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音楽全般について 素人臭い能書きを垂れてます
プログレに特化した別館とツイートの転載もはじました

ブライアン・フェリー/As Time Goes By~時の過ぎゆくままに

2005年09月28日 23時39分15秒 | ROCK-POP
 フェリーさんの新作はまたまたカバー集。「またやんの?」とか思っていると、内容は「おっとー!」ってな感じの大スタンダード大会で(笑)、アレンジはギター、ベース、ピアノ、ドラムスのシンプルでスウィンギーな4ピース・バンドに、時折ノスタルジックな管だの弦が絡むというバッキングにのっかって、フェリーさんが気持ち良さそうに歌っている。こういう本格的にジャジーなスタイルというのは、確かに今までなかったパターンではあるんだけど、意外性に驚くというよりは「遂にやってしまいましたかぁ?」ととかいうそういう感じ。

 あっ、ジャジーなバックといっても、今どきの「おしゃれなジャジーさ」というより、全体にもう少し古くさいというか、もはやアルカイックといってもいいくらいに、古色蒼然とした風情で、具体的には40年代後半~50年代前半くらいのナット・キング・コールあたりのスタイルで、きっとフェリーさんが少年の頃にこういう音楽を聴いて育ったんだろうな....と思わすに十分。ともあれ、こうした「自らの音楽的ルーツを執拗に遡る」みたいな試みは、最近流行になんでしょうね、きっと。
 個人的には、アルバムに数曲こういうスタイルの曲があるのはけっこうだし、いいと思うだけど、全編こう攻められてもなぁ....ってのが正直なところかな。まぁ、一曲だけアシッドな密林風のサウンドがいかにもフェリーさんってな曲もあるんだけど、あとはおしなべて前述のジャジー・サウンドで、「コレ聴くならキング・コールとかエラ・フィッツジェラルドの方が....」とかついつい思っちゃう。

 やはりフェリーさんは「アヴァロン」のスタイルでぶっちぎって欲しい(そういえば「ホロスコープ」はどんなったんじゃい?)。もしくは、それ以降のネタを繰り出してもらいたい、初期のスタイルに先祖返りするとか、大胆にテクノビート取り入れるとか、いろいろあると思うんだけどな。どうも恋愛の現役引退しちまって、特有の「切なさ」が追憶の中にしかない好々爺になってしまってるのが、まずいのかしれんなぁ....。とかいいつつ、けっこう愛聴しとるんですが、コレ、なはは。(1999年12月19日)
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ジェフ・ベック/ライブ・ワイアー

2005年09月09日 23時51分23秒 | ROCK-POP
 今更何をかいわんやの大名盤でアナログ時代はすり切れるほど聴いたものですが、本日、職場の送別会だったもんではじまるまでの空き時間にショップで眺めていたら、「そういゃぁ、CD持ってなかったよな」とか思い出して中古盤で購入してまいりました。多分、これを聴くのも確実に10年ぶりくらいだと思いますが、やっぱ「凄い」としかいいようがないパフォーマンスですね。とにかくここでのベックのフレーズはロック・ギターの完璧なお手本であると同時に完璧にワン・アンド・オンリーな世界でもあるという、二律背反をいとも簡単に実現してます。おまけに相方がロック・ギタリスト相手だと何故か異様に燃えるヤン・ハマーというどう猛きわまりないフュージョン・キーボード奏者ということもあって、スリリングなインタープレイも横溢というワケなんですね。

 で、このアルバム、ポップな旧A面も悪くないですが、個人的には旧B面の3曲にに尽きますね。まずは「闇」は、ハマーのスペイシーなシンセが全編を覆いつくすほぼ完璧にヤン・ハマーが主導した音楽で、基本的には「ビッチズ・ブリュウ」あたりを思わせたりするフュージョン路線のフォーマットにベックがのっかったってな感じ。「スキャッター・プレイン」はマハビシュヌ風なバイオリンとギターのユニゾンをテーマを繰りつつ、ベック~ベアード~ハマーの順でのソロがフィーチャーされスリリングに盛り上がる作品ですが、やはりベックはバンドの1パートに徹しているという感じで、ソロとしてはハマーとベアードに押され気味。ラストの「蒼き風」はテーマこそハマーとベックのユニゾンでフュージョン風に進むものの、ソロ・パートではお待ちかね「トレイン・ケプト・ローリン」が引用をベックがぶちました瞬間、主導権が完璧に逆転、一気にいいところさらっていくという感じです(笑)。いゃぁ、久々に聴いたんだけど、やっぱここは凄い、なんていうかフュージョンから一気にロックに反転するマジックのような瞬間です。やはりこの時のベックは凄かった。
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FLEETWOOD MAC / KILN HOUSE

2005年09月08日 23時07分57秒 | ROCK-POP
ピーター・グリーン脱退後、残ったジェレミー・スペンサーとダニー・カーワンを中心として作られたアルバム。ピーター・グリーンは音楽面はもちろんだが、精神面でもバンドの支柱だったハズで、収録当時はほとんど解散状態だったらしい。それでも解散しなかったのは契約とかそういう問題だったのだろう。音楽的にはそれまで隠し味という脇役として音楽面を彩っていたふたりはほとんど音楽的指向が対照的だったらしく、前者の楽天的なポティミズム一杯の50年代風味とダニー・カーワンのほの暗い叙情が横溢した曇り空のような楽曲がくっきり分かれてしまっているのは、リーダー不在バンド状況をそのまま音楽化しているようで、興味深いものがある。

 アルバムはいきなりジェレミーの「This Is the Rock」がロカビリー調で、グリーンがいなくなったからには、ジェレミーがスライド・ギターで渋くアーシーに決めるのではという期待が粉々に打ち砕かれた大昔の衝撃が懐かしく甦る(笑)。また、「Earl Gray」に代表されるカーワンの「枯木」路線の曲は、当時はぱっとしない楽曲に思えたものだが、今聴くととても味わい深い。いずれにしても、両者の楽曲はけっしてフリードウッド・マックというバンド・ミュージックに昇華することなく混在しているせいで、前作に負けずおとらず、とっ散らかったアルバムになっている。
 ちなみにクリスティン・マクビーはこのアルバムあたりではほぼレギュラー・メンバー化しているようでキーボードやバッキング・ボーカルでアルバム随所に顔を出しているのは、次の起死回生の作品といえる「フィーチャー・ゲームス」への胎動を感じさせる部分だ。
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FLEETWOOD MAC / Then Play On

2005年09月07日 21時44分57秒 | ROCK-POP
 フリードウッド・マックの1970年の作品。昨日のレビュウでもちらっと書いたが所属レーベルをリブリーズに移しての第一作で、3人ギタリスト時代の最後の作品でもある。英国きっての通向きブルース・ロック・バンドとして知る人ぞ知る的存在だったマックだったが、ここで展開されている音楽はそれまでのブルース・ロックではなくなっている点が特徴だ。例えば彼らの代表作と目される「オー・ウェル」のパート2では、なにやら虚脱した雰囲気の中、「コンドルは飛んでいく」みたいなフォークロア風なリコーダーが絡むうそ寒いムードで進むし、2曲目の「クロージング・マイ・アイズ」はさながら「アルバトロス」のヴォーカル付きヴァージョンみたいな仕上がりなのである。このあたりのムードはダニー・カーワンが主導したアコースティックな趣の何曲が更に倍加しているという印象なのである。

 いったい、この変化はどうしてなのだろうか。「アルバトロス」がヒットしたからこうなったのか、ピーター・グリーンのドラッグの影響なのか知らないが、実に不可解だし、その一方でジャム風な旧B面のハード・ドライビングなインストや従来路線を踏襲している曲もなくはないワケで、未だに聴く度に「このとっちらかりぶりははなんなのだなワケ?」とか、つい思ってしまう。どうしてこうなってしまったのか、誰か詳しい方教えてください。
 いや、だからといってこのアルバム、キライとかいうんではなくて、70年代初頭の「アフター・ウッドストック」的音楽をちょい先取りしたかのようなムードはなかなか魅力ではあるし、個人的には好きな作品ではあるんでが、いかんせんなんか座りが悪い作品という気がするワケです。ちなみにジェレミー・スペンサーをフィーチャーした唯一曲の仕上がりは、ブルー・ロックというより、レッド・ツェッペリンの3枚目みたいな感じでこれまたおもしろかったりするんだな。これまたこの作品の混乱ぶりに拍車をかけていたりするわけでして....(笑)。
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The Best of Peter Green`s FLEETWOOD MAC

2005年09月06日 22時31分06秒 | ROCK-POP
 60年代後半のロック・シーンでひとつのトレンドともなったブルース・ロック、その中心となったのはもちろんギタリストだが、通向きなところだと、アメリカのマイク・ブルームフィールド、イギリスだとピーター・グリーンあたりにとどめを指すのではないだろうか。このアルバムはピーター・グリーンが在籍していた最初のフリードウッド・マックのベスト盤である。レーベルはCBSだから、当然「英吉利の薔薇」と「聖なる鳥」を中心にした選曲だが、レーベルをリブリーズに移籍後、ブルース・ロックからいささか離れた音楽を展開した「ゼン・プレイ・オン」からも収録されているので、文字通りピーター・グリーンのフリードウッド・マックをこれ一枚で俯瞰することができる。

 アルバムは、当時けっこうなヒットしたらしいサイケな浮遊感一杯の楽園風なインスト・ナンバー「アルバトロス」からスタート。当時の彼らとしてはかなり異色というか、ほとんど冗談みたいなナンバーだったハズだが、このけだるいアシッド感は妙に人の琴線にふれるらしく、このベスト盤ではアルバムのおしまいにはアシッド・テクノ風にリミックスされた別ヴァージョンが収録されている。以降、サンタナのシングル・ヒットで有名になった「ブラック・マジック・ウーマン」、歴代フリードウッド・マック演奏されることになる「オー・ウェル」、ストリングスをフィーチャーしたポップなブルース・ロック「ニード・ユア・ラブ・ソー・バッド」などの有名どころをフィーチャーしつつ、いかにもこの時期の彼らしいブルース・ロック・ナンバーの数々を堪能させてくれる。それにしても、久しぶりに聴くビーター・グリーンのギターとヴォーカル、やっぱりいいねぇ。ブルージーなフレーズをベタベタさせずシャープかつクリアなトーンで弾くのはイギリスのギタリストの伝統だけれど、この人のギターはそんな中でも一番アーシーで黒いんじゃないんだろうか。これ以上濃くなってしまうぎりぎりのところで、ブルースでなくブルース・ロックしているあたり絶妙。

 ついでながら、スライド・ギターの名手、ジェレミー・スペンサーやマック第3のギタリスト、ダニー・カーワン、クリスティン・マクビーをフィーチャーした作品もも収められております。
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the VENTURES / Walk Don`t Run

2005年08月29日 14時36分14秒 | ROCK-POP
3枚組で1600円という値段につれて注文してきたもの。サブタイが「63 Great Tracks from the Legendary Instrumental Rock Group - recordings from 1995 - 2002」とある通りデジタル再録によるベスト盤だと思う。サンクチュアリー・レコーディングス・グループというイギリスのレーベルの発売だが、おそらくライセンス発売だろう。ひょっとするとベンチャーズは近年代表的なレパートリーの再録をしているかもしれず、これはそこからの発売なのかもしれないが、詳細は不明だ。

 大体、再録というはオリジナルを超えないものが多いし、再録そのものをベンチャーズの場合沢山しているような気もするので、メンバーが最近ではかなり高齢になってきた最近の再録となれば、ひょっとしてヨレヨレなんじゃないかとも思ったがなかなかどうしていい。基本的にはオリジナル演奏を忠実に踏襲、もちろん60年代の前ノリなシャープさチープであるが故の生じたパンク的な迫力だとかは薬にしたくともないが、割とフュージョン的なキダー・インストルメンタルとして楽しむには不足はないし、そういう雰囲気を重視した演奏だと思う。ついでデジタルのクリーンな音という魅力も大きい。バスドラムの音圧、残響、分離の良さなどオリジナルに比べて飛躍的に向上した、理想的な音質で聴くベンチャーズというのもいいものだ。馴染みのない曲が並んだディスク3はなかなか彼らの意外なレンジの広さを体感させてくれておもしろかったし。

 あと、本作ではジェリー・マクギーがリード・ギターを弾き、ドラムはメル・テイラー、彼が亡くなった後はその息子であるリオン・テイラーが叩いているようだ。私はジェリー・マクギー時代のベンチャーズというのはほとんど聴いたことがなかったのだが、ジェリー・マクギーのギターはノーキーと同じく基本的にはカントリー・スタイルだと思うが、もう少しイージー・リスニング・ジャズ的な柔らかなトーンとスムースに歌うフレージングが特徴と思った。リオン・テイラーはチュアート・コープランド風なニュー・ウェイブ系である意味では初期ベンチャーズ的なノリを感じさせるのはおもしろいところ。
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レッド・ホット・アンド・リオ / various artists

2005年08月03日 22時23分20秒 | ROCK-POP
 2枚ほど古い音源のオムニバスが続きましたが、同じオムニバスでもこちらはちょい新しめ。とはいってもこれすらも10年近く前とはなりますが、確かエイズだかなんだかチャリティ・アルバムとして、当時けっこう話題になっていたような記憶があります。基本的にはボサ・ノヴァ以降のブラジル音楽の名曲のカバーで構成されていて、既成曲のコンピレーションではなく新録主体だったはずです。ミルトン・ナシメント、ジルベルト・ジルといった本国の大物のソロ作品の他、ジョビンとスティングとか、アストラッド・ジルベルトとジョージ・マイケル、ハービー・マンとステレオラブといった新旧スターの共演もおもしろいところです。

 収録曲はドラムンベースやアンビエントハウス風リズムをアレンジに取り入れた作品が多いです。当時としてはけっこうとんがったこの手のリズムとボサ・ノヴァ名曲の組み合わせに、私はいささか抵抗を感じたものですが、この10年間でこうしたアレンジはいささか水増しされたにせよ、すっかり一般化してしまったので、当時より現在聴く方がごくごく普通に楽しめる感じですね。ついでに何もかわっていないようでいて10年間という時の流れを物語ってい妙な感慨を感じたりもしますが....。

 曲はどれもかなりおもしろいですが、EBTGがかなり濃いめのドラムン・ベース・リズムを使ってジョビンの名曲「コルコバド」を氷点下の温度で演奏していたり、キャロン・ホイーラーとジョシュア・レッドマンの組み合わせで当然ソウル2ソウル風に演奏された「イパネマの娘」、アナ・カランのヴォーカル・パートをほとんど素材、インコグとオマーが好き放題にいじくった「おいしい水」、セゼリア・エヴォラとカタエーノ・ヴェローゾのデュエットを坂本龍一が無国籍東洋サウンドでまとめた「E Precisco Perdoar」、 「黒いオルフェ」をダブ化したマッド・プロフェッサーあたりがおもしろいです。ナシメントとジルは例によって大地から風を吹いてくるようなあの調子。あっ、あと冒頭に収録されたワルター・ワンダレーのパロディみたいな曲も楽しかったですね。

 という訳で、このアルバム、購入時より今聴いた方が圧倒的に楽しめました。さっさくipodとカーステレオ用にMDに収録したいと思ってます。


01.Use Your Head / MONEY MARK
02.Corcovado / EVERYTHING BUT THE GIRL
03.Desafinado / ASTRUD GILBERTO & GEORGE MICHAEL
04.Non/Fiction Burning / PM DAWN WITH FLORA PURIM & AIRTO
05.Boy from Ipanema / CRYSTAL WATERS
06. - interlude -
07.Seguranca / MAXWELL
08.E Precisco Perdoar / ICESARIA EVORA, CAETANO VELOSO & RYUICHI SAKAMOTO
09. - interlude -
10.Water to Drink / INCOGNITO WITH OMAR & ANNA CARAM
11.Dancing / MILTON NASCIMENTO
12.Insensatez / ANTONIO CARLOS JOBIM & STING
13.Waters of March (Aguas de Marco) / DAVID BYRNE & MARISA MONTE
14. - interlude -
15.One Note Samba-Surfboard / STEREOLAB & HERBIE MANN
16. - interlude -
17.Black Orpheus Dub / MAD PROFESSOR
18.Maracatu Atomico / CHICO SCIENCE X DJ SOUL SLINGER
19.Sambadrome / FUNK 'N LATA
20.Refazenda / GILVERTO GIL
21.Preciso Dizer Que Te Amo / CAZUZA & BEBEL GILVERTO
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ベンチャーズ・イン・ジャパン

2005年07月23日 00時02分56秒 | ROCK-POP

 80年代の古い作品が続いたついでに、更に20年遡った作品を取り上げてみたいと思います。作品は「ベンチャーズ・イン・ジャパン」、うーん、懐かしいですねぇ。ベンチャーズといえば、毎年夏になるとやって来ることと、音楽そのものの季節感と併せて、現在では日本の夏の風物詩みたいなになってますが、このアルバムは1965年の来日公演を収録した作品で、ベンチャーズが日本で定着するきっかけとなった、エレキ・ブームの立役者的アルバムでもありました。

  60年代中盤のエレキ・ブームの頃、私は幼稚園児でしたから、当時のエレキブームなど普通なら記憶にある訳もないのですが、たまたま我が愚兄が家でビートルズとベンチャーズの電蓄で鳴らしまくっているような高校生だったせいか、私の場合、彼らの音楽は子守歌替わりみたいになってしまっているようで、ことにビートルズとベンチャーズはもう体が覚えている感覚があるんですよね。そんな、ベンチャーズの数多くあるアルバムの中でも、当時からもっとも「凄い作品」といわれていたのがこの作品。

  これは先日、愚兄に聞いた話なのですが、当時のギター少年はこれを聴いて、みんな敗北感を感じたそうです。なにせ、おとなしめのスタジオ録音を一生懸命コピーしていたところに、突如、スタジオ録音より数段早いテンポで、カントリーっぽいトリッキーで難易度の高いフレーズやブルー・ノート・スケールのロック的フレーズ連打する訳ですから、「こりゃ、かなわねぇ」とか思ったことは想像に難くありません。おまけにここでのパフォーマンスは、バンド全体がパンク・ロックを思わせるスカスカのアンサンブルとみくもなパワー感があり、怒濤の如く進んでいく様は、今聴いても新鮮そのものですから(これはリミックスの効果も大きい-後述)、この破格なノリは当時では前衛的ですらあったんじゃないですかね。

  ところでこの「ベンチャーズ・イン・ジャパン」ですが、大きな勘違いをしてました。実はここ数年くらい私はアメリカでCD化された「Live In Japan `65」を「ベンチャーズ・イン・ジャパン」のいわゆるコンプリート盤だとばかり思って聴いていたのですが、どこがどうだとはいえないんですけど、なんとなく「こんなだったけ?」という思いが、聴く度につきまとっていたんですね。で、先日思い立ってアマゾンを検索していたところ、オリジナルの「イン・ジャパン」と「Vol.2」を2in1したアルバムを見つけたので、早速注文して昨日届いたのを今聴いているところなのですが、私の聴いていたのはコンプリート盤といっても「ベンチャーズ・イン・ジャパン第2集」のコンプリート盤だったんですね。私は子供頃に多分「第2集」の方は聴いてませんから、なるほど違和感を覚えるはずです。

  したがって、オリジナルの「イン・ジャパン」聴くのはおそらく何十年ぶりということになります。また、コンプリート盤の元ネタである「Vol.2」の方は多分初めて聴くことになろうかと思います。通して聴いて思ったのは、前述のパンクっぽさってのは、1995年の感覚で新たにリミックスしたところによるものもけっこう多かったこと。オリジナル盤の方どちらも2本のギターのソリッドな音色とアンサンブルを全面に押し出した、あの頃のスタジオ録音に近いリミックスで、当時のリスナーがベンチャーズに何を求めていたかがよく分かる音ともいえます。ともあれ、この音は聴いていて無性に懐かしい。一聴して「あぁ、これこれ、この音で聴きたかったんだよ」って感じで、ただいまウハウハしているところです(笑)。

  それにしても、ラストの2曲「ワイプアウト」と「キャラバン」はやっぱ凄え。65年に向かえたエレキ・ブームってのは、日本の音楽史上でも歴史に残るムーブメントでしたが、あのブームというのは単なる音楽的な技術革新ではなくて、この凄まじいノリに裏打ちされた音楽的黒船だったことが実感できます。

・ In Japan vol.1 &Vol.2

・ Live In Japan 65(vol.2のコンプリート版)

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RADIOHEAD / Kid A

2005年07月11日 00時03分03秒 | ROCK-POP
 先日のレビュウのとおり、「OK Computer」を改めて聴いてみたところけっこう良かったので、「OK Computer」に続くアルバムを購入してきました。2000年発表の通算第4作で、グラミー賞のオルタナ部門を受賞しているようですから、こちらも世評は高いアルバムなんでしょう。こちらは一聴して気に入りました。

 ただし、前作とはかなり音的に違っています。テクノ的感性で作られていることは歴然としてはいても、とにもかくにもギター・バンドの音で作られた前作に比べると、こちらはほぼ完璧なテクノ的な音楽になってます。ほぼ全編に渡ってアンビエント風なシンセやSE風な楽音が鳴りっぱなしですし、ギターの音がほとんど聴こえないから驚き。何事につけ保守的なムードが濃厚な現代でこの潔さは、ある意味特筆すべき冒険精神というべきでしょう。もちろん、ヴォーカルは入りますし、リズムもありますから、現代音楽みたいな世界てはちょいと違いますが、ほぼ全編コラージュ的なSEで作られているのことは確かで、前作から一気にこうなってしまうのはやはり凄いです。
 しかも、表向きの変化の後方から、前作同様細部に渡って異常なまでに作り込まれた音の積み重ねや、陰鬱なパワー感など、きちんとレディオ・ヘッド的な心象世界が伝わってきますから、このバンドの音楽的な自我の強さはなかなかのものだと、聴きながら感心しちゃいました。

 印象に残ったのは、1曲目の「Everything In Its Right Place」の歪んだエレピの遠近感と神経質なヴォーカル、ホワイトアルバム風なサイケ風味が一緒くたになった浮遊感。2曲目の「Kid A」の幼年期を思い起こさずにはいられないファンタスティックさ音の組み立て。4曲目の「How To Disappear Completely」の各種ギターをシンセ的に使用したパースペクティブの開けたサウンド。5曲目「Treefingers」のアンビエント風味、荒涼したテクノ・ビートと祈るようなヴォーカルの取り合わせが奇妙なデジャブが感じさせる8曲目の「Idioteque」、暗鬱なムードが漂うこのアルバムでラストになってようやく曙光を感じさせるようなムードになる「Morning Bell」アコスティックさ、精神が浄化されるような「Motion Picture Soundtrack」の厳かムードあたりですかね。

 とにかく聴き応えありそう。これも聴きこんでみると、まるで印象変わりそうです。とりあえずiPod行き決定。
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COLDPLAY / A Rush of Blood to the Head

2005年07月08日 05時05分05秒 | ROCK-POP
 先月なにげに購入したコールド・プレイの「X&Y」は、最近のロック物としてはめずらしく一聴して気に入ったアルバムですが、インパクトというか真価が明らかになったのは、むしろその後、繰り返して聴いていくにつれてでした。なにかを求めて切ないまでに彷徨い、もがくように音楽と格闘している様が、まさにロックとしかいいようがない同時代性を感じさせたからです。「こりゃ、どえらいロック・アルバムどぁ」とばかりに、現在も感嘆しまくって聴いているこのアルバムですが、そうなるとその前はどんな音楽だったんだと気になるは、やはり人情。そんな訳で、注文してあった2作目が届きましたので、現在聴いているところです。

 全体とさらっと聴いた感じでは、「X&Y」ほどの作品だとは思えませんでした。「X&Y」という作品は、英国伝統のギター・ロックが完璧にプロダクション・ワークのもと、とんでもないポピュラリティ獲得してしまった希有なアルバムだと思いますが、こちらはひとくちにいって、まだまだ普通にインディーズっぽいギター・バンドの音で、良くいえば伸び伸び、悪く云うと弛緩しているような感じもしました。
 もちろん、「X&Y」で聴けたような、切なさだとか、70年代風な味付け、ビートルズ臭さみたいなところは、このアルバムでもきちんと聴こえてきますから、コールドプレイらしさという点では、別段不足がある訳ではないですし、逆にこのアルバムのロッキング・オン御用達的な肌合いを気に入っていた人にとっては、「X&Y」はちと商業主義に走ったと思われるかもしれませんから、一概に優劣はつけられないとは思いますが、個人的には「X&Y」の緊張感やスケールといったものの方が良かったかなぁ。

 とはいえ、これも繰り返し聴いたら、またイメージ違ってくるかもしれませんから、以上はファースト・インプレッションということで....。
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RADIOHEAD / OK Computer

2005年06月28日 00時01分38秒 | ROCK-POP
 先日レビュウしたコールドプレイのサード・アルバムですが、とても気に入ってしまい、現在iPod、車、自宅と聴きまくっている最中です。前2作も既に発注済みですが、それが来るまで、レビュウの時、ちらっと引き合いに出したレディオヘッドが気になったので、ひっぱり出してきました。本作は彼らの第3作目(97年)にあたり、数年前、なんかの記事で90年代UKロックの名盤みたいな評価が高かったので、どんなもんかしら?と購入してきたように記憶してますが、一聴した印象としては「ナルシシズム満開の屈折系?、だけとそんなに名盤かねぇ?」ってな感じで、そのまま放置してあったのです。

 で、久しぶりに聴いてみた「OK Computer」ですが、コールドプレイで「自閉ロック」が気持ちよくなっている当方のコンディションも影響しているとは思いますが、「おぉ、こんなに凄い作品だったのかいな」と、ちょいと驚いているところです(うーん、やっぱりオレの耳は信用できん-笑)。とにかくサウンド・センスが独特で、細部にまで異常こだわり、また作り込まれた音の重なり具合から沸き立つ、アシッドな浮遊感はなかなかのもので、一応ギター・バンドの音ではありますが、ギターのアルペジオ、生ドラムをオブジェのように扱い、まるでデザインするかの如く音を組み立ててサウンドを作っていくあたりは、明らかにテクノ的な感触です。

 例えば冒頭の「Airbag」は、ヘビーで暗鬱のリフ、トレモロ風なフレーズ、ハウスっぽい生ドラムとベース、一聴して打ち込みとわかるタンバリン、各種シンセのSEなどが実に緻密に組みたてられ、そこに神経質そうなトム・ヨークのヴォーカルがのることで、独特の浮遊感と陰影にとんだ音楽を形成しているという感じですが、この曲に限らず、このバンドをギターのリフというかアルペジオをテクノ風なシーケンス・パターンのように使うことが多くそのあたりも、この独特のひんやりしたサウンドの立役者になっているという感じがしまう。2曲目「Paranoid Android」の込み入った展開も、このサウンドあってのものでしょうし、3曲目の「Subterranean Homesick Alien」、5曲目「Let Down」ではサイケ的な音作りとテクノの合体といいたいような実にクレバーなサウンド。クリアのギターの響きも実に気持ちいいです。8曲目の「Electioneering」では一昔前のグランジ風な音を彼らなりに解釈したって出来といったところでしょう。

 一方、アコスティック感覚をメインに据えた10曲目「No Surprises」やオーラスの「The Tourist」は若干希望を感じさせる曲調ですが、暗鬱な4曲目「Exit Music」と6曲目「Climbing Up The Walls」そして、11曲目「Lucky」あたりの実に現代UKロック風な自閉感に満ち満ちでいて、好きな人にはたまらない同時代性を感じさせるでしょう。それにしてもUKロックって、80年代後半からこうした閉塞感に満ちた、自宅に引きこもって鬱積しているような曲調のものが多くなり、今やある種の伝統のようになっていますが、こういう負のパワーって、盛り返したハズの大英帝国のどこからわき出てくるんでしょうかね~。
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KENNY LOGGINS / Celebrate Me Home

2005年06月24日 00時11分57秒 | ROCK-POP
 70年代の名物デュオ、ロギンス&メッシーナのケニー・ロギンスの解散後、出したソロ第1作です。どっちかとわずとも西海岸的なオプティミズムが持ち味と思われていた彼ですが、初めてのソロ・アルバムで、タッグを組んだのはなんと当時フュージョンの分野で花形だったボブ・ジェームスだったんですねぇ。なにしろ次の「ナイトウォッチ」が大名盤だったので、今じゃこちらは忘れられ作品気味ですけど、個人的には「ナイトウォッチ」に勝とも劣らない作品だと思ってます。
 
 まぁ、どちらがケニー・ロギンスらしい作品か....ということになれば、答えは出たようなもんですが、ボブ・ジェームス、プロデュースによるフュージョン系AORアルバムという意味では、実に素晴らしい仕上がり。当時のホブ・ジェームスのアルバムのメンツをそっくり連れてきたような豪華なメンツを従えての、ゴージャズきわまりないサウンドは、ケニー・ロギンスのハイ・トーンな声に意外にもマッチして、個人的には発売当初からの愛聴盤でした。どういう訳か、今までCDを持っておらず、本日やっと入手できたんで、けっこう久しぶりに聴いた訳ですが、やはりいいです。

 収録曲は一曲目の「Lady Luck」のみ、バラライカ風なマンドリンがフィーチャーされて少しエキゾチックですが、残りの9曲は前述の通り極上のAORで、現在聴いてもあまり古くさくなく、むしろ格調高さすら感じられる音楽になっているのは、やはりボブ・ジェームスのアレンジ、プロデュースの賜でしょう。中でもいいのが8曲目のタイトル曲でしょうか。ゴスペル風な曲ですが、タイトルを交えたコーラスが繰り返される度に音が厚くなっていくアレンジも秀逸なら(なんせリチャード・ティーのピアノとエリック・ゲイル呼んできてますから)、ロギンスのパッション溢れる歌声素敵で、けだし白人ゴスペルの最良の形といった感じでしょう。実に感動的です。また、エリック・ゲイルのギターのみをバックに歌ったラスト・チューン「You Don't Know Me」のジャジーなセンスも当時のロギンスには背伸び気味だったでしょうが、しっかりと歌い込んでます。ついでに書けば2~4曲目あたりは、おそらくスティーリー・ダン当たりと並んで、70年代後半のAORの究極ともいえる完成度ですね。ひたすら気持ち良く、サウンドも完璧に作り込まれていて全くスキがないです。ひょっとすると、カラオケで聴いてもそれなりにフュージョンとして楽しめてしまうんじゃないですね、ここまでやれば....。
 
 ちなみにボブ・ジェームスは、前述のとおり次の「ナイトウォッチ」でもプロデュースを担当していますが、こちらはレギュラー・バンドを従えての録音で、音楽的にもケニー・ロギンス本来の持ち味であるウェストコーストっぽさとか、ポップロック的なメリハリなどを重視して、その後の「フットルース」(83年)の路線にシフトしかけていますから、やはりこの作品のまさにボブ・ジェームスとのコラボレーションとしかいいようがない仕上がりは、やはり一期一会だったというべきでしょう。
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COLDPLAY / X&Y

2005年06月19日 14時34分09秒 | ROCK-POP
 こういう音楽ブログで、自分の世界に閉じこもって、これまで購入しきた膨大な量の音楽と日々格闘していると、時に浦島太郎状態になってしまい、最新の音楽シーンがほとんど見えなくなったりするもんで、「そういえば最近のロックはどうなってんだ」とあれこれ調べてみたいら、このアルバムが「今世界で1番売れているロック・アルバム」ということで、あんまり深いこと考えず購入してきました。

 コールドプレイは2000年にデビュウしたイギリスのバンドで、本作は出たばかりスタジオ第3作、目下、世界中のチャートで第一位を記録しているようです。もちろん、こんなワールドワイドな成功は本作が初めて、いわば第3作目にしていよいよ大ブレイクといったところなのでしょうね。音楽的にはイギリスらしい湿った叙情をベースにした、ギター・バンドといったところですか、あっ、一応キーボード奏者はいますけど、基本的にパースペクティブを演出する白玉専門なんで、やっぱ基本的にはギター・バンドの音です。ポーカルは例によって、イギリスのヤサ男風....。

 個人的には「おぉ、けっこう良いじゃんか」が第一印象で、第二印象としては「今やイギリスの自閉ロックも完全に産業ロック化したんだなぁ」って感じ(笑)。基本的には80~90年代のイギリス系ロック・バンドの音を大向こうに受けそうなメジャーな肌触りにして、更に70年代前半ロックのおいしいところをまぶした....って、感じでしょうか。後、誰もが指摘するようにU2的なサウンドやレディオヘッド的なこちゃまぜ感の後塵を拝しているところはあるものの、このバンドの自閉ロック的な叙情はスミス~ストーン・ローゼスと流れを感じさせますから、あのあたりのバンドのエピゴーネンというのはちょっと違うかな思いました。

 とにかく、ほの暗い叙情が彩られた曲が良い。次に弾力的に収録されたリズムと横を広げるキーボード、そして英国的としかいいようがないギターが非常に気持ち良いサウンドを形成している点がキャッチーとしかいいようがない。そしてビートルズっぽいところ、70年代っぽい感覚がちらほらしている点で、オッサンにも非常に聴きやすい....(笑)、ということで、とても気に入りました。ひょっとすると、未来の「殿堂入りアルバム」なのかも?という気もしないでもないのですが、とりあえずは、iPodに入れて聴き込んでみます。 
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バーニング・トゥリー

2005年06月16日 16時35分26秒 | ROCK-POP
 1990年に出たバーニング・トゥリー唯一の作品です。1990年といえば60年代後半~70年前半時期の英米ロックのスタイルを再生させる新世代バンドが輩出していた頃ですが、この作品もそうした流れで購入してきたような記憶があります。一聴しての印象は「え~、なんでこのバンド、こんな雰囲気つかんでるの?」ってこと。

 前述のとおり、当時、古いロック・スタイルで演奏する若いバンドはたくさんありましたが、70年に前後する時期のロックの雰囲気をここまで絶妙な再生できるのはちょっと異様なくらいでした。若い世代のロックというのは、スタイル的に新しいものも古いものも時系列がぐちゃぐちゃになっているあたりが、節操なくてそこがまたおもしろかったりした訳ですが、このバンドはいわゆる「ニュー・ロック」一本やりで、この時代をほぼリアルタイムで体験できた私のような人間ですら、まるで「そのもの」を聴いているみたいな感じがしたくらいですから、その雰囲気やスタイルの換骨奪胎ぶりは群を抜いていたといってもいいでしょう。

 1曲目は60年代後半のサイケデリック後半期の雰囲気で、当時のアメリカの西海岸バンドのあたりのムードにちょっとブリティッシュ的な香りを混ぜたって感じですかね。あぁ、そうだアート・ロック期のディープ・パープルにとても近いかな。3曲目は典型的なブルース・プロジェクトとかヤード・バーズ風なもろブルース・ロック。5,9曲目はイントロからもう気分はジミヘン。6曲目は誰か聴いても「天国の階段」という感じで、とにかくあの頃のロックの香りが満載。それもかなり良い感じで再現しているんもんで、「一体、こいつら何者?。」って感じがします。きっと、両親がこの時期のリアル・タイマーとかそうんでしょうが、それにしてもここまで純粋培養的なのも珍しいんじゃないかと思いました。

 そんな訳で、このバンド2作目が出るのをけっこう楽しみにしていたのですが、結局それを待たずに解散してしまったようです。まさに時に埋もれてしまったバンドですね....と書きかけたところで、一応、調べてみたら、このバンドのリーダーだったマーク・フォードは、このバンドの後、ブラック・クロウズに入ってことが分かりました。ブラック・クロウズなんて知らないという人も多いと思いますが、数年前ジミー・ペイジを呼んで、全編レッド・ツェッペンのナンバーばかりで構成したライブ盤を出してしまったバンドです。もっともそのライブの時にはこの人抜けていたようですが、一作目で消えてしまったバーニング・トゥリーの血はブラック・クロウズに流れていたんですねぇ。
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フリースタイル・フロム・バルセロナ/various artists

2005年06月15日 23時40分03秒 | ROCK-POP
 これ、グリーンエナジーという日本のレーベルが出しているんだけど、スペインはバルセロナのテクノ・アーティストの楽曲を集めたコンピレーションらしい。全部で4枚あって、どれもフェロモン全開、俗っぽさ満開の日本のコギャルのイラストがジャケットを彩っていて、このジャケからして、そもそもオッサンである私にはほとんど縁のないアルバムとも思ったが、このアルバムはシリーズ中でも、もっとラウンジ風なアイテムを集めているアルバムらしく、ショップで視聴して、その正統派アンビエントテクノぶりが気に入り一発で購入を決めた。

 テクノという音楽も既に生まれて20年以上たってしまった訳だけれど、クラフトワークやYMO以降のターニング・ポイントは、80年代中盤のアート・オブ・ノイズ、後半のアンビエント・テクノ、そして90年代に入ってからのデトロイト・テクノだったと思う。比較的近年だとスクウェア・プッシャーだとかプロペラヘッズ、あとケミカルブラザーズなんかけっこう斬新だったけれどムーブメントになるほどのもんじゃなかった。私の聴いた感じでは、最近のテクノはそれこそ停滞したといわれた昔以上に、-スタイルを確立したといえば聴こえはいいけれど-、実質的にほとんど完璧に停滞しきっていて、その音楽的匿名性と機能性だけが存在価値になってしまっていると思う。

 この"Free Style From Barcelona"も、バルセロナで進行中のテクノの新しいムーブメントだとか、ユーロ・テクノの新モードだもみたいなところは薬にしたくてなくて、まさに前述の「匿名性と機能性」だけが売りのアルバムになっている。このアルバムの場合はラウンジ的なリラゼーションみたいな機能性が私の好みにあったという感じで、収録されたアーティストだとacuesの、まるで90年代初頭にタイムスリップしたような、典型的なアンビエント・テクノ(オレ的には「テクノ夜の音楽」といいたい)振りが、まずは私好みだし、よくわからないんだけど、YMOの小技をメインに出して一曲でっちあげるみたいなアーティストが多いのも、まぁ、自分で似たようなことをやっていたせいもあって、まるで他人とは思えないようなおもしろさを感じた(っていうか、オレならこうやるよなみたいな感じでニタニタするってーか)。

 しかし、昨今のテクノ・アーティストを、誰か大ナタ振るって音楽的指向別の分類してすっきりさせてくれないだろうか、だって、ほんとうにわからないんだもん。まっ、そういうことを気にして聴くもんじゃないんだろうけど。(2002年11月4日)
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