京都で定年後生活

2013年3月60歳で定年退職。

美術館と庭園めぐり、京都の四季の行事と花を綴ります。

夢の扉『ワクチンで癌を倒せ』

2013-12-12 06:20:19 | 科学・宇宙・歴史

少し前の「夢の扉」、『第4のがん治療法~ワクチン療法でがんと闘 う』について書きます。
ドリームメーカーは久留米大学がんワクチンセンターの伊東恭悟さん(65歳)です。





余命半年と告げられた胃がんを患った 60代の患者さんが、 宣告から1年7ヶ月が経った今も、なんの支障もない暮らしを続けています。患者さんが受けたのは、外科手術、抗がん剤などの化学療法、放射線療法 に次ぐ、第4の「がんワクチン療法」です。




伊東先生たちが開発した、がんワクチンの仕組みは、がん細胞だけを攻撃する免疫細胞 (キラーT細胞)を活性化させ、その結果、がん の増殖や再発を抑えるというものだそうです。
注目すべきは、それぞれの患者のがんに対し、最大限の効果が出るように、 一人ずつワクチンの中身を変える、テーラーメイド型ワクチンという点だそうです。
開発には大きな困難もありました。
患者に合わせて薬を変えるなんて、非効率的と資金が集まらない厳しい状況におかれます。研究続行のために、なんと、老後のためにと積み立てた、自らの貯金を切り崩して実用化に挑み続けてきたというのです。生活費にも困り、60歳から当直などのアルバイトで生計を支えたそうです。そうして、やっとワクチンが開発されたのです。

ワクチンを使用している65歳膵臓がんの患者さんのケース
抗がん剤とワクチン併用でがんを縮小させたそうです。患者さんは、「余命1年と宣告されたが、治療をはじめて元気に1年以上通ってこられている。」と喜んでいました。
このワクチンは、体内の免疫細胞を活用するため、副作用も少なく カラダに優しいという
効果があります。
一方課題もあり、体力、免疫力が著しく低下していると治療ができない。臨床試験中のため、保険がきかず、完全自費診療で1クール(6~8回)で約70万円という高額なお金が要するということです。それでも頼ってくる患者さんはあとを絶たないと言います。

やがて資金も集まり、今年7月、世界初のがんワクチンセンターが開設されました。そして、今挑んでいるのが、治療に困難を極める脳腫瘍の膠芽腫。5年生存率は6%,患者数は年間1200人だそうです。









現在ワクチンは、医薬品承認まであと一歩の段階まで来ているそうです。
最後に伊東先生は家族への感謝を表していました。先生は、「研究させてもらえるというのは一番贅沢なことをさせてもらっている。理由は好きなことをやっているから。だからお金が貯まることはない。家族に支えあって研究ができる。」と。

見終わり、伊東先生のやさしそうな人柄にホッコリしました。医薬品承認まであと一歩とということですが、早く承認されるといいですね。






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5 コメント

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医学の進歩 (あゆ)
2013-12-12 11:26:19
医学の進歩は目覚ましいですね。
治らないと言われている膵臓癌でも治る日が来るのかもしれません。
まさに精根をつぎ込んで研究する研究者さんたちには頭が下がる思いです。
ただ、その一方で日本の社会保障費は上昇する一方です。
今や税収入と社会保障費が変わらなくなっていますので、
今後はどこまで治療するのかという議論が出てくるのかもしれませんね。
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Unknown (京都で定年後生活)
2013-12-12 18:25:35
あゆさん、いつもありがとうございます。
昨年秋、大学時代の友人を膵臓癌で亡くしました。発見時はすでに手遅れ状態で、開腹手術するもなすすべない状態でした。抗がん剤治療を開始しましたが、その副作用で苦しみ、そして痩せ細って、最後を迎えました。私は友人のそんな姿を見るのがつらく、かける言葉もありませんでした。
そんなとき、考えたのは、私が友人と同じ癌となり、治癒不可能と宣告されたとき、どんな選択をするだろうかということでした。抗がん剤治療は行うだろうかと。
確かに毎年、医療費は増え続けています。抗がん剤も大幅に増えていますが、その医薬品の価格が高すぎると思っています。一方で大手製薬会社の利益率は、一般会社に比べずば抜けて高いのも事実です。
医療費問題には、高すぎる薬価にメスをいれないといけないと考えています。

京都で定年後生活より

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あゆさん、京都で定年後生活さん (「へんちき論」管理人)
2013-12-12 23:00:04
あゆさん、京都で定年後生活さん

お話に割り込ませていただきます。
医療費は本当に高いと思います。問題はそれをどこまで許すかです。

最近では開業している脳外科医も多く、症状が頭痛だけの患者さんでも脳外科を受診するようになりました。
脳外科医はMRIを撮ります。(CTのほうが安いのですが、CTは放射線を使うので、放射線を使わないMRIが今では採用されます。)
費用は1回で5万円くらいかかります。
でも、頭痛だけでMRIに異常が写る患者さんは皆無に等しいのです。

では、なぜそんな無駄なことを脳外科医がするかというと、儲けるためではありません。
10万人に一人くらい脳腫瘍が見つかることがあるからです。
もし、MRIを撮らずにあとから脳腫瘍が見つかったらどうでしょうか?
「脳外科を受診したのに脳腫瘍を見逃された」とその医者はバッシングを受けるでしょう。

たった1例の脳腫瘍を見つけるために、9万9999人が無駄な5万円を支払っているのが、今の医療界の現状です

国民経済から見れば、寝たきりの認知症老人をいつまでも生かしておくのは無駄なのですが、絶対に殺さないという姿勢が現在元気に生きている者にも安心を与えます。
「安心料」として支払わなくてはならない金額というものがあるようです。

薬が高い抗がん剤が高いと簡単には言えない部分が医療にはあります。国民全体の安心のためにはいくらかかるか、という難しい計算をしなくてはなりません。

話の本筋とは違いますが、虫垂炎の手術代は日本では20万円しませんが、アメリカでは200万円以上することを申し添えます。

(金額はすべて健康保険なしの場合です。)
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へんきち論管理人さま (あゆ)
2013-12-13 15:48:52
日本の医療費が他国と比べると異常に安く
その一方で無駄な医療を繰り返しているのは知っています。
アメリカから中途半端に学んだ訴訟制度の影響なのかもしれません。
ただ、アメリカにはそもそも国民皆保険制度がありませんので
高い医療費を払って失敗→訴訟という構図は理解できるのえdす。
でも、日本では税金を投入して不必要な医療を繰り返しているわけで
そのせいで国の財政がひっ迫しています。
80歳を過ぎた人に手術は必要なのか?
抗がん剤は必要なのか?といつも思います。
脳外科の輪番の日に病院に行っていると
タンコブであっても「念のため」みんなCTを撮っています。
不思議な光景です。
欧米では風邪で受診する患者もいなければ
寝たきり老人に胃瘻を施すこともないとか。
ヨーロッパのような医療制度を目指すのであれば無駄な医療を削らなくてはいけませんし
アメリカ型にするのであれば混合診療をするしかありません。
今のままだと将来にツケを回すだけになりそうですね。
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Unknown (「へんちき論」管理人)
2013-12-13 21:06:22
あゆさん、貴重なコメントありがとうございました。
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