tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

付加価値の分析 その6:労働の資本装備率と利益の重要性

2014年07月28日 12時29分31秒 | 経営
付加価値の分析 その6:労働の資本装備率と利益の重要性
 100年、200年人々の生活が変わらない中世から、産業革命以降の、毎年生活が良くなって当たり前、今で言えば、経済成長は当然、ゼロ成長なら政権を変えろ、という世の中になった最大の要因は、「技術革新」と「労働の資本装備率の向上」の組み合わせによるものです。

 人間は豊かさと快適さを実現するために資本を活用して付加価値を創出していると書いて来ました。創出された付加価値が豊かで快適な人類社会を実現するのとともに、そのために働く場においても、仕事はより楽に、生産性はより高く、を可能にするのは、技術革新と資本の組み合わせです。

 端的な説明として「 生産性向上の手段」をここでお読みください。すでにお読みになってご記憶の方もおられるかと思いますが、是非もう一度!!
 
 労働の資本装備率の向上は必ず、技術革新と組み合わせられなければなりません。私は漁業の例も使いますが、手づかみなら資本ゼロ、次は木製の銛、銛をを1本から5本にしても取れる魚は5倍になりません。釣竿にします。たくさん釣れますが、釣竿を5本にしても漁獲量は5倍にはなりません、「同じ技術水準」の設備を増やしても収量が上がらない、言い換えれば資本生産性が低下する事を「収穫逓減の法則」と言います。

 収穫逓減の法則を打ち破るのが、技術革新です。丸木舟に乗って、魚の沢山いる所で釣りをする。釣竿から漁網利用にする。船と網で、定置網、巻き網、底引きなど、多様な技術を使う、魚群探知機を装備する、などなど。

 法人企業統計などを使って、産業別の労働の資本装備率(以下資本装備率)と、産業別の付加価値生産性を見ると、はっきりと相関関係が見られます。

                付加価値生産性  労働の資本装備率
       繊維製造業      404千円    563千円
       化学品製造業    1310千円   1780千円
       電機製造業      853千円    762千円
       自動車等製造業    961千円   1101千円
       情報通信業     1069千円   1102千円
       卸売業        770千円    799千円
       小売業        526千円    560千円  
                (資料:法人企業統計年報2013年度)      

 同様の傾向は、企業規模別にも見られます。企業規模が大きくなるにつれて、労働装備率も付加価値生産性も上がります。
 しかしこうした数字はあくまで平均的なもので、個別企業については、同じ業種の中でも、中小企業であっても、資本装備率は格段に高く、生産性も同様に高いといったケースは少なくありません。特色ある技術、特色ある製品などで、国内や世界で大きなシェアを占めるような企業でよくみられる例です。 

 優れた技術革新のためには資本投下が必要です、それを生産設備として実現し活用するにはさらに資本投下が必要です。企業の利益(資本蓄積)というのはそのためにどうしても必要なものです。利益が出なければ生産性も上げられませんし、企業の成長も発展もありません。
 そうした資本投下と、それを開発し使いこなす技術・能力を従業員が持つこと、これは教育訓練ですが、以前も触れたように、教育訓練は人間への投資で、最終的にはこれが最も大事でしょう。

 これらが相まって、企業も経済も社会も進歩します。お時間があったら、「 企業活性化・経済成長への図式」をご一読いただければ幸いです。