」は、ボブ・ウェルチがフリードウッド・マック脱退後、結成したハードロック・バンド、パリスの2作目になります。パリスのデビュウ作は、渋谷陽一が「これぞ新しいハード・ロック!」みたいな感じで、大絶賛しオンエアしまくったおかげで、日本のロック・ファンにはかなり有名になりましたが、この2作目では、第1作でやったツェッペリン・クローンみたいなスタイルを大幅に後退させ、フリードウッド・マック時代からのボブ・ウェルチ本来のスタイルに戻ってしまったせいか、日本でさえあまり話題にならなったように記憶しています。

 で、今、数年ぶりに「ピック・タウン2061」を聴いてる訳ですが、やっぱりいいです。第1作ではヴォーカルが、ほぼ全面的にロバートプラントっぽくイコライジングされましたが、こちらはいつもボブ・ウェルチの声ですし、アルバム序盤こそハード・ロック色がありますが、徐々にいつもボプ・ウェルチになってしまうところが、いいんですね。

 ボブ・ウェルチの声ってのは、実はけっこうソフトで、優男風。ところがギターはリフ主体でかなりソリッド、このアンバランスさに加え、非常に洗練されたメロディアスな曲も書けば、時に泥臭くてアーシーなところも見せるってな具合に、一筋縄ではいかないところが魅力ですが、このアルバムではそういうウェルチの「アンチ一筋縄」なところが全開です。

 曲としては、「プルー・ロビン」とタイトル曲は前作からの流れでハード・ロック路線、「マネー・ラブ」はファンキー大会、「ハート・オブ・ストーン」ではアーシーなウェルチ節全開だし、マック時代思わせるファンタスティックなコーラスとジャジーなムードがブラスされたAORっぽい「スレイブ・トイレダー」と、とにかくあっちこっちいろいろな音楽に首つっこんでる割には、どれも徹底しなくて(笑)、どっちつかずな音楽のまま、結局、ホブ・ウェルチとしかいいようがない音楽になっているあたりが、彼の真骨頂ですね。実に聴き応えあります。

 うーん、やっぱりいいよ、コレ。買っておいて良かった。
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リヴィング・カラー/Vivid

2005年03月01日 00時00分00秒 | ROCK-POP
 さっき書き終えたばかりのG.ハウのプロジェクトを聴いていたら、リヴィング・カラーを無性に聴きたくなったもんで、さっそく彼らの1枚目を聴いているところ。うーん、いいねぇ、思わず「オレ様の朽ちかけたロック魂が甦るぜ」とか、アホなこといいたくなっちゃう(笑)。

 それにしても、これもう15年も前の作品なんてすね。当時はミクスチャーとかいって、レッチリとかリヴィング・カラーはロック周辺のジャンルをぐちゃぐちゃにして演奏するロックの最新モードだったはず。ヴァーノン・リード率いるリヴィング・カラーの場合、レッド・ツェペリン的なハード・ロックとファンクの合体で、ヴァーノン・リードというジャズも出来るギタリストがジミー・ペイジみたいなギター・リフとファンカデリック風なファンクなカッティングをまさしくミクスチャーしているのが新しかった。とにかく、その豪快さは無類で、当時の私にはメタルとかモラトリアム風なロックなどより、遙かに正統派のロックに聴こえたもんでした。

 特に4曲目の「デスペラート・ピープル」は今聴いても凄いです。突進するようなイントロのパワーも脱帽物だけど、それを1分ほどであっさり切り上げて、ツェッペリンを発展させたかのようなリフはもう惚れ惚れするほどかっこいい。白人が作り上げた、ハード・ロックというジャンルも、優秀な黒人にかかると、こうも見事に征服してしまうのかと、黒人パワーのすごさに圧倒され.......たのも、今は昔の話ですが(笑)。
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リ・ワークス・オブ・アート・オブ・ノイズ

2005年02月17日 23時08分25秒 | ROCK-POP
 80年代中頃、サンプラー等デジタル楽器の普及の先鞭をきる形で登場したアート・オブ・ノイズは、全ての楽音をサンプリングされた現実音で構成するという(本当はそうでもなかったわけですが-笑)、ちょいと前ならミュージック・コンクレートと呼ばれる現音系な手法を、リズミカルなダンス・ミュージックでやらかした、まぁ、大げさにいえばポップ音楽で、ある種の技術革新したイギリスのプロジェクトでした。

 このアルバムは一般的には彼らが一番人気のあった時期、つまりトレバー・ホーンと決別後のチャイナ・レーベル時代のライブを含むコンピレーションです。実はこの作品、アート・オブ・ノイズでは私の唯一CDで持っていなかった作品でして、今となるとなかなか中古盤等でもみかけなかったのですが、先週、オークションでめっけて即ゲットと相成りました。便利なもんですね(笑)>ヤフオク。

 で、十数年ぶりにきいたこのアルバムですが、けっこう「普通の音楽」に聞こえたのが意外でした。当時は最先端のエレクロニクス技術の粋を集めた音楽の実験みたいな趣も強く感じたものですが、彼らの技術革新はこの十数年の間に多少の水増しを伴って今や当たり前のものとなってしまったせいで、かれらの技術の彼方のある「素の音楽」が、昔よりよく見えたというところなんでしょう。当時ヒットした「レッグス」なんて、今聴くととても上品で、格調の高さすら感じさせる極上のダンス・ミュージックだったことがわかります。
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