tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

消費者物価、一斉値上げもそろそろ終盤?

2023年04月21日 13時08分35秒 | 経済

このブログでは消費者物価の動きを毎月追っていますが、動きが複雑になって来て、傾向的な動きが掴みにくくなって来ています。

原因には、電気料金の政府の政策が一貫しない事や、鳥インフルの影響で、物価の優等生と言われる鶏卵の価格の大幅上昇などもあります。
ただ一貫して上昇傾向を示しているのが「生鮮食品とエネルギーを除く総合」です。昨年春以来の上昇傾向がまだ止まる気配がないという現状です。

下の図で、原指数の全般的な動きを見ますと2021年春ごろから、赤と青の線「総合」と「生鮮食品を除く総合」が上昇をはじめ、緑の「生鮮食品とエネルギーを除く総合」は一昨年の年末までは下がっています。

     消費者物価3指標の動き(原指数)

                   資料:総務省統計局「消費者物価指数」

これは当時、コロナ禍がひどく、消費が落ち込んで値上げなど出来ないという状態が続いたという事でしょうか。
一方ガソリンを中心にエネルギー関連は価格転嫁が出来たという事だったのでしょう。輸入物価高騰が消費者物価に影響しています。

しかし、昨年に入って、長期の消費不振で値上げできなかった加工食品や調味料その他日用品の一斉値上げの動きが出て、それまでの我慢の反動でしょうか、今年の4月、5月まで多様な消費物資の一斉値上げの波が続き、今年の4月、5月は第4波ぐらいになるのでしょうか。

一方エネルギー価格をはじめ、輸入物価は昨年秋から下がり始め、国内の企業物価もほぼ沈静、その影響が消費者物価にも及んできています。
下の図で見て頂きますと、今年1月、対前年同期比で4.3%まで上がった消費者物価の「総合」は、その後の上昇率を下げて来ています。


ここにきて赤い線が青い線を下回っているのは、生鮮食品が消費者物価を押し上げているという事ですから、これには生鮮魚介に加えて鶏卵の影響も大きいようです。

エネルギー価格は政府の電気料金政策で動くので、経済現象だけではないという面があり、ここでコメントすることはありませんが、問題は緑の線です。
 
         消費者物価3指数:対前年同月比(%)

                       資料:上に同じ

これは輸入物価や天候や鳥インフルの影響はほぼ除かれていますから、純粋に、日本の国内の人件費などのコスト、長年値上げできずに圧迫された企業利益の回復といった要因で動くものです。

そしてこの線はまっすぐに伸びて、赤・青の線を上回る3.8%という年間上昇率を示しています。
そして、この統計の翌月4月にも、さらに5月にも、何千品目とか何万品目の値上げが予定されていることがマスコミなどで報道されています。

最初の図(原指数)に戻っていただきますと、緑の線の上がり方はまだ青・赤の線の下にありますが、大分追いついて来ています。

これが青・赤を抜いてその上に出ると、(厳密ではありませんが)国内インフレが、海外インフレを上回ることになり、日本経済がインフレ体質になったことを示します。

という事は、そのあたりが現状の物価上昇の限度という事になりそうだという予想になるのではないでしょうか。
そのあたりに注目しながら今後も毎月見ていくつもりです。