

芦「雪さん
世話になったな
」


雪乃「なに言ってるの
世話になったのは
私の方
芦さん、本当にお達者で・・・。」

私の方

芦「雪さんのこれからの人生を期待しているよ

儂も生きていたら、1年半後にまた来よう
」

雪乃「くすくす
それじゃぁ~、私も寿命の限り

生きて、また会えるように頑張るよ
」

芦「ああ
達者でな~
」


いつもの調子で漂々と去ってゆく芦さんを見送り、
私は、百薬師の仕事に戻っていった

そして月日は流れ・・・私は山の中腹にある洞窟に
社を変えていた・・・。
この当時、世の中には恐ろしいほど感染力の強い
病が蔓延し、今までの社では被害が出る可能性が
病が蔓延し、今までの社では被害が出る可能性が
あったのだ・・・。
雪乃「はぁはぁ
・・・・くっ



(こんな病・・・初めてだ・・・。
これはただの病じゃない・・・病に呪のような
ものがかかっている・・・どちらもどうにか
しなければ、薬なんて作れない・・・。)」
これはただの病じゃない・・・病に呪のような
ものがかかっている・・・どちらもどうにか
しなければ、薬なんて作れない・・・。)」
嘔吐、下痢、熱、全身の痛み、皮膚のかゆみ、
身体中から出血するこの病は、今までに体験した
病とは根本から違っていた・・・。
身体中から出血するこの病は、今までに体験した
病とは根本から違っていた・・・。
雪乃「はぁはぁ
・・・うっ
」


意識が定まらない・・・。
そんな中、私はある言葉を思い出していた・・・。
雪乃「(そっか・・・あれから1年と半年・・・。
この病が、私の最後の戦になるのかも
しれない・・・だったら、絶対に勝たなくちゃ
)」
この病が、私の最後の戦になるのかも
しれない・・・だったら、絶対に勝たなくちゃ

命の灯火が再燃してゆく

小さな灯火は、消える前に大きな炎を纏い、
自分自身を誇示するように高く明るく燃え広がって行く

数日の苦しみの中で、今までに培ってきた知識、経験を
フルに活かして、病と戦い続ける

何度も行ってきたことだが、これが集大成だと思うと
自然と力が入っていった

そして・・・。
兵助「雪乃~
」

雪乃「・・・あれっ
・・・兵助・・・帰って・・・。」

兵助「ああ
帰ってきたぞ
」


雪乃「兵助・・・早く・・・血を・・・肉を・・・。」
兵助「し、しかし
」

兵助の目には、ハッキリと写っていたのだろう。
今、血を抜き肉を奪えば、雪乃の身体は・・・。
雪乃「・・・大丈夫・・・今、取らなければ・・・
意味がなくなる・・・お願い・・・
」
意味がなくなる・・・お願い・・・

兵助「ううっ
・・・で、できない
」



雪乃「へい・・すけ・・・最後の・・・お願い・・・
聞いて・・・
」
聞いて・・・

兵助「雪乃~
俺には・・・俺は・・・。」

雪乃「・・・大丈夫・・・兵助なら・・・できるよ・・・。
へい・・すけ・・・なら・・・私は・・・
本望・・・だから・・・。」
へい・・すけ・・・なら・・・私は・・・
本望・・・だから・・・。」
兵助「雪乃・・・わかった

だから、逝くな
頼むから・・・
」


雪乃「わかった・・・頑張るよ・・・
」

そう言うと、兵助は薬となるものを雪乃の身体から
採取して行く・・・。
採取されたものは、違う薬師が寺に運び薬を作り出す

兵助「・・・雪乃・・・。」
心配そうに覗き込む兵助に、力の無い笑顔を見せる・・・。
雪乃「・・・大丈夫・・・まだ、大丈夫だよ・・・。」
兵助が私の命を奪ったように思わせたくない一身で
命の灯火をつなぎとめる

兵助「・・・雪乃・・・すまない・・・
」

雪乃「兵助・・・の・・・せいじゃ・・・ないよ・・・。
私の・・・命を・・・奪うのは・・・病でも・・・
兵助でも・・・ない・・・私・・・自身だから・・・。」
私の・・・命を・・・奪うのは・・・病でも・・・
兵助でも・・・ない・・・私・・・自身だから・・・。」
兵助「
」

雪乃「・・・あれ
」

兵助「ど、どうした
」

雪乃「大きな・・・木・・・・そっか・・・。
これは・・・兵助の・・・これが・・・根源・・・
神・・様・・・ありが・・・とう・・・
」
これは・・・兵助の・・・これが・・・根源・・・
神・・様・・・ありが・・・とう・・・

兵助「
」

雪乃「・・・そろそろ・・・良いみたい・・・
わたし・・・おとう・・さん・・に・あえる・・・かな
」
わたし・・・おとう・・さん・・に・あえる・・・かな


兵助「大丈夫
きっと、会えるよ


神主様に・・・たくさん・・沢山・・・褒めて・・・
褒めて・・・もらうんだぞ
」
褒めて・・・もらうんだぞ

雪乃「えへへっ・・・うれ・・し・・いな・・・。」
享年21歳・・・名を追うように、美しい真っ白な雪が
舞い散る中、雪乃は父の元へと旅立っていった
舞い散る中、雪乃は父の元へと旅立っていった

続く ・・・。







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世の中の根本的な黒いものを取り除いて、人が真っ直ぐ自分が思い描く幸せへ歩けるように思ってくださってるのかなぁと思うと(勝手ながらですけど)、なんだか強くなれます.°(ಗдಗ。)°.✨✨ ありがとうございます(´༎ຶོρ༎ຶོ`)
…で、芦さんが現代の誰なのか気になりますのと、雪乃さん以降、くだくすしは続いたのかが気になります。。。。
私も雪乃ちゃんみたいに人のために生きてみたい
かといって、どうしたら一番いいのか、という答えを出せるはずもなく(´;ω;`)
21年のうち、数年間の百薬師として生きた時間が、むしろ雪乃さんの魂には『生ききった』時間なのかもしれない
自分でも、矛盾だらけの感情になんとか折り合いつけてるところです
一回目読みでは、自分が父の看取り経験があるせいか、言葉にならない感情が溢れて気づかなかったですが、
よくよく読み替えすと最後に雪乃さんが見たのは、木人図ですよね
雪乃さんも巫女能力はあったけど、そうした他者を診るような力は最初から備わったわけではなく、
たくさんの経験や体験で、魂を生き重ねて、ようやく先生の代で見える力として繋がる、ということなのかな
百薬師の経験も、きっと意味あることだと思うようにします
だけど哀しい。やっぱり哀しいです。雪乃さん。過去世とはいえ、先生の魂です。
先生がいつも無事で、楽しく過ごせることを切に願っています
人間とは、不思議な生き物ですね。
先生、とりあえず、ケーキいっぱい食べてください。
{ねこ}
まさしく世の為、人の為に自らの命を捧げて生ききった人生。
雪乃さんの様な偉大な方がいたという事実を知らない人がほとんどであるというのはもったいないことです。
最期に視えた木人図、きっと兵助さんもこれから人の為に生きて偉大なことを成し遂げて行くんでしょうね。
幸せの形は人それぞれですよね。
雪乃さんの様な生き方は出来なかったとしても、取り敢えず、今目の前にいる人達を笑顔にしたいと思いました。