亜魂の華 (あごんのはな)
・6
しばらくして・・・

少し落ち着いた佐喜さんに私から
話を切り出す・・・。
透明「佐喜さん

大丈夫

」
佐喜「は、はい

・・・すみません

あんなに取り乱してしまうとは・・・


」
透明「いや

私ももう少しちゃんと説明してから
佐喜「い、いいえ

・・・・あの~っ

」
透明「うん

今から説明するね

」
佐喜「
何か、わかったのですか
」
透明「
全てね
」
佐喜「

」
透明「まずは、この石版のことだけど、
正直、佐喜さんがケースに戻す際に
裏面に書かれている模様を見て
驚いたよ

」
佐喜「この模様ですか

」
透明「うん

この模様は、
神事の際に用いられる
法陣なのだけど、こんな珍しい法陣は
私でも見たことが無い
」
佐喜「法陣て・・・
魔法陣とかいうヤツですか

」
透明「うん

まあ、そんな感じ

」
佐喜「・・・・・私・・・。」
そう言えば、佐喜さんて、大学の准教授だった

大学の准教授をしているのだから、非科学的なモノと
縁遠いのは当たり前なのに、私もいつものペースで
進めすぎてしまったかも

透明「佐喜さん、ごめんね

ちょっと非科学的すぎて、ついて行けない

」
佐喜「
私
魔法陣とか凄く興味あります 
」
透明「えっ


」
佐喜「私の父は、あまりこう言うようなことは
信じないのですが

私は、
魔法とか魔法使いとか
魔法陣とか
科学では解き明かせない目に見えない
不思議なモノってあると思うんです


ですから、先生のお噂を聞いて、本当に今日は
ドキドキしていたんです

きっと、今回のこともこの世の不思議な現象が
関係していると思っていたんです


」
透明「そ、そうなんだ

」
ちょっと、ビックリした

さっきとは打って変わって、活き活きしている

でも、これはこれで話が早くて助かるのだけど・・・。
透明「コ、コホン


それじゃ~、続けるね

」
佐喜「はい

」
透明「この法陣は、神事の際に使われる法陣と言ったけど、
少し特殊なものなんだ

通常は、神と人をつなぎ、神様の力をお借りする
為にこの様な法陣式をもちいるのだけど、
この法陣は、
人に神を降ろす為のモノと
考えられる
さっき、私が石版を調べる時にも、石版を使って
人に神を降ろそうとする儀式がビジョンとして
入ってきたから、間違いないと思うんだ

」
佐喜「人が神様になるということですか

」
透明「形的にはそうなるのだけど・・・。」
佐喜「

」
透明「この儀式は、神様を降ろす際、人間という器だけが
あれば良かったんだ

だから、その人の人格や意識、下手をすれば
魂自体は、
空っぽにしなければならない
」
佐喜「それって、
生け贄・・・

」
透明「そうなるね

だから、この石版を使った儀式は、人の魂を
消滅させ、残った器に神を降ろすという
儀式の為に使われたモノと考えた方が良いかも
しれないね

」
佐喜「そ、そんな

・・・そ、それで、儀式は

」
透明「ううん

幸い儀式は失敗だったみたいだよ

」
佐喜「よかった


」
透明「もともと、
この法陣式には欠陥があったんだね
でも、そのことでもっと厄介な問題も生じた
みたいだけど・・・。」
佐喜「

」
透明「・・・まあ、この話は置いといて
少し話を戻そうか

」
次回、佐喜さんを襲ったモノの正体が明らかに 
続く ・・・。