tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

ドイツ、原発全ての廃止を決定

2023年04月17日 15時58分17秒 | 政治経済
ドイツは思い切りましたね。
世論調査では原発全廃には反対という意見の方が多いというのに、メルケルさんの方針の原発全廃を今の時点で実行しようと政府が判断したのです。
このドイツの勇断に対する、評価が、世界でも、また日本においても、あまり大きなものでない事に、何となく違和感を持ちます。

EUの電力ネットを持つドイツと日本は、いろいろ違うでしょう。ウクライナ問題で、ロシアのLNG供給が大事か、戦争と原発といった問題の判断をどうするか、などなど多様な要素を全て考えに入れながら、最終的判断に至ったのでしょう。

そして、結局、核分裂を利用した発電は、核廃棄物の際限のない拡大を齎し、人類社会の将来に禍根を残すという「核分裂利用は人類の誤り」という基本命題に忠実な結論に到達したのです。
この判断が「正」か「誤」かを決めるのはこれからの歴史でしょう。

些か話が逸れ、性質は全く違う問題ですが、この判断は、戦後、日本が「戦争放棄」を宣言したのと似ているような気がしてなりません。

そんなことを決めても通るはずはない「誰かにお世話になるだけ」と言われても、人類社会の将来を考えれば、「国際問題の戦争による解決は人類の誤り」という基本命題に忠実な判断を選んだことと共通点を感じるのです。

日本も今、「不戦」を守りきるかという問題で、ギリギリの状況に直面していますが、ドイツも、これから、原発無しで国民生活を安定させ、ドイツ経済社会の着実な発展のためのエネルギーを如何に確保するかという困難に直面するでしょう。

日本の問題は、ここでは論じませんが、ドイツはすでに再生可能エネルギーで40%以上を賄うところまで達しており、ロシアとの問題はあるにしても、多様な形でのLNGの確保、それに、いざという時には、豊富な石炭資源の活用は可能です。

恐らく、石炭にしても、従来の単純に石炭を燃やすのではなく、石炭のガス化、更にはCO2のメタネーションによるメタンガスの生成技術などの開発に総力を挙げるのではないでしょうか。

フォルクスワーゲンが完全EV化からエンジン技術を残す方針に転換、EUがハイブリッド車を認めたことも、日本ではトヨタ有利と報道されましたが、今後のメタネーション技術の進展を考慮したのではないかと思われます。

ドイツの原発全停止についてのマスコミの論調や種々の意見や書き込みの中にも、太陽光発電、風力、火力などの問題点を指摘し、原発全廃に批判的なものも見られます。
然し、メタネーションなどCO2の資源化の可能性についてはほとんど触れていません。

こうした新技術の今後や、火山国日本では地熱発電など、あらゆる努力を傾注しても、核分裂を利用して際限なく増え続ける核廃棄物の処理に行き詰まることを出来るだけ早期に終わらせることは、人類社会にとってにとって大変重要なことでしょう。

その問題意識から見れば、原発全廃に踏み切ったドイツの英断を、世界がもう少し評価し、、日本も日本なりの努力を嵩ね,核のゴミはこれ以上増えないという安心感を、世界の齎すことの重要性をより大切に考えたいと思う所です。