tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

2023年1月も消費者物価は上昇基調ですが

2023年02月24日 14時22分56秒 | 経済
今日、日銀総裁に就任予定の植田氏が、衆院議員運営委員会で、政策方針や物価の見通しなどについて発言されたとのことです。

その結果、一時的に株価が上昇したりしたようですが、物価についての発言は極めてまともで、、今の物価上昇は輸入物価上昇の圧力によるもので、国際的な物価高が今後鎮静すれば、年度後半には2%を割り込むだろうという事だったようです。

原油価格等はすでに下落傾向にありますが、ウクライナ情勢次第という事もあり、エネルギーや穀物の海外価格は今後も種々懸念されるところです。

ところで今日総務省から、1月分の消費者物価指数が発表になりました。そろそろ国内物価も沈静化かと思わせましたが、そう簡単にはいかないようです。

特にネルギー価格は、政府のいろいろな介入があって、その咎めで、この春から改めて値上がりかなどと言われ、消費者物価の見通しを難しくしています。

例月通りの原指数の長期推移を見て頂きますと、2月はエネルギー(電気・ガス)の上昇が顕著で、青い線が一段と上げています。赤の線、緑の線は、どちらかと言うと鎮静方向ともみられそうです。

       消費者物価主要3指数(原指数)の動き

                      資料:総務省「消費者物価指数」

アベノミクスの期間中、長く値上げできずに鬱積した値上のマグマの噴出も一段落かと思っていたのですが、未だ別の要素が残っているようです。

最近の加工食品、惣菜類、外食などの再度の値上げ、第3次の値上げなどという話を聞きますと、第1波は鬱積分の値上げ、第2波は、最近の円安分も含む国際価格上昇やインフレムード、更には人手不足・賃金上昇の反映といった面もあるように思われます。

ただそうした面が中心の緑の線、日本の国内事情によるインフレ部分はは原指数の動きを見れば上昇角度を弱めています。

下の対前年同月のグラフで、緑の線の上げ幅が結構高いのは、1年前の下落の反動という事ですから、やはり基調としては次第に鎮静化に向かうと見ていいのではないでしょうか。

      消費者物価主要3指数の対前年同月変化率(%)

                         資料:上に同じ

こうして見ていきますと日本の消費者物価は、海外市場のインフレ要因の影響が小さくなれば、1~2%の国内インフレ(主として賃金コストインフレ)に収斂していく事になるのでしょう。緑の線が2%辺りに下がり青と赤の線がそれに近づくといった形です。

これは、黒田日銀総裁が早期実現を期待していたインフレターゲット「2%」が実現するという事です。
退任してから目標が達成されというのも残念ですが、それも政府の対応が10年遅れたせいかもしれません。

植田次期総裁も、多分その方向を考えているのでしょうが、我々も毎月の動きを追いながら、そのあたりを確り検分して行きたいと思っています。