護禊の理(ごけいのことわり)・１７

護禊の理(ごけいのことわり)・１７


透明「まずは蒲田さん夫婦に縁のある神社で

　　　縁結びのお守りを家族分買います

　　　その上で次の事をおこなってください」

蒲田「は、はいメモしておきます」


御守印開放(ごしゅいんかいほう)


皆さんの中にも

「お守りは毎年いただくけど、ただ持っている」

という方も多いかもしれませんよね

今回お教えするのは、お守りを使った

縁繋ぎの方法ですが、他のお守りにも

それぞれ使い方があるので、そのお話は

また別の機会にお話したいと思います


ということで、早速ご紹介で～す

皆さんは縁を繋ぎ直したいというお相手が

いますか

そういう方には次の方法がオススメです

まず、自分とお相手に縁のある神社が

ある場合は、そちらの縁結びのお守りを

用意してみてください

もし、そういった神社が無い場合でも

自分の住んでいる地域を担当している神社さんから

縁結びのお守りを頂いてきてくださいね

お守りが用意できたら、そのお守りを

両手ではさみます

この時お守りの表面つまり

字の書いてある方が右手のひらにつくように

はさんでください

そこまで出来たら次の言葉をお守りに願います


「主縁となりしは良縁の、

　　　かくも久しき既縁なり

　縁遠く後刻なれど

　　　結び繋ぎ紡ぎて再縁とせん

　　　　　主縁となりしは◯◯◯◯とす」

(しゅえんとなりしはりょうえんの、

　　かくもひさしききえんなり

　えんとおくこうこくなれど

　　むずびつなぎつむぎてさいえんとせん

　　しゅえんとなりしは◯◯◯◯とす )


◯◯◯◯は縁を繋ぎ直したいお相手の名前です


詠唱中は、できるだけお相手の顔や

　姿を思い浮かべると効果的なので

　是非集中しておこなってください


祝詞は声に出さなくても良いので

　間違えないようにして唱えましょう


もし間違えたら、最初から唱え直せば

　ＯＫなので再度チャレンジです


祝詞は覚えられるならば、目をつむり

　お相手を想像して詠唱すると集中しやすい

　ですが、もし覚えられないようであれば

　文章を見ながら唱えてもＯＫです

　その際は、始める前と詠唱終わりには

　お相手を想像するようにしてください


お守りの効果は、通常１年ですが、

　このように特化した形でお守りを使う場合は

　３ヶ月が限度だと思うので、継続するなら

　３ヶ月ごとにお守りを新しくして

　やり直すようにしてください


透明「以上がやり方です」

蒲田「カキカキ・・・うんよし

　　　了解しました

　　　早速、やってみます」

透明「頑張ってくださいね

　　　それと最後にもう一度お話しておきますが

　　　この方法はあくまでも、繋ぎ留める

　　　というのが目的のものです

　　　ですから、縁をより太く強くするのは

　　　蒲田さんの努力次第だということを

　　　忘れないでください

　　　お守りは特化した方向性を与えてやれば

　　　かなり強力な力をもたらしてくれますが

　　　万能というわけではないので、

　　　そのことだけは忘れないでくださいね」

蒲田「わかりました

　　　これからは仕事ばかりではなく、

　　　家族との時間も考えて行動するようにします

　　　でも本当に今日は勉強になりましたよ

　　　時間と共に失われるものの多さも

　　　さることながら、いかに自分の

　　　行動と判断が大切かということも、

　　　努力すれば全て手に入れられると

　　　錯覚していた自分の傲慢さにも

　　　気付かされましたよ」

透明「くすくす当たり前の事でも

　　　普段から忙しくしていると

　　　忘れてしまうことも多いですよね

　　　でも、こういった当たり前のことを

　　　ふとした時に思い返せれば、きっと

　　　人生をより良くすることもできる

　　　のだと思います

　　　蒲田さんは自分の人生を一生懸命

　　　努力して進んできたのですから、

　　　過ぎ去った時間にとらわれずに

　　　これからの時間を上手に判断して

　　　行動に繋げてみてください

　　　きっと素晴らしい人生がまだまだ

　　　広がって行くと思いますから 」

蒲田「はい

　　　今日は本当にありがとうございました」


そう言うと、迷いの無くなった蒲田さんは

堂々とした面持ちで帰っていった・・・



護禊の理は、全ての人に平等に与えられた

時間と人生の関係を示すルールでもある

人が幸せと向き合うにはこういった理を忘れず

自分自身が納得し、後悔しない人生を

模索し続けることが大切なのだと改めて思う。


今回のお話が皆さんの人生にとって

良い学びになってくれることを願いつつ、

今日も鑑定に励む透明なのでした



　　　　　　　　完



(次回、今年を締めくくるご挨拶の

　記事とさせていただきますね)

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護禊の理(ごけいのことわり)・１６

護禊の理(ごけいのことわり)・１６


透明「方法をお教えする前に、一つだけ

　　　認識しておいていただきたいのですが、

　　　この方法は、あくまでも繋ぎ留める為のもの

　　　なので、これをおこなっておけば、全てが

　　　丸く納まるというわけではありません

　　　つまり、繋ぎ止めた先には最低限、

　　　自分自身の努力も必要だということを

　　　忘れないでくださいね」

蒲田「は、はい」

透明「では、蒲田さんにおこなって欲しい

　　　ことなのですが、蒲田さんって、

　　　結婚された時は神前式でしたか」

蒲田「ええ神前式です」

透明「その時の神社って覚えています」

蒲田「えっ

　　　いや、神社でおこなったわけではなくて

　　　結婚式場での神前式だったので・・・。」

透明「なるほど

　　　では、そこで神前結婚を進めてくれた

　　　神主さんの神社も分からないですよね」

蒲田「え、ええ・・・

　　　それだと出来ないんですか」

透明「いえいえそういう訳ではないのですが

　　　誓いを立てた神社さんを頼る方が早い

　　　というか、筋だったので・・・

　　　となると・・・

　　　それでは結婚した当初に住んでいた場所は

　　　覚えていますよね」

蒲田「それはもちろん」

透明「その家の管轄だった神社はわかりますか」

蒲田「はい毎年初詣には行っていましたから」

透明「それではその神社に行って縁結びのお守りを

　　　買ってきてもらえますか」

蒲田「えっ縁結びですか」

透明「そうそう」

蒲田「えっでも縁結びって・・・相手を

　　　見つける為のものじゃないんですか」

透明「あははははっ

　　　確かにそのイメージが強いですよね

　　　でも、縁結びは読んで字の如く、

　　　縁を結ぶ為に特化したお守りなので

　　　恋愛だけというお守りではないんですよ」

蒲田「そうなんですか」

透明「はいということで、

　　　蒲田さんに買ってきて欲しいのは、

　　　奥様とお子さんの人数分のお守りです」

蒲田「一つだけではなく」

透明「実は、お守りというのは対象がいる場合には

　　　対象に対して一つが基本なんですよ」

蒲田「そ、そうなんですね

　　　で、でも、お守りを持っただけで

　　　そんなに効果があるものなんですか

　　　運命を矯正するような事柄ですし・・・

　　　何か弱い気がしてしまうんですけど・・・」

透明「あははははっ確かに、お守りって

　　　ただ持っているイメージがありますし、

　　　効いているのかよくわからない

　　　かもしれませんよね

　　　でも、お守りも使い方次第です」

蒲田「使い方

　　　ただ持っているだけじゃないの」

透明「殆どの人が知らないかもしれないですけど

　　　お守りというのは色々な使い方があるんですよ

　　　それが、その事柄に憶えのある神様のものなら

　　　なおさらです」

蒲田「」

透明「簡単に言うと、お守りは持っているだけでは

　　　薄く広く効果を循環させるもので、

　　　ほんのちょっとの後押しをしてくれるもの

　　　になってしまいます

　　　しかしその効果を一つに集約すると、

　　　これが馬鹿にできないほどの強力なものに

　　　変わるんですつまり殆どの人がお守りの

　　　本当の使い方がわかっていない状態で

　　　お守りをただ持っている状態だったりするんです」

蒲田「ええ～～～っそうなんですか

　　　でもそんな方法教わったことないですよ」

透明「まあ確かに・・・昔はお守りの

　　　正式な持ち方や効果的な使い方などを

　　　神主さんなどから聞いたりする

　　　チャンスも多かったのでしょうけど、

　　　今の時代はそういった地域の繋がりや

　　　コミュニケーションが希薄ですからね

　　　そういった大切な口伝が失われて

　　　しまっているのは嘆かわしいこと ですけど、

　　　まぁ誰かが掘り下げて少しでも伝えていければ

　　　失われないと私は信じているので、蒲田さんも

　　　今日聞いたことをお子さんや大切な人に

　　　教えてあげてくださいね」

蒲田「ええわかりました」

透明「では、やり方をお伝えしますね」



(あっちなみに、この鑑定があった当時は

アクセスの法具はまだ作られていなかったので

それを念頭に読んでくださいね)




　　　　　　　　　　　続く・・・。

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護禊の理(ごけいのことわり)・１５

護禊の理(ごけいのことわり)・１５


蒲田「えっど、どういうことですか」

透明「あるんですよ方法

　　　まあ、全てとはいかなくても

　　　少しずつでも他の選択肢を拾うことが

　　　できるというだけですけどね」

蒲田「ええ～～～～っ

　　　それじゃぁ～さっきまでの深刻な悩みは

　　　なんだったんですか～～～

　　　ハゲるかと思いましたよ～～～」

透明「いやいや

　　　最低限、人生の選択は必要なんですよ

　　　今おかれている蒲田さんの現状では

　　　自分自身で自分の道をしっかりと

　　　選んでいただく必要があったので、

　　　まずは蒲田さんの判断が大切

　　　つまり、私ができるのは、蒲田さんが

　　　選んだ道の中で、どうやってこの旅路を

　　　円滑に進んでゆくのか失いたくないものを

　　　どうやって失わないようにするか

　　　どうやって補佐するかというのを

　　　考えるのが本来の私の役目なので、

　　　本筋を決められて良かったです」

蒲田「あっ・・・そ、そっか

　　　自分がどうしたいのかが決まっていない

　　　状態で、先生に鑑定してもらうのは

　　　確かにおかしな話ですよね」

透明「まぁ普通の鑑定なら、その道を

　　　選んでもらうお手伝いをすれば

　　　それで良いのでしょうけど、

　　　私は元来、お節介なんですよ」

蒲田「あははっ」

透明「では、もう一度確認しますが、

　　　蒲田さんは、今の仕事を継続する

　　　という道を選びました

　　　その中で、失うものは家族との絆です

　　　もう一つの仕事に関しては、

　　　選ぶことはできないのは分かっている

　　　と思いますが、家族との絆に関しては

　　　蒲田さんも断ち切らないように努力する

　　　ということで良いですか」

蒲田「はいお願いします」

透明「うん、だいぶ明確になってきましたね

　　　では護禊の理を利用して、絆を断たない

　　　ようにする方法をお話しますね」

蒲田「利用する」

透明「ええ

　　　護禊の理は時間の流れとその道筋から

　　　構成される約定です

　　　つまり、時間は過ぎてしまいますが、

　　　その流れの中には、蒲田さんが家族と

　　　強い絆をもって人生を謳歌する事象が

　　　組み込まれています

　　　つまりこの事象を失わないようにすれば

　　　後世に同じような事象を引き起こすことが

　　　できる可能性を繋ぎ留めることができる

　　　ということです」

蒲田「えっ

　　　そ、そんな都合の良いこと出来るんですか」

透明「自分だけの力では、まず無理でしょうね

　　　ただ、この世界の真理には、

　　　外からの関与という強みがあって、

　　　そういったことを組み合わせれば

　　　有るはずだったことを無くしたり、

　　　無くしたものを有ることにする

　　　ことすら出来るんですよ」

蒲田「・・・すみません

　　　チンプンカンプンです」

透明「あはははっそうですよね

　　　まあ、あまり難しく考えなくて良いので

　　　今から蒲田さんが失ってしまいそうなものを

　　　繋ぎ留める方法をお話しますね」




　　　　　　　　　　　　続く・・・。

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護禊の理(ごけいのことわり)・１４

護禊の理(ごけいのことわり)・１４


蒲田「うう～～む」


そりゃ～悩むよなぁ～

でも、仕事人間の蒲田さんが家族に

目を向けてくれたことが何となく嬉しい


透明「悩みどころですよね」

蒲田「自分でも何となく分かっているんですけどね

　　　今、家族との縁を取り戻せれば、

　　　老後は自分の人生を肯定できる

　　　ような生き方ができると

　　　しかし、実際は家族よりも今の仕事を

　　　中途半端で終わらせる方が自分にとっては

　　　後悔が残る気がしているんですよ

　　　ああ～～っどうしたものか」

透明「ひとつ聞いていいですか」

蒲田「はい」

透明「今時点では、やはり仕事を取る未来が

　　　描きやすいですか」

蒲田「それは・・・ぶっちゃけ、家族よりも

　　　仕事に傾いているのが本心です

　　　家族との関係は今の時点ではマイナスですし

　　　積み重ねてきた時間の量を考えても

　　　仕事に生きる方が自分には合っている

　　　気がしています

　　　これって、ひどい考えですかねぇ」

透明「いえいえ

　　　確かに客観的に見れば、家族を取る方が

　　　正しく思えてしまうかもしれませんが、

　　　これはあくまでも一般論でしかなくて、

　　　人それぞれ、幸せを感じるポイントは

　　　違くて良いんですよ

　　　ただ、これだけは忘れないで欲しいのですが・・・。」

蒲田「」

透明「人間は幸せになる為に生まれてきています

　　　言い方を変えれば、幸せを手に入れる

　　　チャンスはいくらでもあるということ

　　　でもあります

　　　人生は修行の場ではありますが、

　　　決して苦労をしなければならない

　　　という場では無いんです

　　　大切なのは、どのような状況でも

　　　そこで得た知識や経験というものを

　　　大切にし、学んでゆくこと

　　　そしてこの世は、個々の魂が幸せを求めて

　　　護禊の理の中で時間の旅をしてゆくものなんです

　　　そういう意味では全ての人の幸せは

　　　一律ではありませんから、自分の

　　　追い求める幸せを突き詰めて行くことは

　　　正しいのですよ

　　　ただ、このように幸せを追い求める

　　　自由な世界だからこそ、時間の経過で

　　　失われていくものも存在し、

　　　過ぎ去った時間で失ったものを数え

　　　憂いているばかりでは足が止まり、

　　　また時間だけが失われ、その時間の中で

　　　得られるはずだった事柄をまた

　　　失ってしまうことすらあります

　　　ですから人間は生きるという旅路の中で

　　　どれだけ後悔しない生き方ができるのか

　　　そして何を学び、どうやって自分らしい

　　　幸せを手に入れるのか

　　　ということを模索し実現することが

　　　人生最大の課題なのだということを

　　　忘れないでください

　　　それさえ意識できれば、きっと蒲田さんは

　　　自分らしい判断ができると思います」

蒲田「自分らしい判断・・・・。

　　　先生、やはり私は仕事を取ることにします

　　　もちろん、家族との関係はこれ以上

　　　壊さないように努力してゆくつもりですが

　　　それでも無理なら、自分の判断として

　　　後悔しないようにしてゆこうと思います」

透明「そうですか・・・・。

　　　とまあ、ここまでは普通の鑑定ということで、

　　　ここからが本題です」

蒲田「えっは、はい」

透明「えっだって、蒲田さんが私の所に来た

　　　ということは、普通の鑑定結果だけを

　　　求めて来たわけじゃないんでしょ」

蒲田「えっえっ」




　　　　　　　　　　　　続く・・・。

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護禊の理(ごけいのことわり)・１３

護禊の理(ごけいのことわり)・１３


あれから１０分・・・。

ぼちぼちだが、少しペンが動き出したかな

それでも、先程の会社のような

軽快な動きとは程遠い・・・


蒲田「う～～～～ん

　　　・・・ここまでですかねぇ」

透明「お疲れ様でしたどれどれ

　　　ふむふむ・・・なるほど・・・

　　　家族が常に笑顔で、子ども達からも

　　　慕われ、今まで出来なかったことを

　　　色々と一緒に取り返して行く・・・。

　　　孫にも恵まれ、後世は孫のオモリをしながら

　　　楽しく過ごしている

　　　良いですね～でもコレってちゃんと

　　　想像できましたか」

蒲田「うっ　先生お見通しですか

　　　色々と考えていたんですけど、なかなか

　　　自分の中からは浮かんでこなかったので

　　　先程先生が言っていたことを想像してみた

　　　だけな気がします・・・」

透明「あははっ

　　　何となくそう感じたので聞いてみたけど

　　　やっぱり想像しにくかったみたいですね」

蒲田「お恥ずかしい話だけど、今まで家族との時間を

　　　あまり大切にしてこなかったせいか

　　　今現在の妻の性格や子ども達の性格とかも

　　　上手く想像できなくて、都合の良いことを

　　　思い浮かべても全部否定してしまうんですよ

　　　例えば、息子と釣りに行くことを想像しても

　　　息子が付いてきてくれる想像ができなくて

　　　嫌がられたらどうしようとか

　　　そんなことばかり考えてしまうんです」

透明「なるほど・・・。」

蒲田「正直、これは私が家族に向き合っていなかった

　　　証拠でもあるんですよね・・・。

　　　自分は父がいなくて苦労したはずなのに

　　　今の子ども達は形は違えど、昔の私のように

　　　父がいない状況と変わらないのかなぁと

　　　ふと思ってしまって・・・上手く

　　　幸せな未来を描けないんですよ・・・。」

透明「なるほど・・・お気持ちはお察しします

　　　ただ、これだけは忘れないでください」

蒲田「」

透明「今、描いて欲しいのは後悔ではなく

　　　未来にどうしたいかです

　　　つまり自己都合上等で考えて良いんです

　　　お子さんの気持ちや奥さんの気持ちを考えて

　　　しまうのは悪いことではないのですが

　　　今は、蒲田さん自身がご家族との時間を

　　　選びたいかどうかを考える時間です

　　　ですから、過去のことは一度おいていただいて

　　　自分の理想だけを全面に押し出して

　　　自分勝手な想像をしてみてください

　　　考えるだけならタダですから

　　　もっと我儘に自分の理想を振りかざしてください」

蒲田「そ、そっか・・・

　　　何か考えすぎていたのかも

　　　先生もう少し時間ください」

透明「了解です」


少し吹っ切れたかな

先ほどとは別人のように、ペンが走っている


蒲田「よしこれでいいかな」

透明「どれどれ・・・・ほほ～っ

　　　なかなか攻めましたねぇ～

　　　でも蒲田さんの理想はなんとなく

　　　わかりましたよ」


蒲田さんが新しく書き出した中には、

蒲田さんを中心とした理想の家族像が描かれていた

その中でも蒲田さんらしいのは、お子さん達に

大人としてのアドバイスや教育、自分が

お子さんの未来を導く役目を担っている感じが

沢山書かれており、会社での蒲田さんが

居場所を変えた感じの理想となっていた。


蒲田「はぁ～・・・何だか疲れましたよ

　　　でも、こうやって考えるのって

　　　思っていたよりも楽しいかもしれませんね

　　　それに、なんか恥ずかしいけど、自分という

　　　人間が客観的に見れて面白かったですよ」

透明「そうですね

　　　理想は人それぞれ、今まで生きてきた

　　　価値観が素直に現れたりしますから、

　　　意外と見えていなかった自分を知る

　　　ためにも、自分の理想を考えるのは

　　　良いかもしれませんね

　　　さて、ご家族との理想的な５年後は

　　　描けました

　　　あとは、蒲田さんがどちらの未来を

　　　手に入れたいかです」

蒲田「・・・・・う～～～～ん・・・難しい・・・」



　　　　　　　　　　続く・・・。

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護禊の理(ごけいのことわり)・１２

護禊の理(ごけいのことわり)・１２


蒲田「私はやはり、今の会社に残ることを

　　　選択します」

透明「おっそちらを選びましたか」

蒲田「意外でしたか」

透明「そうですね

　　　蒲田さんのことだから、会社でのやり甲斐が

　　　大きい方を選ぶかと思っていたので、

　　　少しだけ意外だったかもしれません」

蒲田「確かに、これからの人生でやり甲斐を求めるなら

　　　新しい会社のような気がしていたのですが

　　　意外にもその会社で活躍する自分を想像

　　　した時に、自分がそのプレッシャーや期待に

　　　耐えられない気がしてしまったんです」

透明「ああ～何となくわかります」

蒲田「それに、今の会社には恩もあるので、

　　　もし残りの時間を会社への恩返し

　　　として使えるなら、そちらを選ぶのが

　　　正しいと思えたんですよ」

透明「恩返し」

蒲田「私は、幼い頃に父を亡くし、母が必死に

　　　私を育ててくれたんです

　　　もちろん当時は女性の給料も低いので

　　　貧乏暮らしでした・・・。

　　　当然、大学なんて出られませんでしたが

　　　今の会社の先代社長が学のない私を

　　　拾い上げてくれ、母に普通の暮らしを

　　　させてやれる程にしてくれました

　　　世代も代わり、今は社長の息子さんが

　　　後を継いでいますが、先代の社長への

　　　恩返しと考えれば、今の会社の支えになる

　　　ことは願ってもないことですし、会社と

　　　対立する可能性がある会社への転職は

　　　自分が許せそうになかったんですよ」

透明「なるほど

　　　その判断も蒲田さんらしい・・・。」

蒲田「あははっまあ今の社長にはそこまでの

　　　思い入れは無いんですけどね

　　　ただ何となく、自分の価値観で判断

　　　してしまいました」

透明「十分な理由だと思いますよ

　　　さて会社のことはこれで決まりましたが

　　　問題は、次の二択です

　　　これもご家族との理想的な未来を想像

　　　してほしいので、一度ご家族とのこと

　　　書いてみてくれますか」

蒲田「わ、わかりました・・・」

そう言うと、蒲田さんは５年後の家族との

最良な姿を想像し始める・・・。


透明「・・・・・。」

蒲田「・・・・・。」

透明「・・・・・。」

蒲田「・・・う～～～～～ん・・・」

透明「」

蒲田「ううっ・・・む～～～っ」


さっきから蒲田さんのペンが止まったままだ

蒲田さんにとっては、こちらの方が難しい

のかもしれないな・・・。



蒲田「う～む・・・先生申し訳ない

　　　いざ考えるとなかなか想像できなくて・・・。」

透明「焦らないで大丈夫ですよ

　　　もしご家族とのことで中々想像ができない

　　　ようであれば、昔、ご家族と過ごした

　　　楽しかった思い出をベースに考えてみると

　　　書きやすいかもしれないので

　　　もう少し考えてみてください」

蒲田「わ、わかりました・・え～っと・・・」


こりゃ～、時間かかりそうだ




　　　　　　　　　　続く・・・。

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護禊の理(ごけいのことわり)・１１

護禊の理(ごけいのことわり)・１１


透明「まずは、今の会社の方ですね」

蒲田「え～っと・・・」

透明「ふむふむ・・・なるほど～

　　　今の会社の場合は、会社からの信頼も厚く

　　　部下も成長し、自分の役割がはっきりと

　　　確立して、やり甲斐のある毎日を過ごしている

　　　という感じですかね」

蒲田「そ、そうですねな、何かちょっと

　　　ご都合主義的な感じがして、

　　　恥ずかしいですね」

透明「いやいや

　　　これが想像できたということは、

　　　そこに行くことができるということにも

　　　繋がります

　　　もちろん無茶苦茶な想像は無理ですけど、

　　　蒲田さんが出してくれた想像は理想に近い

　　　現実的なものですから、大丈夫ですよ

　　　まあ、そこに行くまでの過程は別として、

　　　本来人間はできない事を想像することは

　　　難しい生き物なんです

　　　つまり、有り得ない事は理性が働いて

　　　想像しきれないことが多いんですよ

　　　もちろん、これは最良の想像ですから

　　　そこまで行くにはそれなりの努力も必要

　　　だと思いますが、ある意味、努力すれば

　　　そこに到達できるという目安にもなるので

　　　蒲田さんにはそれだけのポテンシャルが

　　　あると自信を持って良いのですよ」

蒲田「たはは・・・本当に照れる・・・

　　　そ、それじゃぁ次は・・・。」

透明「新しい会社ですね

　　　こちらは・・・・ふむふむ

　　　なるほど～

　　　こちらの場合は、毎日気力も充実し、

　　　目標に向かって行動することができる

　　　会社での昇進と立ち位置の確立、

　　　元の会社との切磋琢磨な関係を築き上げ

　　　向上心を持って新しいことに挑戦し続ける

　　　ことができる・・・う～ん、悩ましいですね」

蒲田「そうでしょうか」

透明「えっ」

蒲田「今このメモを見て、ハッキリと

　　　したことがあります

　　　自分が今、何を望んでいるのか

　　　お陰で何となく見えてきた来た気がします」

透明「おお～っそれは良かった

　　　ちなみに蒲田さんは、どちらを選んだんですか」

蒲田「私は・・・。」


どちらの条件も非常に魅力的

だが、本当に今の自分が望むものというのは

その人、本人にしか分からないもの

さて、蒲田さんはどちらを選択したのでしょうか



　　　　　　　　　　続く・・・。

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護禊の理(ごけいのことわり)・１０

護禊の理(ごけいのことわり)・１０


蒲田「う～ん・・・今まで会社に骨を埋める

　　　覚悟を持って仕事をしてきたので、

　　　新しい仕事を選ぶというのは

　　　勇気がいりますよね」

透明「あははっ確かにそうかもしれませんね

　　　ただ、こういった時にオススメなのは、

　　　その場所で、５年後を最良な形で想像すると

　　　今の自分が望んでいることが見えてきたりも

　　　するんですよ」

蒲田「５年後ですか

　　　え～っと・・・

　　　５年後、今の会社での最良の姿と、

　　　転職先での５年後の最良の姿・・・

　　　ということか・・・。」


皆さんの中にも、迷っている方がいるようでしたら

一度試してみてください

とかく人間は最悪を想像することから始める

癖がついています

しかし本来の人間の力は最良を想像することで

発揮できるものなのです

そういった意味でも、近くも遠くも無い

５年というスパンは秀逸な長さで、

その場所やその人など対象のモノとの５年後を

自己都合で良いので最高の形で想像できれば

そのことは実現可能なものとなり、自分が

望んでいることにも気づけたりするので

オススメです

もしイマイチやり方が分からないという方は

次の手順で想像してみてください


１・少し気持ちを落ち着ける為に深呼吸

２・目をつむって、対象となる場所や物(者)との

　　五年後を最良な形で想像してゆきます

３・この時、そこまでの五年間を想像する必要は

　　無いのであくまでも五年後からの想像として

　　いただき、既に五年後はその場所にも人にも

　　完全に慣れた状態で気を使う必要の無い世界を

　　前提に想像しておくと良いと思います


４・想像することが何となくできたら

　　少し自分に問いかけて見ましょう


例・今が楽しいですか

　　やり甲斐を感じていますか

　　毎日が充実していますか

　　その場所または人のどんな所が好きですか

　　などなど、全てポジティブな状況が前提での

　　質問をすると良いと思います


５・この方法は、そこまで時間をかけて

　　おこなわなくても良いので、ある程度の

　　想像ができたら、メモなどに質問した

　　答えを書いてみてください

６・ここまで出来たら、次に比べる対象の

　　五年後も想像して同じように自問し、

　　メモを取りましょう


７・最後に２つのメモを見返してみて、

　　どちらがより楽しいと思えるか

　　比べていただき、 判断の目安にして

　　もらえると良いと思います
 

注・この一連をおこない、最初からどちらかが

　　どうしても前向きな未来を想像できない

　　ものだった場合は、既に自分の中で

　　答えが決まっていたりしますので、

　　そういった時は、自分の直感を信じて

　　最良を描ける方を選択するのがオススメ

　　ですので、是非試してみてくださいね


というわけで案の定、蒲田さんも上手く想像が

できなかったので、やり方を説明しながら

メモをとってもらった・・・



透明「うんできましたね

　　　それじゃぁ、早速、双方のメモを

　　　見比べてみましょうか」

蒲田「りょ、了解です」




　　　　　　　　続く・・・。

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護禊の理(ごけいのことわり)・９

護禊の理(ごけいのことわり)・９


お茶を差し替え、しばらくして・・・


蒲田「今ゆっくり考えたら、先生は

　　　ごく当たり前のことを言って

　　　くれているんですよね

　　　何かを得るために時間を使えば

　　　他のことには時間が使えない

　　　当たり前なのに何故か全てを手に入れられると

　　　勘違いしている自分もいて変な感じです

　　　自分の人生の選択がこういった状況を

　　　作っているのに、なんでなのだろう」

透明「それは蒲田さんが今まで

　　　一生懸命生きてきた証拠ですよ

　　　我夢者羅に自分の生き方を貫き通してきた

　　　蒲田さんだからこそ、足元が見えなく

　　　なっていたのかもしれませんよね

　　　でもこういった機会があることで、

　　　今までの人生を振り返ることできる

　　　もちろん今までの選択も、全てが
　
　　　上手く行くと信じて頑張ってきたこと

　　　なので、過去を後悔する必要もありませんし、

　　　蒲田さん自身は幸せを感じられることも

　　　多かったはずです

　　　ただ、改めて人生を振り返った時、

　　　失っていたものに気づくというのは

　　　多いものです

　　　どんな選択にも得られなかったもの

　　　というのは存在しますし、それを

　　　取り返したいと思えば、ここからの

　　　人生を変えて行けば良い

　　　人生の分岐というのは、こういうことに

　　　気づかせてくれるからこそ、悩みがいがある

　　　ものなのかもしれませんよ」

蒲田「確かにそうかもしれませんね

　　　こういったことが無ければ、今自分が

　　　置かれている現状に気づけなかった

　　　かもしれないなぁ

　　　実は、私も色々と考えていたんですよ」

透明「」

蒲田「仕事はこのまま定年まで続けて、

　　　家族の方は仲が悪いわけじゃないし、

　　　定年してからまた一緒に住んで

　　　余生を楽しめば良い

　　　なんて、都合の良い考えをしていた

　　　ものですから、正直、失うという考えに

　　　いたっていなかったんです

　　　今さら言い訳に聞こえるかもしれないけど、

　　　私が仕事を頑張れば家族も幸せなんだと

　　　思いこんでいた節もありますし、結構

　　　安易に考えていたのかもしれないですね」

透明「まあ、気持ちはわかりますよ

　　　ただ、難しいのは、自分の幸せと

　　　他者の幸せは、必ずしもイコール関係に

　　　なるとは限らないこともあります

　　　幸せの形は人それぞれ、それでも蒲田さんは

　　　家族の為に一生懸命働いて稼いできたからこそ
　
　　　まだ、やり直せる機会が残っている

　　　のだと思います」

蒲田「そっか・・・そう言ってもらえると

　　　少し気が楽になります・・・。」

透明「今回の分岐は、選択肢が３つに分かれて

　　　いるので、かなり悩みどころだと思いますが、

　　　少し気を楽に持って、まずは２つの内

　　　どちらかを選んでみたらどうですか」

蒲田「２つというと・・・あっ

　　　今の仕事と新しい仕事」

透明「そうそう

　　　それだったら、２択で済みますから

　　　自分の気持ちに正直に選べるんじゃ

　　　ないですか」

蒲田「た、確かに

　　　そうか・・・まずは仕事・・・・。」


どちらにしても、確実にこの２つは

どちらかしか選べない選択肢

まずは、この選択から潰してもらう方が

良いかもしれない

だけどこの選択も蒲田さんの今後を決める

大切な選択だから、しっかりサポートして

いかなくちゃね



　　　　　　　　　続く・・・。

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護禊の理(ごけいのことわり)・８

護禊の理(ごけいのことわり)・８


蒲田「今、お話しいただいたことを踏まえて

　　　考えると、選択するタイミングは

　　　周りの人の意思も関係してくるように

　　　感じるのだけど・・・。

　　　例えば３つ目の家族との縁を優先した場合、

　　　家族の為に自分が努力する必要があるので

　　　妻や子どもの機嫌次第で状況が変わったり

　　　しませんか

　　　それってかなり気を使うことにもなりますし、

　　　本当に幸せと言えるのでしょうか」

透明「くすくす

　　　では、３つ目は無しの方向で」

蒲田「えっえっちょ、ちょっと待って

　　　どういうこと」

透明「くす

　　　確かにその選択には奥さんやお子さんの

　　　気持ちも関わってきますが、どの選択肢にも

　　　その場にいる人の気持ちは関わってきませんか」

蒲田「あっ」

透明「蒲田さんは会社で色々な人と触れてきて

　　　上手く人生を進んできたから、そこには

　　　自信があるでしょうけど、触れてこなかった

　　　ご家族に対しての気遣いは想像できていない

　　　だけなんじゃないですかねぇ

　　　ただ私からすると、そこはあまり重要視

　　　するところではなくて、今の蒲田さんが

　　　３つ目を選択した場合、そういう心配や

　　　懸念を持っているということの方が

　　　重要なんです」

蒲田「」

透明「つまり蒲田さんは、ご家族に時間や

　　　気持ちを費やすことに幸せを感じられない

　　　と考えているということになります」

蒲田「あっ」

透明「本来、幸せというのは、その事に没頭し

　　　自分がやっていることを信じて疑わない

　　　からこそ得られるものです

　　　つまり、３つ目を選べるということは

　　　そういう気遣いや時間を費やすことですら

　　　自分の幸せと感じなければ意味がありません

　　　まぁこの選択をしたら、そういう気持ちも

　　　芽生えるとは思いますが

　　　家族の為に行動する自分が好き

　　　というのでも良いですし、

　　　自分の行動で家族が笑顔でいられることが幸せ

　　　自分が家族を守っているという自信がある

　　　大切な家族のために真剣に悩み問題を解決する

　　　こういったことは、どれも幸せに繋がる

　　　《行動》と《思考》です

　　　ですから、そういう事も含めて

　　　蒲田さんのこれからの人生を考えて

　　　選択していかなければならないんです」

蒲田「うわ～っちょっと恥ずかしい～

　　　確かに、そこに幸せを感じなきゃ、

　　　やれないことだったわ～

　　　当たり前のことなのに、なんだか

　　　まだ自分の中で落とし込めてない

　　　のかもしれない・・・」

透明「まあ、焦らなくても良いですよ

　　　今はこれからの人生を選ぶ大切な時

　　　ですから、自分の将来の幸せを

　　　しっかりと選んでください

　　　ただし、さっきも言ったように、

　　　物事は護禊の理の中に存在している為、

　　　あまり迷ってしまえば時間が経過し、

　　　どれも選べなくなることもありますから

　　　後回しにだけはしないでくださいね」

蒲田「わ、わかりました

　　　う～～～～～～～ん」


あちゃ～また悩み始めちゃったよ～

もう少し時間かかりそうだなぁ～


私は悩んでいる蒲田さんを鑑定室に残し、

お茶の差し替えを用意する・・・。


透明「(さて、ここからが本番かもなぁ～

　　　蒲田さんには納得のいくような

　　　人生を歩んでもらいたいから、

　　　色々と策を練っておかなくちゃな

　　　まあ、ここからが私の本当の仕事かな

　　　全てを丸っとはいかなくても、

　　　ある程度は網羅できる選択肢を

　　　導き出しておかなくちゃ)」



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護禊の理(ごけいのことわり)・７

護禊の理(ごけいのことわり)・７


透明「それじゃぁ～順を追って話しますね」

蒲田「お、お願いします」

透明「まず大前提として覚えておいて欲しいのは

　　　人間は欲を体現しようとする生き物だ

　　　ということ覚えておいてください」

蒲田「欲・・・ですか」

透明「つまり、全てを良くすることが

　　　できるのではないかという考え方が

　　　生まれやすいということです

　　　もちろんそれは、人間が本来有している

　　　能力がそれに見合ったものだからこそ

　　　考えられるものなのですが、この能力も

　　　制限のある中では、上手く使うことが

　　　できないようになっていたりもするんです」

蒲田「」

透明「つまり、時間という縛り護禊の理です

　　　蒲田さんのこれからの人生において、

　　　１つ目の人生を選ぶとなれば、２つ目は

　　　選ぶことはできないのは分かると思いますが、

　　　３つ目の家族との縁を回復することも

　　　それ相応の時間の縛りが存在するため

　　　かなり難しいものとなります」

蒲田「う～ん・・・

　　　ひとつ引っかかっているのですが、

　　　例えば、今の会社に残る選択をした場合、

　　　会社での仕事量も減るわけですよね

　　　そうなれば家族との時間を捻出することが

　　　できるのではないでしょうか」

透明「くすそう考えますよね

　　　しかし、それはあくまでも蒲田さんが

　　　会社よりも家族を優先して行動できた

　　　場合のみ、できる方法です

　　　例えば、今の会社に自分の存在意義を求め

　　　社会生活を送っている蒲田さんが、

　　　会社の大切な会議や取引の日に、

　　　家族の行事を優先して、仕事を

　　　休むことができますか」

蒲田「えっ・・・そ、それは・・・。」

透明「先ほどもお話したように、

　　　Ａの場所を選択した人が、同時に

　　　Ｂの場所に行くことができないのと同じで

　　　会社の会議を選べば、その時に家族の行事に

　　　参加できないということになります」

蒲田「えっでもそれなら別の日に家族の行事を

　　　おこなえば済むことじゃないんですか」

透明「確かにそう考えてしまいますよね

　　　しかし、その考えはあくまでも

　　　蒲田さんの自己都合を全面に推し進めた

　　　考えではないですか

　　　もしご家族の方がその日におこないたい

　　　と願っていたり、その日が特別な日だった

　　　とすれば、今の蒲田さんの考え方はやはり

　　　家族よりも会社を選んだものでしかない

　　　ということを忘れてはいけません」

蒲田「あっ」

透明「何となくわかってきましたか

　　　つまり、こういったことは、

　　　全ての事象が同時並行で進んでいるために

　　　選択しなければならないという

　　　縛りに他なりません

　　　人生の選択において、何を優先し

　　　何を諦めるのか　こういう選択は

　　　その人の生き方が反映されていて、

　　　得るものもあれば失うものも存在する

　　　ということを忘れないようにしなければ

　　　ならないんです

　　　まあ、これは大雑把な例えでしたが、

　　　今の選択であれば、会社での信頼は

　　　得られますが、家族の信頼は得られない

　　　という結果になります」

蒲田「う～ん・・・なるほど・・・

　　　・・・確かに難しい・・・」

透明「難しいですよね

　　　でも蒲田さんの気持ちもわかります

　　　もし、こういった事柄の全てが

　　　どの時間でおこなっても、同じ結果を

　　　導き出せるものであれば、全ての事柄を

　　　上手く行かせることは可能だと感じますよね

　　　もちろん、こういった人生の選択肢が

　　　生まれるということは、蒲田さんであれば

　　　どれも上手くこなせる能力があるから

　　　なのですが、難しいのはこれらの事象が

　　　同じ時間の中で進んでいるため、

　　　タイミングを逃せば得られなくなってしまう

　　　というジレンマに陥ってしまいます」

蒲田「なんだか、少し甘く考えていたのかも

　　　しれませんね　今まで色々なことを

　　　こなしてきた自信があったのですが、

　　　そういった自分が選択してきたもの

　　　以外の場所でも掴めるはずだったものが

　　　あったと思うと悔しい気持ちも出てきます」

透明「ただ、蒲田さんの人生において、

　　　今までの選択は間違ってはいなかった

　　　ことは忘れないでください」

蒲田「えっ」

透明「蒲田さんが納得し選んできた道だからこそ

　　　今の蒲田さんは木人図の幹にいるんです

　　　それは蒲田さんが今感じている幸せに繋がり

　　　しっかりと自分の人生を、より良く

　　　導いてきた結果なのですから、

　　　自信を失うことではないんですよ

　　　ただ、さっきお話したように、

　　　人間というのは、欲を体現しようと

　　　する生き物です

　　　ひとつの事柄で何かを得れば、

　　　次に得ていないものを求めるのは

　　　人として当たり前のことなのですが、

　　　得てきたものがちゃんとそこにあるのに

　　　得ていなものが存在することを

　　　後悔するのは意味がありません

　　　今一番大切なのは、自分の人生を振り返り

　　　得てきたものを自分でしっかりと理解した上で

　　　次に得るものを選択する前向きな考えです」

蒲田「た、確かにそうですよね

　　　・・・失礼しました

　　　ただ、もう１つ分からないことが

　　　あるんだけど・・・。」

透明「」



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護禊の理(ごけいのことわり)・６

護禊の理(ごけいのことわり)・６


蒲田「う～ん・・・」

透明「(結構悩んでるなぁ～)」


皆さんはどうでしたか

こういう選択は、それぞれの価値観や状況、

環境によって大きく異なるとは思いますが、

私的には、家族を大切にして欲しいと

思っていたりして・・・

ですが、これもあくまで私の主観であり、

個人の幸せへの価値はその人にしか決められない

ここは蒲田さんの判断を待つしかないか


しばらくして・・・。


蒲田「あ、あの、全て丸っと収まる

　　　選択ってないんですかねぇ～」

透明「んっ」

蒲田「まあ、最初の１つ目と２つ目は、

　　　同時におこなうことができないのは

　　　承知しているのだけど、３つ目の家族に

　　　関しては、同時に信頼を回復することは

　　　できないものなんですか」

透明「う～ん・・・・

　　　かなり難しいですねぇ～」

蒲田「えっ」

透明「もし、１つ目の道を選んだとして、

　　　今までの会社でのやり方や、

　　　やりがいを求める社会生活を

　　　変えることができるかどうか」

蒲田「あっ・・・」

透明「２つ目の道を選んだ場合、

　　　新しい仕事に慣れること、

　　　今の会社と事を構えるだけの

　　　覚悟をもって仕事をこなす中で、

　　　家族にしっかりと時間をさくことが

　　　できるか・・・どうですか」

蒲田「・・・・ううっ」


厳しいようだけど、蒲田さん自身が

それをできるタイプではないのは明確

もちろん変わることはできるだろうけど、

やはり今から家族の信頼を取り戻すには

それ相応の時間が必要になる

中途半端な気持ちでは、双方とも

上手く行かせるのは難しい・・・。



透明「厳しく聞こえるかもしれませんが

　　　全てを上手く行かせることは

　　　通常では神業に近いものなんです

　　　もちろん、蒲田さんが頑張れば

　　　状況は少しずつ変わるとは思いますが、

　　　どうしてもこの選択には、

　　　護禊の理が関わってきてしまうため、

　　　よほどの覚悟を持ってしても、

　　　かなり難しいものになると思います

　　　つまり、木人図を書き換えらるほどの

　　　奇跡を起こすしかないと思います」

蒲田「えっそ、そんなにですか

　　　・・・・ちなみに、護禊の理って」

透明「護禊の理は、人間に課せられた制約の一つ

　　　わかりやすく言うと、時間による制限

　　　のようなものです」

蒲田「時間の制限」

透明「う～んと、少し噛み砕いて説明すると

　　　全ての事柄というのは、同時並行的に

　　　この世界の中で時間を共有して存在します

　　　つまり、Ａの場所でライブを見ている人は

　　　同じ時間におこなわれているＢの場所での

　　　催し物には参加できない

　　　こういったことは、全ての人間が

　　　当たり前のように知っていること

　　　なんですが、これは事象に限らず

　　　思考や判断、人生の決断にも

　　　同じことが言えるものなんです」

蒲田「」

透明「つまり蒲田さんが１つ目の人生を得れば

　　　２つ目と３つ目の人生は選ぶことができない

　　　ということになります」

蒲田「んっんっ」

透明「正直、この解釈は当たり前なようで

　　　理解しづらいものなのですが、

　　　実際に、自ら選んで歩んだ道は、

　　　戻ることができるのですが

　　　これはあくまでも今まで別の道を歩んできた

　　　という事実を無くし時間を遡ることではなく、

　　　その時間を費やした上で、新たな道を選んだ

　　　ということに他ならないんです」

蒲田「うっ先生ごめん

　　　ちょ、ちょっと待って

　　　頭が混乱して、まだちょっと

　　　ついていっていないみたいで・・・」

透明「あははっそうですよね

　　　いきなりこんなこと言っても

　　　分かりづらいですよね

　　　じゃぁ、もう少し噛み砕いて

　　　順番に説明してゆきますね」



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護禊の理(ごけいのことわり)・５

護禊の理(ごけいのことわり)・５


透明「まず、１つ目は

　　　今の仕事に残る選択です」

蒲田「」

透明「この選択で得られるのは

　　　定年まで、自分のペースで仕事を

　　　おこないながら、後輩を育てることに

　　　生きがいを見いだせることです」

蒲田「えっと・・・どういうことですか」

透明「どの選択肢も、そのまま幹を通り続けることが

　　　条件ですが、今仕事を早期退職しなければ

　　　今後、仕事はスローペースになりますが、

　　　その分、後輩の指導をおこなったり、

　　　資格や趣味を持てる時間が増えて

　　　充実した日々を感じられるように

　　　なると思います

　　　その上、定年をしてからも会社に

　　　顧問として在籍することもできるように

　　　なるため、正に今の会社に骨を埋める

　　　ことができると思います」

蒲田「・・・ちなみに、失うものというのは」

透明「残念ながら、この選択をすると

　　　失うのは、家族との縁です」

蒲田「」

透明「今でも家を顧みない生活を続けているため

　　　こちらを選んでしまえば、家族と

　　　疎遠になってしまうことは明白です」

蒲田「それって本当に幸せの道筋なのでしょうか」

透明「先ほどもお話ししたように、

　　　この道筋は蒲田さんにとってつまり

　　　蒲田さんだけは幸せを感じられる道筋

　　　だということを忘れないでください」

蒲田「な、なるほど・・・ほ、他の道は」

透明「２つ目の道は

　　　会社を早期退職し、蒲田さんに声を

　　　かけてくれている恩人の会社に入り

　　　力を振るうことです」

蒲田「えっそれって」

透明「蒲田さん、心当たりがあるんじゃないですか」

蒲田「えっでも、それって・・・

　　　社交辞令じゃ」

透明「蒲田さんと同期で、数年前に退職した方で

　　　自ら事業を立ち上げた方がいらっしゃいますよね

　　　その方は、蒲田さんの能力を買っていて

　　　会社を辞めてからも、色々と仕事を

　　　回してくれた恩人でもあります

　　　その人に会社を辞めたら手伝ってくれ

　　　と言われているんじゃないですか」

蒲田「た、確かに、飲みに行ったとき

　　　そんな事を言われましたが、

　　　てっきり社交辞令かと・・・」

透明「彼は本気ですよ」

蒲田「」

透明「ただ、こちらの選択は、本当に

　　　よ～く考えて選んでください

　　　彼の会社に入れば、今以上に

　　　やりがいのある仕事をすることができ、

　　　充実した毎日を送れます

　　　収入も激増しますし、身体が動く限り

　　　仕事に没頭できますから真面目な蒲田さんには

　　　ピッタリの選択肢でもあります

　　　しかし、この仕事のデメリットは

　　　今いる会社と敵対するということ

　　　仕事内容が被る部分が多く、蒲田さんが

　　　頑張れば頑張るほど今の会社との

　　　対立は大きくなります」

蒲田「た、確かに、彼の仕事はそういった

　　　一面があるとは思っていましたが

　　　・・・う～～～ん」

そりゃ～悩むよなぁ～


透明「そして３つ目の選択肢です

　　　これは、会社を早期に退職して、

　　　家族との時間を大切にし、

　　　家族の縁を取り戻す道です」

蒲田「」

透明「この選択は、残りの人生を実のある

　　　優しい時間に変えてくれるもので、

　　　殺伐とした毎日から抜け出し、

　　　奥さんやお子さん、お孫さんとの時間を

　　　有意義に使うことができますし、

　　　お孫さんが産まれたら一緒にできる趣味

　　　などを持つことができ、安定した生活を

　　　送ることができると思います」

蒲田「この選択肢は、今の私の生活を

　　　１８０度変えるものですね」

透明「そうですね

　　　ただこの選択でも失うものはあります

　　　それは、今まで培ってきた仕事の能力と

　　　人脈との縁が切れてしまうということです

　　　つまり、半生からの引退・・・。

　　　この生活では、今まで蒲田さんが

　　　学んできたものは使えません

　　　もちろん新たな学びが沢山ありますから

　　　楽しい毎日を送ることはできますが、

　　　今までの経験が返って邪魔になる

　　　こともあるので、頭を柔らかくして

　　　生活を楽しむことが大切となります」

蒲田「う～～～ん

　　　・・・想像がつかない・・・」



さて、蒲田さんはどの人生を選ぶのだろう

皆さんなら、どの人生を選びますか



　　　　　　　　　　続く・・・。

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護禊の理(ごけいのことわり)・４

護禊の理(ごけいのことわり)・４


透明「とにかく、まずは蒲田さんの木人図を

　　　視てみましょうか

　　　たぶん今が蒲田さんにとっての大きな

　　　分岐点になっていると思うので・・・。」

蒲田「よろしくお願いします」


さて、蒲田さんの木人図にアクセス

今後の道筋を読み解き、最適解を

導き出します


透明「・・・・・。」

蒲田「・・・・・。」

透明「(こ、これって・・・・)」


蒲田さんの木人図には、複数の道筋が

用意されている

どの道にも今後の人生を大きく変える事柄が

記され、そこには良い面と悪い面の

両方が存在していた・・・。


透明「(うわ～っ流石にこれは選べないぞ

　　　あっちを立てればこちらは立たず、

　　　こっちを選べばあちらが無くなる

　　　う～～～～んこれは蒲田さんに

　　　選んでもらうしかないかも・・・)」

蒲田「先生、険しい顔していますね

　　　あまり良くない結果なのかな」

透明「すみませんお待たせしました

　　　結論からお話すると、蒲田さんの

　　　今後の人生には決断を迫られる事柄が

　　　数多く存在しています

　　　通常は、枝か幹かという感じで

　　　幹に進むことを優先してお話するのですが

　　　今の蒲田さんは枝から幹に戻る所にいて、

　　　本筋の幹に戻るにしても、木人図の縦のシワ

　　　つまり筋目(すじめ)となる道が色々と

　　　存在している為、どの道に乗るかで

　　　人生が大きく変わってきます」


ちなみに、この筋目を人生に置き換えて

筋道(すじみち)とし、その節を選ぶことを

節目(ふしめ)に差し掛かると表現します

この縦の線は、柾目(まさめ)とも呼ばれ、

木の正しい道筋を表現することから

「一本筋を通す」の語源にもなっています


蒲田「つまり私の今いる場所は、良い方向に

　　　進んでいるということなんでしょうか」

透明「もちろん、そうなりますね

　　　ただ結果的に視れば、どの道を選んでも

　　　幸せを得ることができるのですが、

　　　幹と言えど選び方次第で、得るものと

　　　手放すものが存在するため、こればかりは

　　　蒲田さんに選んでいただかないと

　　　いけないものになります」

蒲田「な、なるほど・・・

　　　ちなみに、その道っていうのは」

透明「蒲田さんに今からお話する道筋は３つ

　　　間違えないで欲しいのは、どの道も

　　　蒲田さんにとっては正しい道筋であって

　　　色々な幸せに直結しているということ

　　　それだけは忘れずに選んでみてください」

蒲田「わ、わかりました」



　　　　　　　　　　　　　続く・・・。

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護禊の理(ごけいのことわり)・３

護禊の理(ごけいのことわり)・３


透明「蒲田さん、これ受けるつもり」

蒲田「いや、未だ迷っていてね

　　　それを先生に相談しようと思ったんだよ」

透明「なるほど・・・。」


蒲田さんのような仕事人間には、ショックが

大きかったんじゃないのかなぁ

一心不乱に仕事をしてきた蒲田さんにとって

仕事を失うということは、考えてもいなかっただろうに

これは蒲田さんにとってかなり大きなことだぞ


透明「ちなみに、１つ聞いていいですか」

蒲田「んっ」

透明「蒲田さんって、趣味とか老後に何か

　　　やりたい事とかってありますか」

蒲田「う～ん・・・妻とは別居中だし、

　　　子ども達も寄り付かないしな～ぁ

　　　趣味といっても、付き合いでやってた

　　　ゴルフもそこまで好きな訳じゃぁないから・・・。」

透明「えっ奥さんと別居中なんですか」

蒲田「ああそういえば、先生には

　　　相談しないで決めちゃいましたが

　　　昨年から別居しているんですよ」

あんなに仲良かったのに・・・。

蒲田さんがここに来れなくなって２年が経つから

色々と生活が変わっているとは思っていたけど


蒲田「まぁそうは言っても、喧嘩してという訳じゃ無く

　　　生活リズムが合わなくなったというのが

　　　一番大きな原因なんだけどね」

透明「そ、そうなんですか・・・」


うわ～っ深刻なことをサラっと言える所が

蒲田さんらしいと言えばらしいのだが、やはり

予想通り、生活の全てが仕事になってる気が・・・。


透明「そうなると、やっぱり蒲田さんにとって

　　　仕事が趣味みたいなものになって

　　　いるのかもしれませんね」

蒲田「ああ～そうかもしれないね

　　　でも趣味である仕事の方から辞めるように

　　　促されると、本当に私には何も残らない

　　　ということを今更ながら叩きつけられた

　　　気がするよ・・・。」

透明「いやいや、まだ辞めろと直接言われた訳じゃ無いから

　　　このまま残ることもアリでしょ

　　　会社に残って退職までの時間を稼いだ上で

　　　その時間を使って退職後の身の振り方を考える

　　　というのも悪くないんじゃないですか」

蒲田「う～ん・・・

　　　先生の言っていることは分かるんだが、

　　　実際にこういったことを目の前にすると

　　　退職までの時間を稼いだところでどうなるのか

　　　考えさせられるんだよ

　　　それにここからは仕事も減らされる可能性もある・・・。

　　　そうなると何の為に仕事に出ているのか

　　　このまま惨めな気持ちになるのではないか

　　　とも考えてしまうんだよ」


う～～～ん・・複雑・・・

仕事が生きがいになっている以上、どうしても

こういう思考が優先されてしまうのは仕方がないが

やはり少し頭が固い気が・・・。

さて、相談者である蒲田さんの人生を

どうやって導いてあげるのが正解になるのか

しっかりと向き合わないと



　　　　　　　　　　　続く・・・。

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