少し前の「夢の扉」、『第4のがん治療法~ワクチン療法でがんと闘 う』について書きます。
ドリームメーカーは久留米大学がんワクチンセンターの伊東恭悟さん(65歳)です。
余命半年と告げられた胃がんを患った 60代の患者さんが、 宣告から1年7ヶ月が経った今も、なんの支障もない暮らしを続けています。患者さんが受けたのは、外科手術、抗がん剤などの化学療法、放射線療法 に次ぐ、第4の「がんワクチン療法」です。
伊東先生たちが開発した、がんワクチンの仕組みは、がん細胞だけを攻撃する免疫細胞 (キラーT細胞)を活性化させ、その結果、がん の増殖や再発を抑えるというものだそうです。
注目すべきは、それぞれの患者のがんに対し、最大限の効果が出るように、 一人ずつワクチンの中身を変える、テーラーメイド型ワクチンという点だそうです。
開発には大きな困難もありました。
患者に合わせて薬を変えるなんて、非効率的と資金が集まらない厳しい状況におかれます。研究続行のために、なんと、老後のためにと積み立てた、自らの貯金を切り崩して実用化に挑み続けてきたというのです。生活費にも困り、60歳から当直などのアルバイトで生計を支えたそうです。そうして、やっとワクチンが開発されたのです。
ワクチンを使用している65歳膵臓がんの患者さんのケース
抗がん剤とワクチン併用でがんを縮小させたそうです。患者さんは、「余命1年と宣告されたが、治療をはじめて元気に1年以上通ってこられている。」と喜んでいました。
このワクチンは、体内の免疫細胞を活用するため、副作用も少なく カラダに優しいという
効果があります。
一方課題もあり、体力、免疫力が著しく低下していると治療ができない。臨床試験中のため、保険がきかず、完全自費診療で1クール(6~8回)で約70万円という高額なお金が要するということです。それでも頼ってくる患者さんはあとを絶たないと言います。
やがて資金も集まり、今年7月、世界初のがんワクチンセンターが開設されました。そして、今挑んでいるのが、治療に困難を極める脳腫瘍の膠芽腫。5年生存率は6%,患者数は年間1200人だそうです。
現在ワクチンは、医薬品承認まであと一歩の段階まで来ているそうです。
最後に伊東先生は家族への感謝を表していました。先生は、「研究させてもらえるというのは一番贅沢なことをさせてもらっている。理由は好きなことをやっているから。だからお金が貯まることはない。家族に支えあって研究ができる。」と。
見終わり、伊東先生のやさしそうな人柄にホッコリしました。医薬品承認まであと一歩とということですが、早く承認されるといいですね。