Japanese Curry Awards 2015 選考について雑感です

こんばんは。

既にお知らせの通り「日本のカレー文化に貢献したと思われるカレー店を、カレー好きの面々でしがらみにとらわれることなく、勝手に表彰」するJapanese Curry Awards 2015の受賞店が決定しました。

受賞店については1つ前の記事をご覧いただくとして、ここでは雑感をば。

(1)祝・スープカレー店受賞!
昨年のAwardsが決定した時点で、私を含めた審査員数名の中で「スープカレーも日本のカレー文化に貢献したといってよいのでは」という思いがありました。
昨年もスープカレー店のノミネート自体はあったのですが、代名詞といえるお店があまりなく、評価が複数のお店にばらけてしまったことで受賞を逃してしまったと思っています。
2015年上半期から実際に奥芝商店やポニピリカ、東京ドミニカに訪問してみて、改めてスープカレーの奥深さを感じました。

今年の審査会では、スープカレー店で受賞した奥芝商店と他のお店とで、かなり議論になりました。
カレー文化に貢献したという点において、ここ10年間スープカレーを世間に広く浸透させたのはマジックスパイスだと思われます。
ただ、マジックスパイスのスープカレーが、必ずしも世間一般的なスープカレーというのとも違うような感じということで、選からもれました。

(2)新人賞の扱いと営業形態について
今年の新人賞はハブモアカレー(表参道)、ダルバート食堂(谷町四丁目)と、関東・関西から1店舗ずつの選出となりました。
ノミネート選出の時点では、私はハブモアカレーに訪問していませんでしたが、審査会までに訪問したので受賞は納得しています。
新人賞の選出基準は「約1年前くらいにオープンしたお店」となっています。
ただ、他の審査員の方数名からカルパシ(浅草)を推す声もあり、結構意見が割れました。

カルパシには私は訪問していませんので、お店自体については何も言えませんが、以下はあくまで私個人の考えです。

カルパシは夜営業のバーを間借りすることで昼間にオープンしているお店です。
整理券を配布し売り切れたら閉店し、妥協しない作りと週替わりの各国のプレートには、一部のカレーマニアや知人の間で非常に高い評価を得ているようです。
開店前から行列ができて、今年下半期のカレー好きの間で話題を集めました。
料理自体のレベルは、この時点で頭ひとつ以上抜けていると絶賛する審査員もいましたが、このお店を受賞させてしまうのには疑問が残りました。

間借り営業は、ここ近年関西を中心に流行しているスタイルの営業形態です。
宿借りとも言われ「ヤドカリ系」とも言われます。
その波が東京にもやってきた形になります。
間借り営業自体は、出店の初期費用やテナント料などの負担が少なく、比較的挑戦的なメニューも出せることで、意欲的なお店も増えるという良い側面もあります。
R25の記事によると「こうしたお店は大家さんの了承さえ得ていれば、法的トラブルのもととなる賃貸権の又貸し(転貸)には当たらない」そうです。
ただし、日々自分のお店を持ち、そこに来てくれるお客さんに料理を提供して、料理の味を長年維持している多数のお店がある中で、間借り営業のお店を表彰してしまうのは気が引けるかなと思いました。
店舗を持ったときに、同じ品質で提供を続けられるかという疑問もあります。

また、カルパシは現状週末にも営業時間を設けてくれているそうですが、平日の昼間だけ・限定数十食というハードルの高さがネックになりました。
カレー文化に貢献するお店と考えた際に「誰でも訪問できて料理をいただける」という要素も大事かなと思いました。
何でカレーがここまで日本人の心を掴んだのかと考えた際に、即席ルゥなどの開発で調理が手軽になり、食べやすさなどが広く一般の家庭に浸透したからだと思います。

最終的に新人賞を受賞したハブモアカレーは、上の間借り営業から独立して店舗を構えました。
カルパシは現時点で受賞させてしまうより、将来独立して店舗を構えた年に、改めて新人賞の有力候補店と扱った方がよいのではないかという結論になりました。

(3)祝・名誉賞 新宿中村屋Manna!
私はナイルレストランを推しておいて何ですがf(^^;)
本当に直前までナイルレストランと中村屋のどちらを推すか悩みました。
どちらも歴史あるお店で、日本のカレー文化に広く貢献したことは異論のないところです。

日本のカレー文化、また日本とインドの文化交流を語る上でも大事なお店であり、今年は復刻版ビーフカレーの提供というビッグニュースもありました。
新宿のカレー店のラスボス的存在の中村屋が受賞したことは、とても嬉しかったです。


以上、私の雑感ですが、もちろん他の審査員の中には違う考えの方もいるかと思います。
建設的な議論で、今後も日本のカレーについて考える時間をもっていきたいと思います。

それでは、失礼します。
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