

桃代「・・・・・志郎・・・。」
桃代さんの一番弟子・安芸 志郎(あき しろう)さんは
50代でこの世を去った・・・。
桃代さんが初めて弟子として認め、名実共に跡目と考えていた
才能溢れる能力者は、他の弟子達にも優しく、実の兄のように
慕われていた
才能溢れる能力者は、他の弟子達にも優しく、実の兄のように
慕われていた

彼がこの世を去った後、桃代さんは現役から退き、
ほとんどのことは、弟子達に任せてきたようだ・・・。
透明「皆さん
やっぱり安芸さんのこと・・・。」

藤堂「・・・そりゃ~憧れだよ
」

田所「・・・大好きだった・・・。」
工藤「私も、本当に大好きだったんだ
」

越田「今でも、追いつきたいと想っている・・・
」

真鍋「ぐすん
」

透明「桃代ちゃん

皆、安芸さんが大好きで、今でも跡目は安芸さんしか
いないと考えていると想うんです
いないと考えていると想うんです

だから、安芸さんに追いつけていない自分が跡目なんて
考えている人はいないと思うよ
」

桃代「・・・そうだったのかい・・・。」
透明「桃代ちゃん

きつく聞こえたら御免ね

桃代ちゃんは、さっき、身内はいないと言っていたけど、
安芸さんのことは、自分の息子のように想っていたんじゃないのかな

でもね、ここにいる皆も安芸さんと同じように、
桃代ちゃんを母親のように慕っている子供達なんじゃ
ないのかな
」
ないのかな

桃代「
」

透明「桃代ちゃんは、安芸さんを失ったことで、弟子の皆に
気持ちを開かないようにしてきたみたいだけど、
それって、また、身内を失うことが怖いからじゃ
ないの
」
ないの

藤堂「
」

越田「
」

工藤「
」

田所「
」

真鍋「
」

透明「桃代ちゃんは、私から視ると知らず知らずのうちに、
そうやって自分の気持ちを誤魔化そうとしている
ように視えるんだ

でも、ここには、必死にお母さんに認められようと
お兄さんに近づこうとしている子供達がいるんだよ
お兄さんに近づこうとしている子供達がいるんだよ

安芸さんに近づければ、きっと桃代ちゃんは
自分たちを身内と想ってくれると信じて

そのことだけは、忘れないであげてくれないかな
」

桃代「
・・・・・あんた達・・・。」

藤堂「師匠・・・
」

越田「ぐすっ・・・
」

工藤「・・・師匠・・・
」

田所「・・・・・
」

真鍋「ぐすん
」

透明「跡目のことは、さておき
私が安芸さんなら

きっと今の皆さんに、楽に行こう 

って言ってると想いますよ
」


桃代「
」

藤堂「そ、それって
」


工藤「安芸さんが・・・
」

田所「・・・いつも、言っていた
」

透明「くすっ
皆さんは、皆さんの人生がある


能力なんていうのは、上手く生きるために
使えればいいだけの代物

誰かに追いつこうと努力したり、
誰かに認められようと必死になったり、
失ったものを忘れようとしたり、
生き方は人それぞれ様々だけど、
何よりも、自分に正直に楽しみながら
生きて行くことの方が大切なんじゃないかな
生きて行くことの方が大切なんじゃないかな

まさに、楽に行こう
この言葉は

今の皆さんにピッタリだと想います
」

桃代「透明ちゃん・・・
」

透明「それに、私は色々な人を視てきましたけど、
これほど家族をしているところは、なかなか
無いと思いますよ
」
無いと思いますよ


桃代「・・・・透明ちゃん・・・ありがとうね
・・・あんた達にも、迷惑かけたね・・・
」

・・・あんた達にも、迷惑かけたね・・・

藤堂「師匠
」

工藤「ぐすっ
」

田所「師匠
」

越田「ぐすっ
」

真鍋「うう~っ
ぐすん
」


桃代ちゃんを囲んで、やっとこさひとつに纏まった
みたいだ

めでたし、めでたしだね
って




あれっ
そういえば、泰蔵さんは




次回、消えた泰蔵さんが、大変なことに 



続く ・・・。







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