tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

アメリカは何を考えているのか

2023年02月01日 13時51分20秒 | 国際関係
アメリカの歴史は250年ほどです。独立前のプリマスへの植民から数えても400年ほどです。
その400年ほどの間にヨーロッパの2000余年の歴史をなぞって、1945年以降は世界の覇権国の地位を確立しています。

植民船で上陸、先住民アメリカ・インディアンの征服、母国イギリスからの独立、奴隷制度・南北の内戦も経験、急速な経済発展、二度の世界大戦参戦を経て覇権国になるという超高速の発展進歩です。

そして戦後70余年、覇権国の地位を守り続けています。
覇権国の地位を守るには経済力と軍事力が必要です。冷戦では核戦力を含む軍事力を中心に覇権国の地位の維持に努めました。

その間経済力では日本が急速に追い上げました、日本が軍事力を持たず、戦後アメリカの援助で復興した友好国ですが、繊維交渉から始まって、自動車、半導体に至る経済競争の中で、部分的にも覇権国に挑戦するような状況になりました。

しかも、日本の勢いは、当時は大変なもので、アメリカは守りに追い込まれることが多く、特に1970年代から90年代にかけての二度の石油危機後のスタグフレーションで苦しんでいたアメリカは、覇権国の地位を守るために、日本の追い落としを計りました。

それがプラザ合意です。G5の場を利用したこの試みは大成功をおさめ、円レートは2倍ほどに切りあがり、日本経済は深刻な長期不況で低迷、経済面での脅威はなくなりました。

その後、ソビエト崩壊もあり、アメリカの覇権国の地位は安泰かと思われましたが、改めて急速に経済力をつけてきたのが巨大国の中国です。
このままでは2030年ごろには中国GDPはアメリカを抜くという予想も出始めました。

中国の急成長に対してもアメリカは人民元の切り上げで対応しようとしましたが、日本の経験を見ていた中国は拒否、成長を続けました。

トランプ大統領になり「アメリカ・ファースト」で、アメリカは関税戦争という形の経済戦を挑みました。
アメリカも返り血を浴びましたが、中国の不動産価格ベースの経済成長の行き詰まりやコロナ問題もあり中国の経済成長率は低下、先行きは不透明の状況です。

一方、軍事的な局面では、ソ連のウクライナ侵攻が世界の問題になる中で、中国は台湾進攻を示唆してアメリカを牽制、覇権国の地位と、自由世界の防衛とを重ね、アメリカは覇権国の地位堅持に着実に動いているようです。

アメリカは、二度の世界大戦に勝利しているわけですが、その間アメリカ本土は無傷です。
これはまさに地政学的な条件によるものですが、今は違います。
太平洋、大西洋を飛び越えて核弾頭がミサイルに乗って飛んで来る時代です。

この状況の中で、アメリカの最大の関心事は、本土の安泰、つまり核不使用でしょう。
先ず、ロシアが核を使う事態は絶対避ける、更に、もし台湾有事となってもアメリカ本土にミサイルが飛んでくるような事態は絶対避ける事を考えるでしょう。

そのために何が必要か。アメリカはニコニコしながらも常に、物事は冷徹に考え、あらゆる能力を駆使して、本土の防衛を確実にしようと考える国なのでしょう。

そうしたアメリカに倣えば、日本も事態の本質を冷静に理解し、日本の国民のために最善の選択は何なのかを確りと見定める目が、総理をはじめ、政治家、官僚、あらゆる場面でリーダーとなる人には必要なように思われてなりません。