tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

2022年、盛り上がりを欠いた年末商戦

2023年02月09日 12時05分56秒 | 経済
一昨日、7日に、2022年12月分の家計調査が発表になりました。

1年前に比べ4%を超える消費者物価上昇という逆風の中で、GDPの個人消費を支える家計の消費支出の動きはどうかと案じていましたが、矢張り年末商戦は期待した盛り上がりとはいかなかったようです。

2人以上世帯の12月の消費支出は名目値では3.4%の伸びでしたが、対応する消費者物価の上昇が4.7%という事だったので、実質値では結局マイナス1.3%という事になりました。

毎月勤労統計では12月のボーナスが少し増えたと言っていましたが、それも活用して昨年より3.4%余計支出したのですが、物価の上昇に食われて、買えた「モノとサービス」は昨年より1.3%少なかったという事です。

この物価上昇は、長年に亘って値上を我慢してきた分が噴出したという面もあるので、許される範囲かとも思っていますが、今後の動きは電気料金などの国策次第でしょう。

話を戻して、家計の消費支出ですが、収入と支出両方が解る二人以上勤労者世帯の家計の消費意欲を示す「平均消費性向」のグラフも、昨年と一昨年の変化の比較が12月で完結しました。

     平均消費性向各月の対前年比較

                   資料:総務省「家計調査」

ご覧のように、2022年で前年より平均消費性向が下がったのは 3月と年末の11、12月だけで、その他の月は皆前年より高まっています。
そんなわけで昨年をきっかけに長年低下傾向にあった平均消費性向が下げ止まるのではないかと見て来ていまました。

そんな所へ11月、12月の小幅とは言え連続低下です。
勿論今後の数字の推移を見なければわからないところですが、昨年の11月、12月は消費者物価の上昇が3%台から4%台へと50年ぶり大幅上昇という異常事態の影響で、特に食料品では「あまり高いから買わない」気配もあったのかと読んでいるところです。

全体的には12月名目値消費支出(3.4%増)の中で、減っているのは住宅関連(マイナス9.9%、前年の大幅支出の反動)だけ、最も増えているのは値上がりした光熱・水道(15.9%)で、食料費の伸びが3.2%と低めですが他の費目は皆結構伸びています(2人以上世帯中分類)。

マスコミによれば、春闘を前に、大幅賃上げを実施したり表明したりという企業も多く、3月には政労使会議も開かれるようで、今年は何か雰囲気が変わる兆候もあり、これにコロナの鎮静化が並行すれば、それが現実になる可能性もありそうな気もします。

消費者物価の上昇もそろそろピークでしょう。国際情勢は険悪なようですが、日本経済に関する限り何か期待出来る年になるのではないでしょうか。