2020年10-12月期GDP速報を見る
今日、内閣府から昨年10-12月期のGDP速報が発表になりました。
マスコミの報道は、「年率換算」12.7%のプラス成長と、些か大げさで、高成長を喜ぶようなトーンが多いようですが、そんな数字を出して喜んでいていいのですかと言いたいような気もします。
対前期比で3%成長だったのでそれが4期続けば1年で12.7%ですが、これはいわゆる瞬間風速で、平均風速はずっと低いのです。(2020年成長率はマイナス4.8%)
それも7--9月期、10-12月期と、無理なGoToキャンペーンなど大勢のコロナ感染者・犠牲者を出した上で(第3波)の3%ということですから、問題はあります。
ということで、いつもの様に「対前年同期比」の上昇率を見ますと(以下、数字は全て実質値です)
一昨年10-12月期 -1.1%
昨年 1-3月期 -2.0%
4-6月期 -10.3%
7-9月期 -5.8%
10-12月期 -1.2%
ということで、4-6月期の最初の緊急事態宣言で大幅な落込みを見てから、何とか持ち直しに向いていますが、未だ昨年の水準を1.2%下回るところで、今年に入って1月からの再度の緊急事態宣言の影響が心配といった所です。
ところで、上記の対前期上昇率30.%の中身について見てみますと、
民間消費支出 1.2%ポイント
民間設備投資 0.7
民間在庫変動 -0.4
政府消費支出 0.4
政府公共投資 0.1
純輸出 1.0
合計 3.0%ポイント
という事になっています。
確かに3%成長の内の1.2%分が民間消費支出でこれが大きく寄与しているのですが、7-9月期にはマイナスだった民間の設備投資がプラスに転じたのが大きいのと、輸出の寄与が3分の1ですからGoToは騒がれた割に、経済効果はGNPレベルでは大きくなかったようです。
政府は、第二回目の緊急事態宣言を発するまでは、 GoToのコロナ感染拡大は僅少だし、エビデンスもないなどと言っていましたが、その後の推移を見たからでしょうか、菅総理も補正予算に組み込んだGoTo 予算についての話は全く出ず、あんなにGoToに熱心だった西村再生相も、緊急事態宣言の解除には大変慎重で、ワクチンの方を重視しているような発言が多くなっています。
つまりは現実の動きから、コロナ対策はいかにあるべきか、 はっきり言ってしまえば、コロナ制圧無くして経済の再生はないという事を、今回の失敗の経験から学び、コロナ禍の現実を理解し始めたのではないかと感じられます。
コロナの第3波という大きな犠牲を払いましたが、我が国のリーダーたちが、疫病対策というものの現実を理解したとすれば、それは今後の日本にとっては「良かった」ということではないでしょうか。
日本経済の回復の時期は少し遅れるかもしれませんが、ワクチンの確保・国内生産も含め、出来るだけ早期にコロナ制圧を実現することが、日本経済の再生への最も着実な道だという事を先進諸国の経験にも学び、国民の理解を得つつ、具体的な政策に生かしていってほしいと思う所です。
今日、内閣府から昨年10-12月期のGDP速報が発表になりました。
マスコミの報道は、「年率換算」12.7%のプラス成長と、些か大げさで、高成長を喜ぶようなトーンが多いようですが、そんな数字を出して喜んでいていいのですかと言いたいような気もします。
対前期比で3%成長だったのでそれが4期続けば1年で12.7%ですが、これはいわゆる瞬間風速で、平均風速はずっと低いのです。(2020年成長率はマイナス4.8%)
それも7--9月期、10-12月期と、無理なGoToキャンペーンなど大勢のコロナ感染者・犠牲者を出した上で(第3波)の3%ということですから、問題はあります。
ということで、いつもの様に「対前年同期比」の上昇率を見ますと(以下、数字は全て実質値です)
一昨年10-12月期 -1.1%
昨年 1-3月期 -2.0%
4-6月期 -10.3%
7-9月期 -5.8%
10-12月期 -1.2%
ということで、4-6月期の最初の緊急事態宣言で大幅な落込みを見てから、何とか持ち直しに向いていますが、未だ昨年の水準を1.2%下回るところで、今年に入って1月からの再度の緊急事態宣言の影響が心配といった所です。
ところで、上記の対前期上昇率30.%の中身について見てみますと、
民間消費支出 1.2%ポイント
民間設備投資 0.7
民間在庫変動 -0.4
政府消費支出 0.4
政府公共投資 0.1
純輸出 1.0
合計 3.0%ポイント
という事になっています。
確かに3%成長の内の1.2%分が民間消費支出でこれが大きく寄与しているのですが、7-9月期にはマイナスだった民間の設備投資がプラスに転じたのが大きいのと、輸出の寄与が3分の1ですからGoToは騒がれた割に、経済効果はGNPレベルでは大きくなかったようです。
政府は、第二回目の緊急事態宣言を発するまでは、 GoToのコロナ感染拡大は僅少だし、エビデンスもないなどと言っていましたが、その後の推移を見たからでしょうか、菅総理も補正予算に組み込んだGoTo 予算についての話は全く出ず、あんなにGoToに熱心だった西村再生相も、緊急事態宣言の解除には大変慎重で、ワクチンの方を重視しているような発言が多くなっています。
つまりは現実の動きから、コロナ対策はいかにあるべきか、 はっきり言ってしまえば、コロナ制圧無くして経済の再生はないという事を、今回の失敗の経験から学び、コロナ禍の現実を理解し始めたのではないかと感じられます。
コロナの第3波という大きな犠牲を払いましたが、我が国のリーダーたちが、疫病対策というものの現実を理解したとすれば、それは今後の日本にとっては「良かった」ということではないでしょうか。
日本経済の回復の時期は少し遅れるかもしれませんが、ワクチンの確保・国内生産も含め、出来るだけ早期にコロナ制圧を実現することが、日本経済の再生への最も着実な道だという事を先進諸国の経験にも学び、国民の理解を得つつ、具体的な政策に生かしていってほしいと思う所です。