tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

国民はリーダーに騙されないようにしましょう

2023年02月03日 13時49分39秒 | 政治
ロシアのプーチン大統領が、2日、第二次世界大戦でナチスドイツとの激戦地だった旧レニングラードで、演説をしたそうです。

動画入りのニュースで知ったのですが字幕の説明では、
「ナチスのイデオロギーが欧米とともに再びロシアの安全保障に対して直接的な脅威を齎している」として、ドイツを侵略者とし、第二次大戦でレニングラードを守り抜いたロシア兵士を称え、「我々は、この脅威に対して祖国を守るために戦う」ウクライナ侵攻の意義を強調したそうです。

ロシアでは、戦争の長期化、その犠牲の大きさから停戦の支持が増えているという報道もありますが、プーチンはウクライナ侵攻という自分の誤算を、ドイツは旧ナチスと同じだと強調することによって国民の愛国心に訴え、自己正当化をしているように見えます。

リーダーは、他国からの脅威を「自分たちは被害者だ」という事を強調し、国民の共感を得るという手法をよく使います。
メルケルさんがロシアに対し心して宥和的な政策を取ったなどということは、頭の片隅にも残っていないのでしょう。

少し冷めた目で、客観的にみれば、自分の立場の擁護、自分の地位の延命を図るリーダーの姿が丸見えです。

アメリカ大統領選に再出馬が言われるトランプさんの言動にも、被害者意識を強調して共感を得るという手法は巧みに使われています。

アメリカの栄光を再び、というスローガンと同時に、世界中の国や人々がアメリカを利用して儲けている、「お蔭でアメリカは損ばかりしている」という被害者意識の強調を忘れません。
多くのアメリカの人々が、俺たちの失業や低賃金は、外国のせいなのだと信じるのです。

アメリカの主要企業が中国に進出して低賃金を利用して巨利を挙げているのは棚に上げ、中国に関税戦争を仕掛けて返り血を浴び、国内外に多くのトラブルを起こして初めてトランプのウソがばれるのですが、それでも未だトランプ信仰者は数多いようです。

ロシアの場合は、プーチン政権による情報統制が大きな効果を持っているようで、太平洋戦争中の日本ではありませんが、大本営発表を信じる人が多かったように、プーチンの言う事が正しいと思う人がやはり圧倒的に多いようです。

アメリカの場合は、情報は自由ですが、難しい事は解らないが、解り易い言葉で、アメリカは被害者だ、被害のツケは皆さんに回っていると聞けば、「やっぱりそうだったのか」と納得する人が結構多いのでしょう。

翻って日本の場合はどうでしょうか。
日本は、情報は自由です。ありとあらゆる情報が入ってきます。北朝鮮が頻繁にミサイルを撃っていて、技術は進んでいうようだ。中国は尖閣列島の接続水域、時に領海に入ってくる。ロシアは北方領土を返すつもりはないようで、そこに基地を作っている。

そんなことは皆知っています。でも、現実に日本に侵攻してくると考えている人は殆どいないでしょう。

戦争をしない国である日本に侵攻するというのは、近代国家としては、世界の目が厳し過ぎるからという気持ちが、どの国にも根底にはあるのでしょう。

その日本では今、政権党が「毛を吹いて傷を求めて」(戦争する国になろうとして)いるようです。しかし多くの国民は、未だ上の空です。全く実感がないからでしょう。
しかし、実感が出て来てからでは、既に手遅れという事になるのではないでしょうか。

これからどうなるかを決めるのは、主権者である国民の仕事です。この度のロシアの状況に鑑みれば、国民が「早いうちに」問題に気付き、積極的な言論や行動により「国民の望む正しい選択」を政府がとるよう「民主主義の方法論で」問題解決をすべきではないでしょうか。