tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

付加価値の分析 その4:資本の活用と付加価値

2014年07月26日 08時58分32秒 | 経営
付加価値の分析 その4:資本の活用と付加価値
 前回も触れましたが、これからは、ますます高付加価値化の時代になると思います。
 例えば自動車は、ガソリン車からハイブリッド、電気自動車、燃料電池車、自動運転車など多様な進化で高付加価値化を狙っています。
 車載用から家庭・事業所用、電力会社用まで広い活用の可能性が広がる電池にしてもその高性能化には著しいものがあります。
 繊維は冬は吸湿発熱とか、夏はさらさら感とか、速乾、形状記憶、伸縮性、から金属代替まで、進化しています。
 そうした繊維を活用した衣料品から、機械部品、航空機まで様々です。快適さ、省資源化、軽量化、強靭化などはすべて付加価値を生みます。
 デパート、スーパー、コンビニ、専門店、なども、店舗設計、販売方式、おもてなし精神など多様な面で高付加価値化を狙います。

 こうした製造、販売、サービスなどの戦略を考える場合、どうしても必要になるのが設備投資です。本来はこの中には人間への投資=教育訓練も入るのですが、これはまた別の機会に譲ります。

 付加価値は人間が資本を使って創出すると言ってきましたが、この「資本」の活用が設備資金、運転資金への資本投下です。精密な部品を作るにはそのための機械が必要です。店にお客を呼ぶには場所を選び、魅力ある店舗にしなければなりません。どうしても資本が必要になります。

 という事で、付加価値(生産性)の分析の第2公式を見てみましょう。

   付加価値生産性 = 付加価値/使用資本 × 使用資本/従業員数

というのが第2公式です。付加価値生産性の公式に「資本」を介在させたものです。この式では、使用資本が、右辺の2つの分数の掛け算のそれぞれ分子と分母に入っていますから右辺の使用資本を相殺すれば、公式は元の付加価値生産性の式に戻ります。

 この公式の右辺の内、
「付加価値/使用資本」は、「資本生産性」で投下資本がどれだけ効率的に付加価値を生み出したかを示します。

   「使用資本/従業員数」は、「従業員一人当たり使用資本額」で、「労働の資本装備率」と呼ばれ、時に「資本装備率」と言われたり「労働装備率」と言われたりします。間違いやすいので気を付けてください。

 この式で見ますと付加価値生産性を上げるには「資本の生産性を上げる」ことと、「従業員一人あたりの資本投下額」(設備投資や運転資金で賃金ではありません)を増やすことが必要という事になります。

 そこで問題は、①資本生産性をどうやって高めるか、②労働の資本装備率をどうやってあげるかという事になります。

 この問題は、種々の事例の検討なども必要になりますので、次回に論じたいと思います。その間、自社の事例などから種々ご検討いただければ幸いです。