tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

付加価値の分析 その3:売上高と付加価値

2014年07月24日 12時12分54秒 | 経営
付加価値の分析 その3:売上高と付加価値
 企業の業績に関わる数字で最も一般的なのは「売上高」と「利益」でしょう。業績好調の時はよく「わが社は今期も増収・増益だ」などと言います。
 増収とは、売上高が増えていること、増益とは利益が増えていることです。

 そこでは、付加価値という言葉は入って来ません。という事は、それだけ付加価値という言葉(その概念)は、なじみが薄いという事でしょう。

 しかし、一国の経済になると全く違います。その国の経済の状態を表す最も一般的な数字は「GDP=国内総生産」でしょう。ご承知のように、GDPはその国が1年間に創りだした「付加価値」です。
 国の中では原材料が部品になり、製品になり、卸で売られ、小売りで売られるという事で、同じものが何回も売られますから、売り上げで重複する部分を省いて、付加価値だけを表示した方が解り易いからです。

 1つの企業で見れば、売上高は「外から買った財やサービスの金額」と「わが社がそれに付け加えた金額」に分けられます。
  「売上高 = 外部購入費用 + 付加価値」 という事になります。

 そこで付加価値(生産性)分析の第1公式を見てみましょう。

   付加価値生産性 = 付加価値/売上高 × 売上高/従業員数

 付加価値生産性=付加価値/従業員数 に売上高を介在させてみたものです。売上高は、右辺の2つの分数の掛け算のそれぞれ分子と分母に入っていますから右辺の売上高を相殺すれば、公式は元の式に戻ります。

 この第1公式の右辺の、
 「付加価値/売上高」は、 「付加価値率」で、高付加価値化の指標です。
 「売上高/従業員数」は、 「従業員一人当たり売上高」で、よく達成目標に使われます。

 つまり、付加価値生産性を高めるためには、付加価値率を高めることと、一人当たり売上高を増やすことが必要という事になるわけです。
 これらの内、付加価値率を高めること( 高付加価値化)は、いわば「質的な」付加価値生産性向上策で、一人当たりの売上高増加策は、いわば「量的」な、付加価値生産性向上策です。

 今は量より質の時代などと言われますが、一般的に言えば、企業としては「付加価値率の向上」により重点を置くことになるのではないでしょうか。

 これからの企業発展のカギとなる「付加価値率の向上」については、このブログでも「付加価値と付加価値率」「付加価値率の数字」「生産性向上の手段」など、折々に取り上げて来ていますので、ブログ内リンクも含めて、検索して頂ければ、お役にたつ情報もあるかと思っています。

付加価値の分析 その2:付加価値分析の目的

2014年07月24日 10時06分22秒 | お知らせ
付加価値の分析 その2:付加価値分析の目的
 皆様すでに御承知の事と思いますが、型どおり最初に付加価値分析を何のためにやるのか考えてみましょう。
 付加価値は、我われの生活を豊かで快適なものにするための原資です。付加価値の分析は、付加価値の由来や構成、付加価値の分配なども含みますが、既に「付加価値を正確に理解しましょう」や「労働分配率論議」で取り上げています。
 という事で、ここでは先ず、どうすれば付加価値の創出がより効率的に行われ、付加価値が増えて、望ましい結果に近付けるかを検討する事にしたいと思います。
 それが巧くいかなかったときに、なぜ巧くいかなかったか、原因を知るためにも、勿論活用できます。

 ですからここでは、より大きな付加価値を生産(創造)するためにはどうすればいいかの検討が中心です。
 以前も触れましたが、2人で働いたら、1人の場合の2倍の付加価値が生産されたといっても、特に感心されたりはしないでしょう。1人で付加価値生産を1.5倍にしたら、これは大変なことです。

 ですから付加価値分析は、具体的には「付加価値労働生産性」=1人当たりの付加価値をいかにして増加させるかを目指すことになり、付加価値労働生産性向上への取り組みという事になります。

 そこで、通常付加価値分析で使われる公式というのは、「付加価値労働生産性の分析」という事になります。付加価値労働生産性(以下付加価値生産性)の公式ですから、その基本形は
 
     付加価値生産性 = 付加価値額/従業員数  という事になります。

 付加価値は人間が、資本を活用して創りだすものです。それは企業としては生産額=売上高として計上され、その中から、外部購入費用(他企業から購入した財とサービス)を差し引いたものがわが社の創出した付加価値となります。もう少し詳しく言えば、わが社という経済活動の場で巧みに組織化された、人間と資本の組み合わせが実現した(創出した)経済価値という事でしょう。

 したがって、この分析は、人間(従業員:これは社長まで含みます)をベースに、トータルの企業活動としての売上高、活用した資本の大きさ、使用した原材料の価格あるいは量などが関係してきます。

 というわけで付加価値分析(付加価値生産性分析)では、通常次の2つの公式を使います。

第1公式   付加価値生産性 = 付加価値/売上高 × 売上高/従業員数

第2公式   付加価値生産性 = 付加価値/使用資本 × 使用資本/従業員数

私は、もう1つ付け加えたいと思います。

第3公式   付加価値生産性 = 付加価値/使用原材料 × 使用原材料/従業員数

 次回以降、これらの公式を使って、いかに生産性の向上を考えるかを検討したいと思います。そこではいろいろな生産性の概念が登場することになると思います。