先日、自民党の村上誠一郎議員が「財政、金融、外交をぼろぼろにし、官僚機構まで壊した、国賊だ」と故安倍元首相を批判したところ、「国賊」呼ばわりするのは許せないと党内で問題にされ、その結果、同氏は10月13日に党紀委員会で役職停止の処分にされたと報じられました。歯に衣着せぬ発言が安倍派の賊?議員たちの逆鱗に触れたのでありませう。村上氏「国賊だと言ったかなあ、はっきり記憶にないのだけどなあ・・人生落とし穴みたいなものがあるのだ・・・」とぼやきながら一応謝罪しました
ことの真相は不明ですが、GGIの察するところ、記者たちの取材に「ロクなことしてこなかったから、まあ彼は国賊みたいなものだようなあ・・・」などと気軽に答えてしまったのが大騒ぎの元ではないかと思います。つまり、もともとはたいした問題ではなかったのです。幼稚な空騒ぎといってもよいでありませう。
ところが、これで「国賊問題」は一件落着したと思っおりましたら、お隣の中国で、同じ日すなわち10月13日、「国賊問題」が突如急浮上しました。この国賊問題は中国国内では厳重な報道規制のためにまったく報じられていませんが、海外では広く伝えられています。
もうすでにご存知の方も多いことと思いますが、中国共産党大会開幕を直前に控えた6月13日、厳戒下にある北京、何者かにより中心部の高架橋に大きな横断幕が掲げられました。
横断幕に曰く
《 罷免独裁国賊習近平 》 (独裁者で国賊の習近平を罷免せよ)
中国共産党の総書記という役職の任期は5年、最高2期10年までというこれまでの慣例を破って、このたびの共産党大会においてお手盛りで3期目に入ろうしている習近平総書記を批判したものです。この横断幕を撮った写真は中国版ツイッターに掲載されましたが、すぐに削除されたとのことです(注:中国共産党の総書記は中国政府の代表者である国家主席を兼ねるとされています)
今日の写真は高架橋に掲げられた横断幕が写っているテレビの画面を撮ったものです。元がピンボケの映像ですので見にくいのですが、よろしければクリックしてご覧になってくださいませ。
この事件はBBCニュースが比較的詳しく報道しており、横断幕を掲げた人物は《道路わきで労働者に変装し、拡声器でスローガンを叫び、タイヤに火をつけた》とされています。本人は逮捕を覚悟していたようであり、急きょ駆け付けたパトロールカーに乗り込んだとのこと。海外のメディアはこの人物のことを「ブリッジマン」と呼んでいます
(蛇足:「ブリッジマン」というのは、あの1989年の天安門事件で戦車を素手でとめたことで一躍世界に知られることになった青年を海外のメディアが「タンクマン」と称したことをまねたネーミングです。しかし、あの「タンクマン」は後に「中国軍は戦車で人間を引き殺すような残虐なことはしない」と宣伝するために当局が仕組んだ「やらせ」であることが明らかになったと、当時北京駐在であったNHKの記者が「天安門事件」というPHPエディターズ・スクールが出版した本に書いています)
日本の村上議員は謝る意思を表明し一件落着でひと安心でしょうけれど、この習近平総書記を国賊呼ばわりした勇気ある人物の今後は極めて過酷なものとなるでしょう。このような行為が日本で行われたとしても、陸橋も交通施設のひとつでありますから、勝手に横断幕を掲げた行為はせいぜい道路交通法、という程度の事件に過ぎないものと思われますが、この人物は非公開の裁判で厳しい実刑を科せられることは間違いありません。場合によっては、中国ではしばしばあることですが、拘束された後に「行方不明」になったりしかねません。上記の本によれば、あの「タンクマン」はその後「消息不明」だそうです
ですから、この中国での国賊事件、たった一人での命がけの抗議行動であった言っても過言ではありません
同じような勇気ある行為は2年前にも見られました。2020年6月に開催された全国人民代表者会議(中国の国会に相当します)において、これまでの一国二制度を否定し香港を完全に中国化するための新法「香港国家安全法」が採決されたのですが、結果は全会一致ではありませんでした。議場内に設けられた電光掲示板には賛成2878票、反対1票、棄権6票と表示されていました。棄権は実質的に反対票であると言ってよいでありませう。ですから、圧倒的多数での可決とは言え、勇気ある人物は計7人いたということになります。このときのことは2020年6月12日の日記に書いております。関心のある方はご覧になってください。
そう言えば、GGIの身近にもちょっとした勇気の持ち主がおりました。2010年10月に中国の劉暁波という人物がノーベル平和賞に選ばれたものの、授賞式への出席を中国政府に阻まれるという事件がありました。
このときのことですが、わが庵から2キロ少々離れた湖岸の近くに住む同年配のわが某知人は、中国政府に抗議する大きな手書きのプラカードを掲げて湖岸の公園を歩き、ひとりデモを行いました。後日、この人物曰く、「プラカードを掲げてGGIさんのところまで歩いていくつもりやったんや、ところが、途中で中国人(台湾人?)の観光客の一団に取り囲まれたのでびっくりした、でも『一緒に写真を撮ろう!』と言われたので、もう一度度びっくりした・・・」と話しておりました。途中でくたびれてしまってわが庵までやってくるのは止めにしたそうです。独立独歩のなかなかユニークが人物でありましたが、昨夏病に倒れ、惜しくも帰らぬ人となってしまいました。合掌・・・
なもあみだぶ・なもあみだぶ・なもあみだぶ・・・
グッドナイト・グッドラック!
ことの真相は不明ですが、GGIの察するところ、記者たちの取材に「ロクなことしてこなかったから、まあ彼は国賊みたいなものだようなあ・・・」などと気軽に答えてしまったのが大騒ぎの元ではないかと思います。つまり、もともとはたいした問題ではなかったのです。幼稚な空騒ぎといってもよいでありませう。
ところが、これで「国賊問題」は一件落着したと思っおりましたら、お隣の中国で、同じ日すなわち10月13日、「国賊問題」が突如急浮上しました。この国賊問題は中国国内では厳重な報道規制のためにまったく報じられていませんが、海外では広く伝えられています。
もうすでにご存知の方も多いことと思いますが、中国共産党大会開幕を直前に控えた6月13日、厳戒下にある北京、何者かにより中心部の高架橋に大きな横断幕が掲げられました。
横断幕に曰く
《 罷免独裁国賊習近平 》 (独裁者で国賊の習近平を罷免せよ)
中国共産党の総書記という役職の任期は5年、最高2期10年までというこれまでの慣例を破って、このたびの共産党大会においてお手盛りで3期目に入ろうしている習近平総書記を批判したものです。この横断幕を撮った写真は中国版ツイッターに掲載されましたが、すぐに削除されたとのことです(注:中国共産党の総書記は中国政府の代表者である国家主席を兼ねるとされています)
今日の写真は高架橋に掲げられた横断幕が写っているテレビの画面を撮ったものです。元がピンボケの映像ですので見にくいのですが、よろしければクリックしてご覧になってくださいませ。
この事件はBBCニュースが比較的詳しく報道しており、横断幕を掲げた人物は《道路わきで労働者に変装し、拡声器でスローガンを叫び、タイヤに火をつけた》とされています。本人は逮捕を覚悟していたようであり、急きょ駆け付けたパトロールカーに乗り込んだとのこと。海外のメディアはこの人物のことを「ブリッジマン」と呼んでいます
(蛇足:「ブリッジマン」というのは、あの1989年の天安門事件で戦車を素手でとめたことで一躍世界に知られることになった青年を海外のメディアが「タンクマン」と称したことをまねたネーミングです。しかし、あの「タンクマン」は後に「中国軍は戦車で人間を引き殺すような残虐なことはしない」と宣伝するために当局が仕組んだ「やらせ」であることが明らかになったと、当時北京駐在であったNHKの記者が「天安門事件」というPHPエディターズ・スクールが出版した本に書いています)
日本の村上議員は謝る意思を表明し一件落着でひと安心でしょうけれど、この習近平総書記を国賊呼ばわりした勇気ある人物の今後は極めて過酷なものとなるでしょう。このような行為が日本で行われたとしても、陸橋も交通施設のひとつでありますから、勝手に横断幕を掲げた行為はせいぜい道路交通法、という程度の事件に過ぎないものと思われますが、この人物は非公開の裁判で厳しい実刑を科せられることは間違いありません。場合によっては、中国ではしばしばあることですが、拘束された後に「行方不明」になったりしかねません。上記の本によれば、あの「タンクマン」はその後「消息不明」だそうです
ですから、この中国での国賊事件、たった一人での命がけの抗議行動であった言っても過言ではありません
同じような勇気ある行為は2年前にも見られました。2020年6月に開催された全国人民代表者会議(中国の国会に相当します)において、これまでの一国二制度を否定し香港を完全に中国化するための新法「香港国家安全法」が採決されたのですが、結果は全会一致ではありませんでした。議場内に設けられた電光掲示板には賛成2878票、反対1票、棄権6票と表示されていました。棄権は実質的に反対票であると言ってよいでありませう。ですから、圧倒的多数での可決とは言え、勇気ある人物は計7人いたということになります。このときのことは2020年6月12日の日記に書いております。関心のある方はご覧になってください。
そう言えば、GGIの身近にもちょっとした勇気の持ち主がおりました。2010年10月に中国の劉暁波という人物がノーベル平和賞に選ばれたものの、授賞式への出席を中国政府に阻まれるという事件がありました。
このときのことですが、わが庵から2キロ少々離れた湖岸の近くに住む同年配のわが某知人は、中国政府に抗議する大きな手書きのプラカードを掲げて湖岸の公園を歩き、ひとりデモを行いました。後日、この人物曰く、「プラカードを掲げてGGIさんのところまで歩いていくつもりやったんや、ところが、途中で中国人(台湾人?)の観光客の一団に取り囲まれたのでびっくりした、でも『一緒に写真を撮ろう!』と言われたので、もう一度度びっくりした・・・」と話しておりました。途中でくたびれてしまってわが庵までやってくるのは止めにしたそうです。独立独歩のなかなかユニークが人物でありましたが、昨夏病に倒れ、惜しくも帰らぬ人となってしまいました。合掌・・・
なもあみだぶ・なもあみだぶ・なもあみだぶ・・・
グッドナイト・グッドラック!