昨日、某用事を済ませて「どうもまったく想定外の展開になってしまったなあ、でも、まあ、しゃあないなあ・・・」などと考えながら、すっかり日が暮れてしまった湖岸の道を庵へと急いでいましたら、闇の中にポッカリ十字架が浮かんでおりました。
神はほんとうにいるのか、あるいは神は死んだのか、などと神の存在については諸説紛々でありますが、単細胞のGGIは闇の中にぽつんと輝いている十字架を目にして思ってしまいました。ひょっとしたら、あのあたりに神さまはいらっしゃるのではないか・・・善は急げではありませぬが、GGI、すぐに十字架に向かって話しかけてみました
「あの~・・・突然で失礼ですが・・・神さま、あなたは今このあたりにいらっしゃるのではありませんか・・・」
しかし、GGIの声は無限の闇に吸い込まれ空しく消えていくだけであった・・・などと書きたいところですか、そうではありませんでした。ややあって声がいたしました
「誰かと思ったらGGIではないか、ほんとうに久しぶりだなあ、近頃はわたしのことをすっかり忘れて、もっぱら北向き地蔵様のほうにばかり行っているようだが・・・」
「ご存知でしたか、神さま、なにしろあのお地蔵様、一年365日24時間オープンなのでついお邪魔してしまうのです、どうかお許しくださいませ」
「いや、そんなことは気にしなくてもよか、それより今日はどのような用事なのだ」
「いや、用事というほどのことは何もないのですが、神さま、そんなところで、闇の中でポツンとひとりでいらっしゃってお寂しいのではないかと思いましてお声をかけさせていただいたしだいでございます」
「それはありがとう、でもGGIよ、神はいつもひとりなのだ、孤独なのだ、後期高齢者独居老人なんかよりもずっとずっとシビレルぐらいに孤独なのだ、孤独でいることこそが私の仕事なのだ、私の最大のミッションなのだ、そうでなければ神の存在を信じない人間の、その限りなく孤独な魂を理解し思いやることは不可能だからだ」
「神さまん、神さまはいつもいいことおっしゃいますね、そうですか、でもですねえ、ひとつお聞きしたのですが、あなたは神さまでいらっしゃいますから、このような冬の夜、闇の中でも寒くないですよね、湖からの冷たい風に吹かれても寒くなんかないですよね、そうですよね・・・」
「さむいよ・・・」
えっ!寒いのですか・・・神さまでも寒いのですか?」
「そうだよ、さむいよ」
「あヽ、そうなんですか・・・神さまでも・・・」
「GGIよ、どうかしたのか、私がさむいと言ってはいけないのか?」
「いえ、いけないというわけではないのですが、ただちょっと・・・」
「ちょっとどうしたんだ?」
「いえ、神さま、もういいんです、いいんです・・・」
「GGIよ、どうしたんだ、今日は何かヘンだぞ」
「いえ、いいんです・・・GGIは、寒い冬の夜は、闇の彼方からかすかに声が聞こえてくるのです・・・私には聞こえるのです、繰り返し・・・さむいよ・・・さむいよ・・・」
気がつくと、もう神さまの声はしませんでした・・・
なもあみだぶ・なもあみだぶ・なもあみだぶ・・・
今日の写真は闇に浮かぶ十字架を撮ったものです。よろしければクリックしてご覧くださいませ
グッドナイト・グッドラック!