tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

「保護主義に対抗」を削ったG20

2017年03月19日 11時06分40秒 | 国際経済
「保護主義に対抗」を削ったG20
 ドイツの保養地バーデンバーデンで開かれていたG20は昨日閉幕しました。
 結果は、アメリカのトランプ政権の威力は絶大という事を世界に示す形となりました。

 第2次大戦後の世界経済は、基本的に自由化路線、保護主義からの訣別を標榜して、世界経済の成長を支えてきました。しかし、その先頭に立っていたアメリカで、従来路線とは正反対の「アメリカ経済保護」「アメリカ・ファースト」を掲げたトランプ政権が登場しました。

 結果はどうかと注目していましたが、表題に書いた通りでした。代わりに入ったのは「世界経済への貿易の貢献を高めるよう取り組む」という文言で、「アメリカが万年赤字のような状態では、貿易が世界経済に貢献しているとは言えない」と読めそうです。

 確かに、アメリカが万年赤字では世界経済は不安定です。赤字をファイナンスするのは金融ですから、いつまたリーマンショックのようなことが繰り返されるのか不安は付きまといます。

 共同声明では、さらに「過度の世界的な不均衡を縮小し、さらなる包摂性と公正さを高め、格差を縮小するために努力する」という事だそうで、解りにくい表現ですが、貿易不均衡を縮小しよう、アメリカの赤字を少なくしようという趣旨なのでしょう。

 為替については、「為替相場の過度な変動や輸出を増やすための通貨切り下げへの誘導はいけない」とのことですが、 マネー・マーケットはどう反応するでしょうか。

 感じられたのは、トランプ路線をそのまま代弁したアメリカ代表のムニューシン氏の威力です。アメリカは悪くない、世界の輸出を受け入れ、輸出国はアメリカに頼り、結果はアメリカの万年赤字、輸出国は節度を考えろ、アメリカへの輸出ばかりに頼るな、という事なのでしょう。

 気持ちは解らないでもありませんが、通常の場合は、貿易赤字だったら、働いて生産性を上げ、産業の競争力をつけ、世界が買ってくれるような良い品物やサービスを出来るだけや安くできるようになることこそが重要なのですよ、という所ですが、今のアメリカにはこうした思考回路はないようです。

 トランプさんはもともと不動産業ですから、製造業などに比し生産性概念が希薄なのかもしれません。
 それでも、アメリカという大猫の首に敢て鈴をつけるような意見は、矢張り出ないのでしょうか。

 翻って日本は、貿易収支はともかく、経常収支では万年黒字国です。何時、不均衡という矢が飛んでくるやも知れません。
 このブログでも繰り返し書いていますように、 消費拡大を本気で考え、黒字減らしを自主的に目指すべきでしょう。
 それはアメリカのためにもなるでしょうが、本来、日本経済の安定成長への道なのです。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
<いつもお読みいただき有難うございます>
 お陰様で、昨日でアクセス数が10万を超えることが出来ました。2006年にplalaのbroachで出発して以来の累計は37万を超えています。お読みいただいている皆様には、心から感謝申し上げます。
 今後も、出来るだけ客観的データをベースに、続けてお読み頂けるような論評を書いていきたいと思っております。
 何卒、宜しくお願い申し上げます。(tnlabo)
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
 
      


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。