司法書士内藤卓のLEAGALBLOG

会社法及び商業登記に関する話題を中心に,消費者問題,司法書士,京都に関する話題等々を取り上げています。

日本公証人連合会「新型コロナウイルス感染防止対策ガイドラインの改訂について」

2020-06-03 21:17:05 | コロナウイルス感染症問題
新型コロナウイルス感染防止対策ガイドラインの改訂について by 日本公証人連合会
http://www.koshonin.gr.jp/news/nikkoren/20200529.html

「日本公証人連合会では、2020年5月14日付けで「新型コロナウイルス感染防止対策ガイドラインについて」を定めておりましたが、今般、全国的に緊急事態宣言が解除となったものの、第二波、第三波の流行に備えた万全の措置を講じる必要があることから、内閣官房新型コロナウイルス感染症対策推進室のご指導を受けて、上記ガイドラインを下記のとおり改訂いたしました。

 今後は、改訂後の新型コロナウイルス感染防止対策ガイドラインに基づき、各公証役場の実情に応じて、次のような措置を講じることとなりましたので、ご不便をお掛けすることになりますが、よろしくお願い申し上げます。」
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帝国データバンク「全国「本社移転」動向調査(2019年)」

2020-06-03 20:25:05 | 会社法(改正商法等)
日経記事
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO59929730T00C20A6L82000/

 帝国データバンクが「全国「本社移転」動向調査(2019年)」を公表している。

「2019年に企業が実施した本社移転のうち、神奈川県への転入超過が48社と3年連続で全国トップだったことが、帝国データバンクの調べでわかった。東京圏(1都3県)への転入超過も66社となり、9年連続で転入が転出を上回った・・・・・2019年に本社を移転した企業は全国で2011社だった。千葉県は35社、埼玉県は32社の転入超過、逆に東京都は49社の転出超過だった。転出超過が最も多かったのは大阪府(77社)。」(上掲記事)

「本社移転」(本社機能の移転)であるから,登記上の本店移転とイコールではない。

 転出は,東京から,大阪,茨城,静岡へ,大阪から,東京圏,兵庫,奈良へ。

 という動きのようである。東京及び大阪は,出入りが激しい感があるが。

cf. 帝国データバンク
https://www.tdb.co.jp/report/watching/press/p200602.html
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学校法人における理事との利益相反取引

2020-06-03 13:25:30 | 法人制度
 改正私立学校法(令和元年法律第11号)が令和2年4月1日から施行されており,学校法人における理事との利益相反取引について,取扱いが変更されている。

cf. 新旧対照表
https://sikeiken.or.jp/shigakuhou.pdf

Q&A
http://sikeiken.or.jp/sigakuhouQ%EF%BC%86A.pdf

文部科学省改正私立学校法説明会資料
https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/shinkou/07021403/1422186.htm

改正前
 (利益相反行為)
第40条の5 学校法人と理事との利益が相反する事項については、理事は、代理権を有しない。この場合において、所轄庁は、利害関係人の請求により又は職権で、特別代理人を選任しなければならない。

改正後
 (一般社団・財団法人法の規定の準用)
第40条の5 一般社団・財団法人法第80条の規定は民事保全法(平成元年法律第91号)第56条に規定する仮処分命令により選任された理事又は理事長の職務を代行する者について、一般社団・財団法人法第82条、第84条、第85条及び第92条第2項の規定は理事について、一般社団・財団法人法第103条及び第106条の規定は監事について、それぞれ準用する。この場合において、一般社団・財団法人法第82条中「代表理事」とあるのは「理事長」と、一般社団・財団法人法第84条第1項中「社員総会」とあるのは「理事会」と、一般社団・財団法人法第85条中「社員(監事設置一般社団法人にあっては、監事)」とあるのは「監事」と、一般社団・財団法人法第103条第1項中「定款」とあるのは「寄附行為」と読み替えるものとする。

一般社団法人及び一般財団法人に関する法律
 (競業及び利益相反取引の制限)
第84条 理事は、次に掲げる場合には、理事会において、当該取引につき重要な事実を開示し、その承認を受けなければならない。
 (1)理事が自己又は第三者のために学校法人の事業の部類に属する取引をしようとするとき。
 (2)理事が自己又は第三者のために学校法人と取引をしようとするとき。
 (3)学校法人が理事の債務を保証することその他理事以外の者との間において学校法人と当該理事との利益が相反する取引をしようとするとき。
2 民法(明治29年法律第89号)第108条の規定は、前項の承認を受けた同項第2号の取引については、適用しない。


 というわけで,学校法人と理事の利益相反取引については,理事会の承認が必要となる。

 改正前の利益相反行為の規定(法第40条の5)は,理事長や代表権を有する理事についてにのみ適用されていたが,改正後の利益相反取引の規定(法第40条の5の規定による一般社団・財団法人法第84条の規定の準用)は,理事全員について適用される。

 この場合,例えば,不動産取引においては,下記の記事と同様の問題が生ずる。

cf. 平成29年2月2日付け「医療法人における理事との利益相反取引と不動産登記」
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「印鑑の行く先は」

2020-06-03 12:39:31 | 会社法(改正商法等)
 NBL2020年6月1日号(商事法務)の巻頭言に,佐鳥竜太「印鑑の行く先は」がある。

 印鑑からデジタル技術への「移行」必然という風潮に対して,

「電子契約を導入するために印鑑を廃止する必要はないし,印鑑を廃止したからといって電子契約で全てを賄えるわけでもない。両社は,併存する選択肢にすぎない。デジタル技術の導入に対するスタンスは,当面「併存」を前提とすることが適切ではないだろうか。その上で,出来ることから粛々と積み上げ,外延を拡大していけばよい。」

という冷静な見方。

「この緊急事態下,特にテレワーク環境の整備を急ぐ企業において,焦りに付け込んだ力強い印鑑廃止の宣伝文句に魅力を感じるかもしれない・・・・・このような状況であるからこそ一度冷静に立ち止まり,必要なのは電子稟議なのか電子契約なのか,それとも無意味な押印を要求する自社ルールの改定であるのか見極めるべきである。目的の核心は,場所に縛られず業務や契約を実現することなのであるから。」

ですよね。

 会社法及び商業登記の実務においても,今まさに「力強い印鑑廃止の宣伝文句」の黒船来襲の感がある。

 しかし,「目的の核心」は,商業登記の真正の担保を図り,公示としての商業登記制度が,会社等の信用の維持を図り,かつ,取引の安全と円滑に資することであるから,そのためには登記事務の取扱いが如何にあるべきかの観点から冷静に熟慮検討すべきであろう。
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法務省「(マンションの管理組合において)新型コロナウイルス感染拡大におけるITを活用した総会・理事会の開催に関するQ&A」

2020-06-03 11:52:21 | コロナウイルス感染症問題
マンションの管理組合等における集会の開催について
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00024.html

 先日,マンション管理組合のオンライン総会の可否について,取り上げたところであるが,

cf. 令和2年5月7日付け「マンション管理組合の定時総会,どう開く?」

 法務省が,「新型コロナウイルス感染拡大におけるITを活用した総会・理事会の開催に関するQ&A」(令和2年5月25日付け)を公表している。

 これによると,

「区分所有者が、単に傍聴をするのではなく、WEB 会議システム等を用いて集会に出席し、議決権を行使することを認めることについては、第三者が区分所有者になりすました場合やサイバー攻撃や大規模障害等による通信手段の不具合が発生した場合等には、集会の決議が無効となるおそれがあるなどの課題に留意する必要があります。」(A1のなお書き)

とあり,いわゆる「ハイブリッド出席型」については許容しているようであるが,全体的な記述からすると,「バーチャルオンリー型」については,許容していないようである。


 ところで,書面表決及び電磁的方法による議決権の行使について,

「書面や電子メール等の提出をしたからといって必ずしも集会に出席したと扱われるわけではなく、区分所有法上は、定足数に関する規約がある場合において集会の決議をするためには、別途、その定足数を満たす必要があります。もっとも、規約に「書面、電磁的方法又は代理人によって議決権を行使する者は、出席組合員とみなす(標準管理規約第 47 条第 6 項)」旨の規定がある場合には、書面や電子メール等により議決権を行使した者も集会に出席したものと扱うことができます。」(A2の※)

ということであるから,「委任状勧誘」を推奨すべきである。


 理事会については,オンライン理事会(WEB会議システムを利用した「開催場所のない」理事会)も許容され得るとしているが,管理組合規約の定めを置くべきという考え方のようであるから,適時に規約の見直しをしておくべきであろう。
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社債には利息制限法は適用されるか

2020-06-03 11:22:30 | 民事訴訟等
社債についての利息の支払いの定めに利息制限法の適用があるか(弁護士江木大輔のブログ)
https://ameblo.jp/egidaisuke/entry-12521346471.html
※ 東京地裁令和元年6月13日判決

社債の償還につき利息制限法による制限利率超過分につき不当利得返還が認められた事例(同上)
https://ameblo.jp/egidaisuke/entry-12597396296.html
※ 東京地裁平成30年7月25日判決

「破産した会社(FXの超高速取引システムを利用した投資ビジネスを行うことを謳っていた会社)の破産管財人が提訴した被告が異なる訴訟(利息制限法が定める利率を超過した払いすぎた利息を返還するように求める訴訟)であり,結論が分かれる判断が下されている」(上掲2番目の記事)ということである。

 前者は否定,後者は肯定である。

 社債にも利息制限法が適用されるというのが従来の通説であると思われるが,前者(東京地裁令和元年6月13日判決)は,社債の特殊性故に,これを否定したものであるようである。
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司法書士及び司法書士法人の領収書を,電磁的記録をもって作成することができるようになる

2020-06-03 09:17:30 | 司法書士(改正不動産登記法等)
 コメント欄の御質問の件。

cf. 司法書士法施行規則及び土地家屋調査士法施行規則の一部を改正する省令(案)に関する意見募集
https://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=300080211&Mode=1


 司法書士法及び土地家屋調査士法の一部を改正する法律(令和元年法律第29号)の改正(未施行)に伴い,司法書士法施行規則第29条の規定が次のとおり改正される。

 司法書士及び司法書士法人の領収書を,電磁的記録をもって作成することができるようになる。

 施行期日は,おそらく改正司法書士法の施行の日である。

改正前
 (領収証)
第29条 司法書士は、依頼者から報酬を受けたときは、領収証正副二通を作成し、正本は、これに記名し、職印を押して依頼者に交付し、副本は、作成の日から三年間保存しなければならない。
2 前項の領収証には、受領した報酬額の内訳を詳細に記載しなければならない。

改正後
 (領収証)
第29条 司法書士は、依頼者から報酬を受けたときは、領収証正副二通を作成し、正本は、これに記名し、職印を押して依頼者に交付し、副本は、作成の日から三年間保存しなければならない。

2 前項の領収証は、電磁的記録をもつて作成及び保存をすることができる。

3 第一項の領収証には、受領した報酬額の内訳を詳細に記載し、又は記録しなければならない。
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