tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

新型コロナ:データを重視する政策を

2021年02月06日 15時27分59秒 | 政治
新型コロナ:データを重視する政策を
 新型コロナの感染状況を知るための、多少信頼できる数字が出てきました。
 厚生労働省は5日、新型コロナウイルスの感染歴を調べる抗体検査を5都府県の計約1万5千人に実施した結果を発表したのです。
 対象は、調査に同意した一般住民で、5都府県で15000人ですから、「同意した市民」という点では偏りがあるにしても、サンプル数としては、かなり信頼性の高い調査と言えるでしょう。
 その結果、抗体保有者は、東京0.91%、大阪0.58%、愛知0.54%、福岡0.19%、宮城0.14%という結果だったとのことです。

 これに各県の新規感染者の累計と、それぞれの都府県の人口を並べて、関連する表を作りますと次のようになります。



 厚生労働省の調査した抗体保有率が各都府県の実体として代表性があるとすれば、各都道府県の抗体保有者数(A)は、表に示したようになります。 
 その内、PCR検査を受けて感染(陽性)とされた人は都道府県の感染者累計(B)として発表されていますから、この2つを比べてみました。

 A/B(参考)の欄の数字がそれですが、数字が1より大きければ、感染者として把握されて人よりも抗体を持っている人の方が多い、つまり、保健所は把握しなかったけれども感染して抗体を持っている人がいるという事になります。

 A/B(参考)の欄の数字を見ますと東京と大阪は1.22と1.14で、感染が把握された人よりも、把握されなかったけれど感染して抗体を持っている人が、その1~2割ぐらいいるのかなという感じです。

 愛知の場合は、1.66ですから把握された感染者のほかに、把握されなかった感染者が、その7割近くいるという事になります。
 逆に、福岡の場合は、把握された感染者の6割ほどしか抗体を持っていないということになって、これは現実にはあり得ない状態でしょう。
 宮城の場合も、感染者累計より抗体保有者の方がいくらか少ないという事ですが、これは誤差の範囲かなという感じです。

 こうしてみますと、東京、大阪、宮城は、感じとしては、把握された感染者と実際に感染した人(抗体保有者)の数にあまり大きな違いがなく、把握された感染者数が感染の実体にほぼ近い可能性が高いようです。

 一方、AとBの差が大き過ぎる愛知と福岡については、感染者数は現実に確認されている訳ですから、抗体検査に同意した人たち(サンプル)がサンプルとして代表性がなかったという事になる可能性が高いということでしょうか。

 コロナについての統計数字(?)は、いい加減のものやいい加減の解釈が多かったようですが、これからワクチン接種という本格的な対策に入るとすれば、データは出来る限り正確なものを作って使うことが大事になるような気がします。

 一言付け加えれば、東京でも未だ抗体保有者は1%未満です。99%は「コロナ・バージン」ですから、コロナが初めて発見された時とほとんど変わっていないのです。 
 かつて、ツベルクリンとBCGで結核を征服したように、徹底したワクチン政策によって、「感染せずに」免疫を得られるというベストの方法を、誤りなく進めることを政府にお願いしたいと思います。