亜魂の華 (あごんのはな)
・14
佐喜「わ、わかりました


」
佐喜さんは、言われるままにスーツケースを
取り出す

透明「大丈夫です

触れはしませんので、
とにかく開けて
佐喜さんが取り出して
くれますか
」
佐喜「はい

」
佐喜さんは、スーツケースを開き、さっき同様
手袋をして石版を取り出す

透明「そのままでいてください

」
佐喜「は、はい

」
よし
さっきとは違う形で調べてみるか
私は、石版の力の流れを視てみる・・・。
透明「(・・・・力の流れは・・・やっぱり、微かだが
佐喜さんの方向へ流れている・・・。)」
佐喜「ど、どうですか

」
透明「申し訳ないのだけど、
石版を裏にしてみてくれる
」
佐喜「はい

」
佐喜さんは、石版を裏にする・・・。
透明「(・・・・・やはり・・・裏にある紋は、
流れを制御するものか・・・・この石版は、
人間に力を与えることが目的では無かったのが
幸いしたな・・・。)
佐喜さん

何とかなりそうです

」
佐喜「本当ですか

」
透明「
この石版は、元々人の魂を肉体から排除し、
神を降ろす為に作られたもの
そういう意味でも、亜魂を強制的に開き、
魂魄を外に出そうとした為、
中途半端に
亜魂が開いてしまい、念能力が発動して
しまったのだと想います
しかし、この石版では魂魄を排出させるだけの
力は無かった

では、この石版その後どう動くのか
中途半端に亜魂を開いてしまった石版は、
魂魄が出るまで、亜魂を開こうとし続けるはず

私も色々なモノを視てきましたが、古代のオーパーツ
のほとんどが、現代のパソコンのように、
その指示が
上手く行かなくても、指示されたことを遂行し続けようと
する傾向があるんです
」
佐喜「そ、それじゃ~


」
透明「やはりこの石版も、佐喜さんの亜魂を開こうと
今でも、力を送り続けているようです

」
佐喜「

」
一瞬、佐喜さんは石版から手を離そうとしたが、さすがそこは
研究者

自制したようだ・・・

透明「もちろん、これは賭けですが

通常であれば、佐喜さんの人生(木人図)が現時点で
寿命を迎えるというようなことが書かれていなければ、
佐喜さんの人生自身が修正を起こし、亜魂の華は
咲くことはなく、閉じていくと想います

ですから先ずは、この石版の影響を断ち切ることが
先決です

」
佐喜「それは、どうすれば

」
透明「本当は、石版を破壊することが一番手っ取り早い
のですが・・・。」
佐喜「

」
咄嗟に佐喜さんは、石版を抱え込む・・・

だけど、無理に佐喜さんとの契約を
破棄すると、
石版自体が砕けてしまう
可能性があるので、同じだし・・・

」
佐喜「そ、そうなんですか


」
透明「と、なると・・・やはり・・・

」
佐喜「

」
透明「
佐喜さんが契約してしまった石版との契約を
私に移しましょう
」
佐喜「えっ

」
透明「簡単に言えば、上書きするということになります

」
佐喜「で、でも、そんなことして、先生は大丈夫なんですか


」
透明「まあ、もともと私の場合は、亜魂が半開きになっている
から、これ以上咲かれてしまうと、
昇天ですね
」
佐喜「

」
透明「あははっ

まあでも、私の亜魂が咲ききる前に、私自身が
契約を終わらせる手順を踏んで、
正式に契約を終わらせれば
問題はないので、大丈夫だと想います
」
佐喜「そ、そんな


も、もし、上手く行かなければ

・・・・・・・・・・くっ


」
透明「おっと

」
佐喜さんは、急に石版を床に投げようとする

私はすかさずそれを制止した

佐喜「せ、先生

な、なんで

」
透明「佐喜さん

ダメですよ

佐喜さんにとって、この石版は厄介なモノだけじゃ無く、
大切な研究資料になるものでしょ
」
佐喜「でも

私が犠牲になるならともかく

先生が・・・

」
透明「大丈夫ですよ

それよりも、佐喜さん
私は期待しているんですよ
」
佐喜「

」
透明「この石版を佐喜さんが研究し、
古代のオーパーツの謎を
解き明かしてくれることを
もしかしたら、こんな時代だからこそ必要な何かを、
この石版はもらたしてくれるかもしれない

佐喜さんのように、情熱のある人が研究をしてくれたら、
きっと、解き明かすことができると想うんです

佐喜さんの研究は、いつか人類の進化を良い方向へ
導いてくれるものになる気がします
だからこそ、石版は佐喜さんの元へ現われたのだと
想いますよ

どの様なことにも、必ず理由があります

どうか、そのことだけは忘れないでくださいね

」
佐喜「・・・・・は・・・い・・・

」
さてと、石版と勝負しましょうか 

続く ・・・。