tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

付加価値生産性のいろいろ

2014年07月19日 10時22分09秒 | 経済
付加価値生産性のいろいろ<2008年4月30日付のリメイク版>
  付加価値とは、人間が資本を活用して作り出す「人間生活に役立つ価値(物やサービス)」のことです(「 付加価値の正確な理解を」2008年3月など参照)。

 われわれは、いろいろな欲求を持っています。それは、時代や個人によって異なります。そして我々はその欲求に対して金を払います。そこに付加価値が生まれます。

 戦後はお米でさえあればよかったのですが、今はよりおいしいお米に金を払います。単に走る車ではなく、環境いい車、乗り心地のいい車なら多少高価でも買うでしょう。車でスーパーに行くより、多少高くても近所のコンビニでという事もあります。

 美味しい、環境に良い、便利、・・・こうしたものの価値が上がって来ています。時代のせいでしょうか、人の欲求は高度化するのです。

 ところでこうした欲求(購買意欲)に対してモノやサービスを提供するためには、生産や販売、サービスのための設備が必要です。これを資本といいます。
 
 資本とは、土地であったり、機械であったり、ソフトウエアであったりするわけですが、今は貨幣経済の世の中ですから、こうした資本はお金に換算して表されます。そして、人間が資本を活用して創出した付加価値も、同じように金額であらわされます。
 日本全体で創出された付加価値の1年間の総額を表したものがGDPであることは、前記のブログでも触れてきたとおりです。

 ところで、1人より2人で働けば、創出される付加価値も大きくなりますが、2人がかりで2倍の付加価値を創出しても、誰も特に感心しません。しかし、たとえば、1人で5割増しの付加価値を生産したら、人を感心させることが出来ます。この「1人当りどれだけか」という数字(数字で表される概念)が「生産性」です。正式には働く人間1人当たりですから「労働生産性」、もっと正式に言えば、一人当たりでどれだけ付加価値を生産したかですから「付加価値労働生産性」  ということになります。

 このように、「生産」に「性」がつくと、1ヘクタールで小麦が何トン(土地の生産性)、100万円の資本設備でいくらの付加価値(資本生産性)、1本の生産ラインで何台の自動車(ラインの生産性)というように、使用した(投入した)生産要素当たりの生産を示すことになって、いろいろな形で、生産の効率を示す指標になります。

 もちろん、生産されたモノや付加価値は、人間が生産し、人間が活用するわけですから、「人間1人当たり」、つまり「労働生産性」が、通常は最大の関心事項で、これを日本経済全体でいえば「国民経済生産性」、働く人(就業者)1人が1年間にどれだけのGDPを生み出したか、という数字になります。

 この場合、売値を上げても生産性は増えることになります。しかしそれでは世の中が豊かになったことにはなりません。
 そこで物価の値上がりを含んだものを「名目生産性」、物価値上がり分を差し引いた正味の生産性を「実質生産性」といって区別します。そういう意味では、日本人の生活が良くなる源は「実質国民経済生産性」だということになります。