tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

付加価値の分析 その1

2014年07月22日 11時34分43秒 | 経営
付加価値の分析 その1
 このブログが付加価値を重要概念として掲げていることは表題でも触れている通りです。付加価値というのは、実は単なる金銭的な価値ではなく、その時代の社会、その時代に生きてきる人間が「価値」として認めるものの具体化で、「経済価値として可視化」したものなのです。

 GDPが増えれば公害が増えるとか、経済成長は地球環境を悪化させるといった見方はありますし、中国の大気汚染、止まらない地球温暖化などはその典型でしょう。
 これは、今の人類の多くが、地球環境や人類社会の将来よりも、当面の豊かな生活を望んでいるという「現状の価値観」の結果なのです。

 しかし、他方で、これではいけないという意見は強くなり、より長期的視点の、より健全な価値観が広がってきていることは確かです。
 端的な例が、昔は「スピードの出る車」今は、「スピードも出て環境にも良い車」が売れるのです。人間の価値観が変われば、付加価値の中身は変わってきます。

 もっと大きく言えば、付加価値の中身は、人間が望む財やサービスの生産で構成されていて、それは豊かさと快適さ(という価値)を人間・社会に提供しています。
 そしてその中身が人々の価値観の変化に従って、次第に、当面の物質的な「豊かさ」から長期的視点の人間生活の「快適さ」により大きな比重を置くようになっているのではないでしょうか。

 やはり今日生産されている付加価値(GDP)は、今日の人間の価値観が、その中身を決定しているのです。
 日本は伝統的に、自然環境(地球環境)を大切にし、自然を育てて人間も育つと考えてきました。今日の技術開発の段階でも、長期的視点に立った人間生活の快適さを真剣に考える屈指の国でしょう。

 これから、付加価値の分析について順次整理していきたいと思いますが、その中でも、付加価値の中身(付加価値の生まれる源・原点)について、そうした視点を失わないようにしていきたいと思います。

 この視点では、種々の生産性の概念が重要になります。例えば省エネとは、少ないエネルギー源でより大きな効果を上げる、つまりエネルギー生産性の向上です。希少資源についての省資源の技術開発なども同じです。

 少ない人間で同じ成果を出すのは、労働生産性の向上です。これは人類社会の豊かさ、快適さを生み出す源です。

 そしてそのすべての成否は、人間の知恵や能力、進歩・前進への態度にかかわってきます。付加価値を生み出すのは人間ですから、これは当然でしょう。
 さて、そうした視点を失わないようにしながら、頑張って付加価値の分析の手法を皆さんと一緒に整理していってみたいと思います。