tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

付加価値と付加価値生産性のまとめ

2014年07月30日 09時43分36秒 | 経営
付加価値と付加価値生産性のまとめ
 付加価値と付加価値生産性について、見て来ました。日本人は日本国内で生産した付加価値(GDP)で暮らしています。企業は、その企業の生産した付加価値を賃金と利益に配分し、存続・成長しています。付加価値は社会を豊かに、快適にする原資です。

 社会をより豊かに、より快適にするための仕事が「生産性の向上」です。正確には「付加価値労働生産性」の向上です。これは通常、企業の手によって行われます。生産性の向上に先行した企業や国が、企業間競争、国際競争の勝者になります。

 失われた20年で大幅な遅れを取った日本は、これからが正念場です。
 企業の生産性向上策については、種々の分析方法を見て来ました。売り上げを伸ばす、資本を活用する、資源を効率的に使う、などなど。
 これに加えて、国全体の生産性を上げるには、日本株式会社の本社機構であり、企業で言えば間接部門である「政府」の生産性向上努力、日本株式会社のための総合的な生産性向上策の「舵取り」大事です。

 途上国の人が、日本に来て仕事をした場合、自国内でやっていたのと同じ作業をしても賃金は何倍にもなります。これは、日本経済社会全体の生産性が高いから、その中では同じ作業をしても高い賃金が払えるのです。

 そうした目で、「 付加価値と付加価値率」を見て頂きますと、日本株式会社の生産性は、OECD加盟34か国中、18位だという事が解ります。
 日本企業は頑張ってはいますが、1990年代から20年に亘る長期不況で経営は思うに任せず、政府の舵取りもあまり適切ではなかった面も多かったのでしょう、いささか残念な現状です。

 しかし考え直せば、18位ということは、日本はまだまだ国民経済全体の生産性を上げて、国民生活をもっと豊かで快適にする余地が大きいという事でもあります。かつては、ジャパン・アズ・ナンバー1と言われた日本です。これからが楽しみでもあります。

 多分これからその実現に着々進んでいく日本だと思いますが、それを支えるのは、研究開発・技術革新の一層の推進、資本の蓄積とその活用、中央・地方政府の「国家・地方自治体の経営者」としての努力、そしてすべてを支えるのは、真面目に努力する日本人の態度と能力、そして知恵の発揮でしょう。

 付け加えれば、日本人の能力と知恵をますます高めるには、人材開発、そのための教育訓練、学校教育から産業訓練までの一層の充実が必須です。
 教育訓練は人間への投資です、設備投資と同様、人間への投資は生産性向上の決定的な要素です。5SやQC,OJTや定型訓練の実施で、2割程度の生産性の向上は容易に達成できるというケーススタディーもあります。
 長期不況の中で、 教育訓練費を削減し、非正規従業員を多用してきた咎めは、現場力の低下や組織連携活動の不具合などに顕著に表れています。
 すでに先進企業では反省の動きも始まっていますが、一層の広がりが期待されます。

 そうした産業界における付加価値への理解や付加価値生産性向上への取り組みの進展を、その時々、これからの経済社会の動きとともに、このブログでコメントしていければと思っています。