tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

GDPデフレータと自家製インフレ

2014年07月09日 11時54分22秒 | 経済
GDPデフレータと自家製インフレ
 ここ3回、インフレについて、現実に日本が経験したことや、現在政府がとっている政策との関連で説明してきましたが、もう一つ、物価の動きを表す指標として「GDPデフレータ」があります。
 GDPデフレータは日本経済の国際的な立場や、競争力を見るうえで最も適切な指標ですから関連して触れておかなければならないと思います。

 一言で言ってしまえば、GDPデフレータというのは「自家製インフレ」と考えていただいて結構と思います。
 為替レートの変動や、海外の物価の上昇で輸入価格が上がる輸入インフレなどは入りません。

 もともとGDPというのは日本という国境の中で生産された付加価値の総額ですから、その金額が、(国内要因の)価格上昇で増えた場合、価格上昇分を差し引いて、実質付加価値が増えた分を知るために 「名目GDP-GDPデフレータ=実質GDP」 という公式があるわけです(正確には割り算になります)。
 
 これまで述べて来ましたように、為替レートが円高になると日本の国際競争力は落ち、円安になれば上がります。
 海外の資源価格などが値上がりして輸入インフレが起きた場合は、資源の産出国は別として、世界中が同じように資源価格の上昇の影響を受けるので、日本の国際競争力に変化はありません。

 一方、GDPデフレータが上昇した場合は、国際的に見て日本の製品だけが高くなるのですから、その分だけ、日本の国際競争力は弱まります。
 政府・日銀が言っている「インフレターゲット2%」というのは多分GDPデフレータの2パーセント上昇を意図していると思われます。

 それでは国際競争力が弱まるではないか、ということになりますが、そこは、世界中どこの国もその程度、あるいはそれ以上のインフレだから大丈夫でしょう。そして少しインフレの方が、企業は仕事をしやすいし、労働者もその分賃金が上がって、気分がいいでしょうといった考え方のようです。

 前回も書きましたが、自家製インフレは、放っておけば次第に高くなるという性質がありますから、「それはやらない」という事で、さしあたって認められているのだと思います。

 最後に余計なことを書きますが、経済学ではGDPデフレータという言葉がありますが「GDPインフレ―タ」という言葉はありません。デフレの時は必要のはずですが、現実世界では殆どインフレしか起きないので、そんな言葉は必要ないようです。
 もし起きたら、GDPデフレータがマイナスといえば済むというのが答えでしょう。