市原市議会議員 小沢美佳です

市政や議会の報告、日々の活動や想いを綴ります。
一番身近な地方政治の面白さが、皆さんに伝わりますように・・・

「津波の心配はない」は本当か?

2012-10-19 | 防災
この間まで暑い暑いと言っていたのに、やっと涼しくなってきたと思ったらもう10月も半ば。
バタバタと飛び回っていると、時の流れが特に早く感じられます。
この頃、夕方になると毎日のように頭痛が襲ってきて困っています。
もう少し余裕を持って過ごしたいけど、そうも言ってられません・・・。



さて、昨日から始まった毎年恒例の「町会懇談会」。
これは、市長をはじめとする市の幹部職員が各地区に出向き、集まった町会長の皆さんに対し、行政活動の説明をしたり、地区の抱える課題について意見を交わしたり、町会の活動報告を受けたりするというものです。
市内を11か所に分け、これから2週間にわたって行われます。

市域の広い市原市は、地区によって風土が違えば抱える課題もそれぞれ。
私は、自分の膝元の地区(市原地区)だけではなく、見識を広げるためにも他の地区の話もできるだけ聞きたいと思い、
さっそく、昨日は姉崎地区、今日は五井地区の町会懇談会にお邪魔してきました。


とても参考になるお話がたくさん聞けたのですが、今日は特に印象に残ったことを一つ・・・。

湾岸に位置する姉崎地区でのお話です。
市が津波避難計画について説明したことを受け、ある町会長がこんな意見を述べられました。

「市は『津波の心配はない』と強調するが、本当にそうなのか。
例え計算上は心配なくても、満潮時には予想外の浸水もありうる。
慢心せず満潮時には注意して必要あれば逃げるよう、住民に注意喚起することも、必要なのではないか」

私は、この方のおっしゃることは、まさにその通りだと思いました。

昨年の東日本大震災で大津波に襲われた岩手県釜石市で、小中学生の99.8%が助かったという「釜石の軌跡」は、ご存知の方も多いと思います。
その釜石市で2004年から危機管理アドバイザーを務めてきた片田敏孝氏は、自身の著書でこんなことを述べられています。

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2004年の新潟豪雨災害で被害の大きかった地域の住民に話を聞いたところ、
「浸水が進んでも避難勧告がなく、避難できなかった。市の責任は重い」というものが多かった。
確かに、それはそうだろう、情報もないまま水が来たら住民は怒るだろう、と理解はできる。
しかし同時に、あなたは逃げろと言われなければ逃げないのか、と言いたくなるような状況がここにある。

災害対策基本法のもと、50年にわたって、
堤防を作り、ダムを作り、砂防を作り、逃げなければ避難勧告を発令して教えてあげます、
こういう仕組みが進められて、日本の防災文化が定着してしまっている。
自分の命の安全を全部行政に委ねる。いわば、住民は「災害過保護」という状態にある。
これが、我が国の防災における最大の課題である。
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また、こんなふうにも述べられています。

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「避難」には、3つの考え方がある。
ひとつは、緊急避難(エバキュエーション)。命からがらの避難。
二つ目は、滞在避難(シェルタリング)。 避難所での一時生活。
三つ目は、難民避難(レフュージ)。仮設住宅などでの長期避難生活。
この三つの避難のうち、行政が対応できるのは滞在非難と難民非難である。
緊急避難については、個人個人みな条件が違うので、その主体は国民に返すべきである。
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もちろん、住民が「災害過保護」になってしまったのは、住民のせいではありません。
だからこそ、今後行政は、「予測では津波は来ないことになっています。皆さん安心してください」と強調するのではなく、住民一人一人が自分で自分の身を守るという気持ちをサポートするよう、もっと情報提供の仕方を工夫しなければいけないと思うのです。
姉崎地区の町会長の発言は、まさにそこをするどく突いていました。


・・・まあ、乱暴に言えば、
「行政を信頼してください。でも、まるっきり信じてもダメですよ。最終的に判断するのはあなた自身です」
というところでしょうか。
でも、なかなかこうは言えないしね(^_^;)

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