

槙本「答えがあるのですか
」

透明「そうですね
答えと言うと御大層ですが、

誰もが死に対して、一度は恐れを抱く
理由はあるのではないでしょうか
」
理由はあるのではないでしょうか

槙本「
」

透明「槙本さん
先程も言いましたが、

兎角、人間は求める答えの前段階にこそ
その答えがあるものなんですよ
」
その答えがあるものなんですよ

槙本「前段階
・・・・・・う~ん・・・
」


ちょっと、頭が硬いかな

もう少し手伝ってみようか

透明「槙本さんは、死後の世界は無いと考えている

そして、死に対しての恐れは、存在の消滅が
有力だとおっしゃった

しかし、自ら望んで死を選んでしまった人からすれば、
死は直接的に恐れとは結びつかない

しかし、自ら命を断ってしまった人でも、最初から
死にたいとは考えていなかったはずですよね
」
死にたいとは考えていなかったはずですよね

槙本「あっ
」

透明「死を選ぶだけの理由はあったとしても、死を選ぶような
事柄さえなければ、決して死を選んだりはしていないはず

ですから、やはりそういった人でも死は最終段階での選択と
なります

そして、死を選んだ人が何故恐怖にとらわれないのか

それは、自らが選んで死を受け入れようと決めたからです
」

槙本「ああ~~~っ
そ、そうか
」


クスッ
気がついたかな


槙本「死は、自らが選べば恐怖の対象にはならないことがある

もちろん、それまでのプロセスの中で恐怖を感じる人も
いるかもしれないが、それは表面的な痛みや苦しみに対する
恐怖であって、死に対しての恐怖ではない

そして、自殺を選ぶ人でも、死は最終段階でしか選ぶことが
できない特別なものと認識すれば、やはり、これらの人達にも
死への恐れはあったということ

宗教的な知識を持つ者、そういった事柄に否定的な者も
この恐れは存在する

それは、死というモノと向かい合う前の段階に存在する恐怖

つまり、「自分は、いつ死を向かえるのか
」という疑問にある

ということでは無いのか

死は、どんな人にも平等に訪れるモノ

そうなれば、死を受け入れる者、受け入れられない者、抗う者も
でてくる

しかし、これらの全ての人々が、いつか来る死という当たり前の
事象に恐怖することは少なく、何時その時が来るのかを知ることが
できないことこそ、死というモノに対しての恐怖が生まれるという
ことではないか
ぶつぶつぶつ ・・・・・。」

ここから、しばらく槙本さんワールド全開

入る隙間がないので、それを見ながら、ひとりお茶をすする透明先生・・・

10分後・・・

槙本「先生
」

透明「ブッ
ふぁい
」



漫画のように、お茶が霧となり宙を舞う

槙本「だ、大丈夫ですか
」

透明「うっ、うん
ご、ごめんね
」


うわ~っ
はずかし~い


槙本「先生
それよりも、先生のおかげで、自分の考えが

まとまって来ました

本当に、ありがとうございました
」

あははっ
全然気にしていないのね・・・



透明「いえいえ
私は、あくまでも疑問をぶつけていた

だけですよ

でも、少しでも何かが得られたのであれば、嬉しいです
」

槙本「あ、あの~
」

ドキッ
もしかして、まだ何か・・・


槙本「また、来ても良いですか
」


ホッ
良かった


これ以上、ない頭を回転させたら、煙でそうだったよ

透明「もし、何かに行き詰まったら、いつでもお相手しますよ
」

槙本「今日は、本当にありがとうございました

良い論文が書けそうです
」

透明「あっ
槙本さん、最後に一つだけ良いかな
」


槙本「
」

論文が書きたくてウズウズしている槙本さんを呼び止める透明

次回、ファイナル
槙本さんに、悩んだ時のアドバイスを伝えます

槙本さんに、悩んだ時のアドバイスを伝えます

続く ・・・・。







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