ラピダスが北海道に半導体の工場を作るとの記事がマスコミから報道されました。
いよいよ日本の半導体関係の巨大企業が本気で、日本製半導体の本格復活に動き始めたという事でしょう。最大の期待を持って、この動きを歓迎したいと思います。
ラピダス株式会社・Rapidus Corporationは、今日の日本の関連主力企業が一丸となって、最先端の半導体生産においての完全復活を狙うプロジェクトでしょう。
出資する会社はトヨタ自動車、ソニーグループ、NTT、ソフトバンク、NEC、デンソー、三菱UFJ銀行、キオクシアの8社です。
ソニーは、アメリカでショックレーが発明した半導体(トランジスタ)に目をつけ、当時アメリカでは補聴器ぐらいにしか使えないと思われていた半導体で世界に先駆けてラジオをつくり(トランジスタ・ラジオ)一躍半導体の将来を開いた企業。キオクシはもともと東芝の半導体メモリー部門が独立した専業企業です。
これだけの企業が集まって、かつて、世界の過半のシェアを持ち世界に君臨した「日の丸半導体」の再現を狙う会社が、その活動の舞台として北海道の千歳空港の近くに、いよいよ工場建設の具体的計画に入ったというのがマスコミの報道です。
思い返せば、日米半導体交渉という摩擦もあったでしょう。更には、円高による長期不況による日本経済の低迷、それによる関連技術者の賃金水準の相対的な低下、職場の縮小、その結果の関連頭脳・関連技術の海外流出といった長い時間があり、日本の半導体は韓国、中国に遅れを取ることになったのです。
既に円高の問題は解消して10年、しかし、一度低迷した技術力の回復は遅々としていたようです。
とはいえ、シリコンウェファから半導体製造装置まで世界トップラスの技術水準、シェアを持つ部門は日本国内にも残っています。
その上にこれから、回路線幅「2ナノメートル」以下の半導体の量産を世界に先駆けて目指すというのがRapidus Corporationの工場の当面する主目標になるのでしょう。
研究開発の方法論については、かつての「すり合わせ技術」のように、日本の研究と開発、技術と技能といった融通無碍の一体化が大きく役立つのではないでしょうか。
Rapidus Corporationはその経営理念として
1、世界最高水準の開発力、技術力、製造力を持つ工場経営を推進する
2、多くの大学、研究機関と連携しこの分野を拡大していく人材育成を核とする
3、真のグリーン化に向けてイノヴェーションを推進する
を掲げていますが、このうち特に「2」人材育成が注目されます。
Rapidus Corporaionという新たな壮大なプロジェクトが、企業が人を育てるという意味でも、大きな成果を挙げる事を期待したいと思うところです。
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最後に一つ、管轄する経済産業省へのお願いです。Rapidus Corporationに金を出すのは大変結構です。しかし、口と人は出さないでください。