tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

付加価値率の数字

2014年07月21日 10時51分42秒 | 経営
付加価値率の数字<2008年が日付のリメイク版>
 前回、「高付加価値経営と付加価値率」というテーマで書かせていただきましたが、少し具体性がないとと思い、財務省の「法人企業統計年報」から、業種別などの付加価値率を拾って見ました。
 付加価値率は企業の元気度、バイタリティーの指標などといわれますが、理由はこうです。

 同じものばかり売っていればだんだん売れなくなり値下がりして付加価値率は下がります。付加価値率を高く維持するには、常に新製品、高度化商品など顧客に魅力ある製品やサービスを提供し、価格は多少高くても売れるといった状況を作り出すことが必要です。

 という事で財務省の法人企業統計をみてみますと、全産業平均の付加価値率は、平成20年から23年にかけて、17.5%、19.3%、19.6%、19.9%、と上がって来ています。「失われた20年を徐々に克服し、日本経済全体が元気なってきた証拠でしょう。近年、いろいろな新製品・新商品がどんどん出て来ていますが、今年度の統計が出る頃にはもっと上がっているでしょう。

 この法人企業統計では、売上高は消費税などを差し引いた純売上高、付加価値の定義は、付加価値=営業純益(営業利益-支払利息等)+役員給与+従業員給与+福利厚生費+支払利息等+動産不動産賃借料+租税公課で、このブログの「付加価値を正確に理解しましょう」と同様のものです。

 従来から、平均的な企業の付加価値率は、ほぼ20パーセントなどと言われ、確かにその通りですが、産業別などの中身に下りてみると、かなりの違いがあります。
 法人企業統計年報で最近時点、平成23年度の数字で見ますと
     全産業     19.9%
     製造業     18.3%
     卸売業      7.8%
     小売業     18.5%
     運輸業     35.7%
     サービス業   38.3% (うち教育・学習支援   51.1%)
などとなっていて、業態によって大きく違 うことが解ります。
 卸売りと小売の違いはマージンの違いを考えれば理解できますし、商品や原材料の仕入れのないサービス関連の業種の付加価値率が高いのも理解できます。
 また、同じ製造業の中で企業規模別に見ますと、規模の小さいほうが付加価値率が高いことがわかります(ここでは数字は示していません)。これは大手ほど、完成度の高い高価な材料・部品を仕入れるアセンブリー型の企業が多ために、売り上げ占める原材料費の比率が高くなるいことの結果と思われます。
 また、個別主要企業の付加価値率が見られる三菱総研の「企業経営の分析」で見ますと、たとえば大手自動車メーカーの平均は15%ぐらいです。しかしロボットメーカで有名なファナックは、上場企業の中で自己資本比率が最も高い(90%前後)ことでも有名ですが、付加価値率も49%と製造業としては驚異的な高付加価値率です。

 このように、付加価値率は、業種・業態によって、それぞれ異なりますので、他社(同業・同規模のであっても、環境や業態の違いもありますので)の数字はあくまで参考にとどめ、わが社の付加価値率を如何に高めていくかを考えるのが現実的といえます。