tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

日経平均3万円、総理、素直に喜ぶ

2021年02月18日 23時31分53秒 | 経済
日経平均3万円、総理、素直に喜ぶ
 菅総理は、昨日の予算委員会で、日経平均が3万円を越えたことにつて「株価は低いより高い方が良い」、「3万円台回復は、目標の目標のまた目標だった」述べました。

 日経平均の最高値は1989年、平成元年の12月29日の3万8915円、いわゆるバブル期の絶頂でした。(1990年大発会から大暴落)
 その3年後には1万5千円ですから、バブルの崩壊の恐ろしさはおして知るべしでしょう。(さらにリーマンショックで7000円です)

 その間の、丁度今から30年6か月前に3万円を切っています。その時の下げを切り返したのが今度の3万円です。菅総理が素直に喜んだのも当然でしょう。

 菅さんは、安倍さんと違って自慢にはしませんでした。ただ喜んでいただけです。
 そして付け加えたのは、(年金資金を運用している)GPIFもこれで利益が出るのだからカネ持ちだけが得するのではないという説明をしています。

 株はいつまた下がるか解りませんから、GPIFが儲けたと単純に喜ぶわけにはいきませんが、まあ下がるよりは上がる方が良いと言えばそうでしょうか。

 一国の総理大臣が、自分の国の株価について分析的な発言をしたら、大変なことになるかもしれませんから、単純に喜んでいるのが一番良い答弁かもしれませんが、我々も、単純に喜んでいていいのでしょうか。

 3万円を付けた日経平均はその後も3万円を割らずに頑張っていますが、この水準はおよそ現状の日本経済の実体とはかけ離れたものです。

 すでにバブルだという声は、あちこちで聞かれますが、これ迄の所、あまり下がりそうな気配はないように感じている強気の人が多いようです。

 理由は多分、政府、日銀の態度から来るのでしょう。 政府は、国債残高から見れば、まさに累卵の危うきですが、ここで株価が暴落したら、経済はお先真っ暗、それこそ年金運用に大穴が空きますし、なにより政権がもつかどうかです。

 大幅赤字の政府は、国債市場でも、証券市場でも、日銀に主要な買い手になってもらって、何とか収支のつじつまを合わせるのに懸命です。

 日銀は、以前の通貨の番人から豹変してMMTの信者のようになり、いつまでたっても届かない2%インフレをターゲットにして、景気の下振れを懸命に防ぐといった姿勢ですから、どちらを見てもバブルが破裂する可能性は少ないようです。

 確かに今の相場は「官製相場」の様相ですからその元締めの総理大臣が3万円を大喜び
というのであれば、どう見ても下がらないと思う人は多いでしょう。 

 そのうえ、経常収支は相変わらずの大幅黒字を続けていますから、円の価値が円高に振れやすく、円の暴落といった外国發のバブル破裂の可能性も少ないということになりますと、矢張り強気の人が多くなるのでしょう。

 ちょうど春闘の時期ですが、「官製春闘」は、なかなかうまくいきませんでした。しかし官製株式相場は随分巧くいっているようです。

 さて、このまま巧くいって株価に日本経済の方がサヤ寄せしていくのかどうか、これこそ政府の経済政策の腕の見せ所でしょう。

 コロナのワクチンも始まりましたし、国産ワクチンもその内には出て来るのではないでしょうか。
 ポストコロナに向けて、政府、日銀の経済・金融政策の腕の見せ所になるはずですから、大いに頑張ってほしい所です。

(聞きなれた言葉ですが「国民の生命と財産を守る」ために「万全」を期していただきたいと思います。)