今回紹介する日曜美術館は、『変貌するパリを描く ギュスターヴ・カイユボット』です。
私はいままで、その画家を知りませんでした。
印象派コレクションで知られるパリのオルセー美術館。ルノワール、ドガ、モネなど巨匠たち の傑作が並ぶ展示室に、日本ではあまりなじみのない、ギュスターヴ・カイユボット(1848-1894)の絵が飾られています。これまで印象派の画家たちを支えた コレクターとして知られた人物でしたが、近年、画家としての評価が高まっているそうです。
資産家の家に生まれたカイユボットは、その豊富な財力で、まだ評価が低かった印象派の作品を次々と購入し、画家たちを経済的に支えました。その一方、みずからも印象派展に作品を発表します。
パリの人々の日常を描いたその作品は、19世紀末、大きな時代の転換点にあったパリの空気に 満ちていると評され、90年代半ば、欧米で没後100年を記念する回顧展が開かれたのをきっ かけに、再評価が始まったそうです。
印象派といえばこれまで、光や色彩を強調した斬新な表現が注目されてきました。カイユ ボットの作品にはもうひとつ、19世紀の「パリ大改造」のなかで、労働者や身近な家族の日常を、大胆な構図や独特の視点で描いていることだと言います。
淡々と 床を削る職人、町を行き交う人々、街角のペンキ塗り、人々の物憂い表情や後姿からかいまみ える倦怠感は、現代人の孤独を先取りしたものとして、深い共感を呼んでいるそうです。
「建物のペンキ塗り」1877
「ヨーロッパ橋」1876
代表作の一枚、19世紀、鉄道の上に建てられた巨大な橋の風景
橋と行き交う人々を描く
現在のヨーロッパ橋
「夏帽子の自画像」
「床削り」1875
「パリの通り、雨」1877
「見下ろした大通り」1880
「ピアノを弾く若い男」1876
「昼食」1876
「シルクハットの漕手」1877
「マルシャル・カイユボット夫人の肖像」1877
「室内ー窓辺の女性」1880
「室内ー読む女性」1880
「ヨーロッパ橋にて」1876ー77