tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

消費者物価「コアコア指数」の日米比較

2023年04月13日 16時25分06秒 | 経済
この所物価の話ばかりで恐縮です。
アメリカの物価については、昨年の夏から秋にかけて追いかけて来ましたが、一応の落ち着きがみられたので、その後は楽観していました。

予想はほぼ順調で、アメリカのインフレは一段落という事のようですが、FRBのパウエルさんは、ことのほかインフレがお嫌いなようで、積極的に金利引き上げを行った結果、その副作用で、放漫経営気味の中堅銀行2行が破綻してしまいました。

これはショックだったようで、今回の金利引き上げはゼロか、上げても0.25%というところで議論があったようですが、結局0.25%の小幅引き上げで、未だアメリカのインフレの勢いは十分沈静していないという見方のようです。

そんなことで、それではアメリカのインフレと日本のインフレをちょっと比べてみようかと思います。

今日の経済の中では、大抵インフレの場合、物価上昇は、2つの部分に分けられます。
① 海外の物価上昇による輸入インフレ
② 自家製のインフレ(「賃金上昇+便乗値上げ」によるインフレ)
そして、大抵の場合、輸入インフレが起き、それを契機に自家製インフレが起きます。

輸入インフレには対抗できないし、その内、海外の物価が収まれば収まります。
自家製インフレは、原因が自国の賃上げや値上ですから、その国の人々が作り出しているわけで、賃上げと物価引き上げを繰り返しているうちは止まりません。逆にそれをやめればすぐに止まります。

輸入インフレは大抵の場合石油などエネルギー価格が原因です。ですから、消費者物価上昇の中で、エネルギーの上昇部分を除けば、「自家製インフレ」の部分が残ります。

序でに、もう一つのお天気次第の不規則変動要因「食料品」(日本では生鮮食品)も除いた方が「自家製インフレ」の計測は正確という事で、消費者物価指数の上昇の中から食料とエネルギーを除いた指数を「コアコア(芯の芯)」指数と呼んでいます。
(注)「コア指数」は食品(日本では生鮮食品)だけを除いた指数
   
      日米の消費者物価「コアコア指数」対前年上昇率の推移(%)

                  資料:各国統計

アメリカの「コアコア数」は昨年9月の6.7%がピークで、その後下げ続け今年3月には5.1%になっています。消費者物価全体では5.0%でこれはエネルギー価格下落のためです。FRBは、5%はまだ高い、2%ぐらいにならないとインフレマインドが収まったとは言えないと考えているのでしょう。

日本の場合は、昨年春から上がり始め、その後急上昇で今年2月には3.5%にまで来ています。この異常な上昇の背景には、生活用品中心の一斉値上げという特殊事情があるわけで、で、これは前回も触れましたが長年の背景があります。

日本の「コアコア指数」が5%まで行くとは考えられないような気がしますが、アメリカ現状に即反応、日本の場合は、我慢を重ねて値上しませんが限界を超えて噴出する形になっています。

日米ともに、政府の「インフレ・ターゲットは」2%ですが、これは「コアコア指数」でのターゲットと考えるべきでしょうし、日銀も、FRBもそう見ているはずです。

さて、どちらが先に目的水準に達するか、国民性も経済政策も違う中での同じ目標です。「ウサギとかめ」ではありませんが「どちらが先に駆け付くか」でしょうか。