tnlabo’s blog   「付加価値」概念を基本に経済、経営、労働、環境等についての論評

人間が住む地球環境を、より豊かでより快適なものにするために付加価値をどう創りどう使うか。

インフレの原因(その2:輸入インフレ)

2014年07月07日 15時20分49秒 | 経済
インフレの原因(その2:輸入インフレ)<2008年5月6に付のリメイク版>
 昨年4月の20円幅(約2割)の円安に加えて、原油をはじめ資源価格が上がって、消費者物価が上がり気味になってきました。エネルギーも食料も輸入に頼る日本です。消費者物価の動きには、消費増税だけでなく、明らかに輸入インフレの様相が見られます。

 輸入インフレというのは、海外の物価上昇が、輸入価格の上昇を通じて、国内の物価を押し上げるというものですから、今回のガソリン価格上昇に典型的に見られますように、ガソリンスタンドのガソリン代が上がっても、国内では手の施しようがありません。(しいて言えば、再び円高にすれば、海外の物価上昇は相殺されますが、円高が大きなマイナスの副作用をもたらすことは、プラザ合意・リーマンショックの円高で経験済みです。)

 ご記憶の方も多いと思いますが、日本は、1973年、第1次オイルショックを経験しています。原油価格が4倍に上がり、上がっただけではなく、原油が確保できなくなるのではといった不安もあり、経済は高度成長からゼロ成長に転落、消費者物価は年に22パーセントも上がるという惨状でした。このときは、多くの人が日用必需品の買いだめに走り、日本中で、トイレットペーパーと洗剤が店頭から消えるといったパニックも起こりました。

 しかし、輸入インフレというのは、海外のインフレが止まれば自然に止まります。大体、資源価格の高騰は、産出国の国策や投機資本の思惑によるところが大きいので、いつまでも上がり続けることは通常ありません。第1次オイルショックの時も、6年後の第2次オイルショックまでは値段は上がらず、第2次オイルショックの後は21世紀直前まで、原油価格は、下げ続けるといった状態でした。

 問題が起こるとすれば、輸入インフレで生活が苦しくなったと言って、賃上げ要求が起こり、輸入インフレが国内のコストプッシュ・インフレを誘発することです。第1次オイルショックの時は、この現象が起こり、1974年の賃上げは33パーセントに及び、この賃金インフレを抑制(賃上げを抑えて)するのに4年ほどかかりました。

 第2次オイルショックの時は、第1次オイルショックの失敗から学んだ日本人は、平静に過ごし(前回参照)、過度の賃上げもそれによる消費者物価上昇もなく、失敗を繰り返した諸外国と比較して「ジャパン アズ ナンバーワン」といわれました。

 資源価格など国際商品の価格高騰は、世界中一緒です。日本だけが国際競争上不利になるわけでありません。得をするのは、産出国と腕のいい投機資本でしょうか。因みに、日本はに二度のオイルショックの結果、省エネ技術に集中し、この面では最も進んだ国になりました。