・・・引退・・・
鑑定126ー11透明「
術式・・・展開・・・・」
先程描いた結界を組み換え、術式を構築してゆく
術式は、数式やパズルに似ている
あらゆる事象は、自然の摂理から生み出され、
その摂理から出ることはない

その
摂理となる力の流れと複合した自然の力の
方向を変え、新たな流れを生み出すことこそ、
術式の理(ことわり)である・・・。
揚羽「くっ

ご主人

ま、まだですか

」
透明「・・・・。」
揚羽「・・・・

」
透明「・・・・。」
揚羽「
ああ~もう
許してあげるから
早くして~~~~~っ
」
揚羽

・・・余裕あるんじゃないの


こっちは、突っ込む暇すらない

さすがの黒揚羽でも、実体に直接ダメージを
与えられず、
ただただ悪魔の本体を実体化
させないようにするだけというのは、
辛いかもしれない・・・。
悪魔は先程のように実体化(形の構成)しなければ
その力を上手く使えない

・・・しかし、
黒揚羽の攻撃で、本体の一部が一時的に霧散
するため、今はこちらに危害を加えられないが
すぐに戻ろうとしてしまう

その上、実体化の
再構築スピードがドンドン
早くなっているように感じる から、
黒揚羽も必死で実体化を阻止しなければ
自分も危ない

透明「よし

終わった

」
揚羽「
ご、ご主人

」
透明「あっ

し、しまった
タイさん
媒体を・・・

」
いつも、普通にサポートしてくれていた
タイさんは、今動けない・・・。
私は、いつもタイさんに支えられていたのだと
改めて思い知らされる・・・。
揚羽「
ご主人
もう、これ以上は
」
術式は組み上がったが肝心なものを忘れていた

悪魔は消滅させることができない・・・。
これは、中級の中でも上位か上級に対しての認識だが、
それには理由がある

詳しいことはここでは書ききれないが、
簡単な説明をするとすれば・・・
神が存在し、その神の意向と正反対の意向が存在しているとすれば、
その双方の意思は、常に陰陽のバランスを保っていることになる
つまり、そのバランスを崩し、悪魔という陰の意思を破壊すれば
その対となる神の意思にも強い影響が出てしまい
その意思が司る自然の理を壊すことに繋がるのだ・・・。
まあ、難しいことは、いつかお話しするとして、
今は悪魔の中には取り憑いたものから悪魔を
祓う(引き離す)ことはできるが、悪魔自体を
駆逐することができないものが存在すると
認識しておいていただければと思います

では、どのように対処するのか

存在を消せないのであれば、
存在を消すことなく何もさせなければ良い
つまり、こういった悪魔に対抗する人類のすべは
封印である
しかし、悪魔を封印する術式が描けても
それを封じ込める呪物が無い
正直、大ピンチの透明先生なのです

透明「六羽

タイさんの鞄に何か無いか

」
六羽「い、今、手を離しちゃうと

泰蔵おじちゃん、死んじゃうよ~


」
透明「くっ

(
万事休すか
)」
イチ「透明

こ、これか

」
透明「

」
離れていたイッちゃんが、タイさんの鞄から
大きなアメジストの塊を取り出し、私に見せる

透明「な、何でわかったんだ

い、今は、そんな事はどうでもいい
イッちゃん
それを私の前に投げて
」
イチ「
よっしゃ~
」
大きな掛け声と共にアメジストが宙を舞い、私の前に落ちる

透明「
完璧
揚羽
」
揚羽「はい

」
黒揚羽が急いで避難する

透明「
グルド・ベーゼ・・・・
パン

」
私の柏手が高らかに鳴り響くと同時に、
構築された魔法陣が、アメジストを媒体に
空間の特定気質を掃除機のように吸い込んでゆく
悪魔「
クゲッ
グオオオオオオオッ・・・・
」
悪魔の身体は、先程の白いモヤのようになり、
どんどん
アメジストに吸い込まれてゆく・・・。
揚羽「や、やった

」
透明「はぁはぁはぁはぁ

・・・この術式・・・キツイ
私の気もどんどん吸われてしまう
発動条件・・・もう少し考えないと・・・

」
完全に悪魔を吸収したアメジストを拾い
再度
上から結界を施す・・・。
透明「はぁ~

・・・終わった・・・

」
六羽「
おじちゃん
」
透明「

」
私は、六羽の声を聞き、急いで泰蔵さんの元へ走り寄る


透明「む、六羽

タイさんは

」
六羽「
うわ~~~~ん
」
透明「六羽

」
タイ「
と、とう・・めい・・・。」
透明「タイさん

しっかり

」
イチ「
お、親父
」
タイ「
・・・とう・・めい・・・イチは・・・
未熟だが・・・すじは・・・いい・・・
イチのこと・・・よろしく・・・頼む・・・。」
透明「タイさん

」
イチ「
親父~
やめてくれよ
死なないでくれ~
俺はただ、親孝行がしたかっただけなんだ
頼む、孝行する前に、逝かないでくれ~

頼む
頼むよ~~~~・・・
」
泰蔵さんの手が、力を失う・・・

透明「・・・・六羽・・・ありがとうな・・・

」
六羽「ぐすっ

・・・うん

・・・
間に合って良かった~
」
透明「えっ

・・・間に合った

」
六羽「えっ

うん
おじちゃん、もう、大丈夫だよ
」
透明「えっ

は、はい

」
タイ「
・・・・・く・・・くくっ・・・
」
透明「
タイさん
悪ふざけがすぎる

」
イチ「
ぐすっ・・・

」
タイ「はぁ~~~っ

・・・死ぬかと思ったんは
本当だから、良いだろう

」
ひょっこりと起き上がる泰蔵さん・・・

イチ「
親父
な、な、な、な・・・」
そりゃ~、そうなるよ

私達の涙を返してくれ

そんなわけで、この後、
イッちゃんに
無茶苦茶ドヤされる泰蔵さん
でも、何となく嬉しそうに見える・・・。
イチ「
プン
プン
」
タイ「も、もう、良いだろ

大の男がしつけぇ~なぁ~

」
イチ「うるせぇ

」
透明「はぁ~~~っ

・・・ところで、
この
封印石どうする

」
タイ「それは、お前に任せる

そんなもん、店に置いておくわけに
いかねぇ~からなぁ~

」
透明「そっか

じゃあこれは
御山で管理してもらうよ

それとイッちゃん
何であの時、
封印に使えるアメジストが必要って わかったの

」
イチ「ああ

・・・何だろうな

なんか知らんが、
頭の中で
アメジストを取り出せって
聞こえた気がしたんだよ・・・。」
透明「そ、そっか

(
もしかして、イッちゃんが持っていた あのオリーブの枝を媒体に、あの悪魔に 関わる神様が手助けしてくれたのかもしれない)
ところで、勝負の結果はどうなるの

」
イチ「あっ

」
タイ「まあ、その、何だ

・・・まあ、イチが一人前になるまで
しばらくは、小間使いだな

休みの日を使って、こっちを手伝って、
俺が認めてやったら後継がせてやるよ

」
相変わらず、素直じゃないなぁ~

あの時、あんなこと言っておいて・・・。
イチ「ふ、ふざけるな


だ、だが
・・・た、確かに、今回、俺は何も・・・ ま、まあ、
親父はいつ死んでもおかしくねぇ というのが今回わかったから、
仕方ねぇ~から手伝ってやるよ

」
あれあれ
親孝行が何とか言ってなかったっけ

タイ「ふん

好きにしろ

」
イチ「チッ

いちいち、指図するな

」
透明「はぁ~

」
まったく、この親子は


でも
まだもう少し、このままでいられることが
ちょっと、嬉しい透明なのでした・・・
完※明日は今年最後のご挨拶で締めさせていただきますね
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