tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

新型コロナワクチンの確保問題考

2021年02月21日 15時58分47秒 | 政治
新型コロナワクチン政策への疑問
 いよいよ新型コロナ対策も、新しい段階に入ってきました。我々は、ワクチンという新型コロナウィルスを攻撃する手段を持つことになったのです。

 今までは相手の攻撃に対し、マスク、手洗い、うがい、三密回避、ソシアルディスタンスなどの防衛策だけで対抗してきたのですが、ワクチンは、相手の攻撃力を封じ込めるという攻撃の手段です。
 
 攻撃は最大の防御なりで、これが成功すれば、これまでの防御の努力は次第に不要になり、我々の日常生活もコロナ以前に戻り、経済活動も活発化し政府が最も心配している経済の落ち込みも回復し、新しい経済発展の時代に入るという事になるでしょう。

 今の日本にとっては、それよりも何よりも、この夏の東京オリンピックが、世界の人々の期待に応えて、その開催が可能になるかという格別な成果につながる可能性を開くことになるのです。
 その意味でも、いまは、「ワクチン、ワクチン!!」と連呼したいところです。

 ところでそのワクチンですが、日本はスタートがかなり遅れてしまっているようです
かつてこのブログでも「 取らぬ狸」にならないようにと書きましたが、ここにきて、ワクチン確保の遅れが問題になりつつあるようです。2月中旬から始まった医療従事者への接種も、開始してみたら当初の370万人よりも100万人ほど増えるのではないか(河野担当相)という事のようです。

 当然、ワクチンの必要量も増えるわけです。一方、ワクチンの方は世界的に不足の様相ですから、ワクチン確保の方が追い付いてこない可能性も、政府にとって気になって来ているようです。

 4月から開始する高齢者への接種も、(私も高齢者で期待しているのですが)「4月から」というのがこのところ「4月中には」と言い換えられていたりして、何時から接種を始めてもらえるのか不安です。

 もともと外国からの輸入に期待し、自国生産の努力を怠ったことの咎めが出たという事なのかもしれませんが、外国の企業(国?)、との約束が果たされるという確証はあるのでしょうか。
 一方、WHOが言っているのは、世界的に見るとワクチンの配分に大きな偏りがあり、ほとんど全てが先進国に回り、低所得国には殆ど提供されていない、早急に改めるべきだといった発言です。

 菅総理は「接種体制に万全の態勢で」といと言っていますが、「万全」という言葉は立派でも、ワクチンそのものが外国から予定通りに入ってこなければどうにもなりません。

 そんなわけで、やはり気になるのは、日本政府は「なぜ自国開発」を当初から本気になってやらなかったのかという問題です。

 日本の専門研究機関、医薬製造業界は、そんなに頼りないと最初から決めてかかっていたのでしょうか。すでにこのブログでも報告しましたが、アストラゼネカが培養から製品化まで委託したのは 兵庫県の日本の一中小メーカーです。それが解って政府はすぐに補助金を出すといったようです。 

 今の日本政府は、 日本学術会議の人事に介入 して、現政権の意に沿わないメンバーを任命しないような政府ですから、学術が嫌いなのかもしれませんが、経済発展でも、医薬品開発でも、すべての進歩発展の原動力は学術の研究開発であることは明らかです。

 今回も、もし政府が、新型コロナ発生が解ったと同時に、日本の関係分野にワクチン開発についての檄を飛ばし、檄だけではなく、補助金も確り出していれば、今頃コロナワクチン先進国になって、WHOに協力する名誉も、開発の結果の実利も、何よりも日本の感染者の最小限化にも貢献できた可能性もあったのではないかなどと、考えてしまうところです。

 専門家の中でもこうした意見をお持ちの方は多いのではないかと思いますが、これからも予期しないいろいろなことが起きるでしょう、日本政府が「学術」を蔑ろにせず、日本発展の原動力として尊重し、常に政策の土台の中に確りと組み込んでいかれることを願うところです。