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古い曲が気になる

古典 その2

2011-05-14 | 日記・エッセイ・コラム

            

 ポップスも、たまには古典のR&Bを聴いたりしたら、と、きのう書いた。きのう紹介したサム・クックのライブ盤は、リズム&ブルースの歴史的な名演だ。ぜひ一度聴いてほしい。

                         

 高校生のとき、古文・漢文が好きだった。だが、古事記、日本書紀を読んだのは、高校を卒業した18歳、大学一年のときだった。日本最古の歴史書だと、義務的に読んでいたので、ちっともおもしろくなかった。しかし、因幡の白兎やヤマタノオロチ退治の童話が、古事記が原典の神話だと知ったのは、驚きだった。

 いま、ドナルド・キーン教授の古事記の解説を読むと、また、40数年ぶりに読みかえてみなきゃ、と思ったりする。難解だった歌も、英訳してもらうとどんな解説より分かりやすい。

                 

 これは恋の相聞歌で、男に対する女からの返歌なのだ。英語に訳してもらうと、なかなか、なまめかしい。オオクニヌシへのヌナカワヒメの返歌だ。女の、恋の歌だ。

                        

青山に 日が隠らば ぬばたまの 夜は出でなむ 朝日の 笑み栄え来て 栲綱の(たくづなの) 白き腕(ただむき) 沫雪の(あわゆきの) 若やる胸を そだたき たたきまながり 真玉手(またまで) 玉手さし枕き(まき) 股長に(ももながに) 寝(い)は寝(な)せむを あやに な恋ひ聞こし 八千矛の(はちほこの) 神の命(みこと) 

 ドナルド・キーン教授は、こう英訳している。

Come in the dark of night
When the sun has disappeared
Behind the green hills
Come smiling, like the morning sun
In all its glory
And take in your embrace
My breasts, young and soft
As the first fall of snow;
Clasp me in your arms.
Then you will sleep,
Your legs stretched out,
Your head pillowed on
My jewel-like hands;
So do not press your love
Too importunately,
Great divinity
Of Eight Thousand Spears.

        『日本文学の歴史 1』ドナルド・キーン著 土屋政雄訳 (中央公論社 1994年)