Kitchen Troquet(キッチントロケ)食堂 Licht(リヒト)通販ベイクショップ

中目黒の小さな食堂。
2011開業から今までのこと、日々のこと。
2018から通販専門ベイクショップも始めました。

土曜日のよるのこと

2017年04月23日 | お店の日々のこと
雨のしうまつ、

おとずれたご家族がわたしに

「このひと、しってますか」と

写真を見せました。



ああわかります、

そうです、最近はおみえでないですけど

よくいらしていたかたですね。


「このひと、亡くなったんです」

えっ。


「2年まえ、登山で滑落して」

そうなんですか、、


「これが、そのときの記事です」

切りぬかれた新聞の記事、

アルプスのとある山で発見されたという

そのひとのことが書いてありました。



「わたしは父です」

そうなんですね、、、


「このお店によくきてたっていうので」

そう、そのひとは

会社のひとたちとお昼ごはんに、

ときにはひとりでよるごはんに、

ときどきお弁当を買いにきて

くれていたりもしていて


そういえばここのとこ

おみえでなくて

会社をやめたのかなーとか

ひっこしたのかなーとか

ちらりとおもったりしていて


そんなお知らせがくるなんて

おもってもいなくて


おとうさんとおかあさんと

おねえさん、

いまは亡き家族の好きだったお店で

ごはんをたべて

「ごちそうさま、おいしかった!」

という笑顔に

「またお待ちしてますね!」としか

かえせなくって


「またきます!」とみなさん

雨の降る夜のなかへ

消えていかれたのですけど



きっと

ご家族にとって、うちのおみせは

そのひとの「いきている」場所なのだ、

とおもいました。



わたしのなかにも、中根のなかにも、

いまだそのひとは確かにいて


和え麺が好きだったよなぁ、とか

カツレツもすきだったし、

ラーメンもやっぱりすきだった、とか

いまだって

ふらりときて、山盛りのごはんを

たべていくのじゃーないか、

というほどには息づいていて



そしてまた

彼はクライミングが、山がすきだった、

ということを知って


きっとこれからも

山に登りにいくたびにおもいだす

とおもうのです


わたしよりもふたつも若かった

あの男の子のことを。

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