りえ子のブログ

前小田原市議会議員田中利恵子です。
今後も子どもたち、高齢者、障がい者が大切にされる市政めざして頑張ってまいります。

地域医療を守るということ

2008年05月24日 | なんたって住民福祉

  「足柄上病院と地域医療を考える」というシンポジウムに参加しました。主催は地域医療の充実と県立病院の直営を求める会。会場は松田町民文化センターで参加者は約100名といったところでしょうか。会場内は医療関係者や住民の方たちでけっこういっぱいでした。
 3人のパネラーからは「地域の状況と足柄上病院」、「独立法人化された国立病院では今」、「公立病院の本来のあるべき姿」というテーマで報告がされて、その後フロアーからの発言、アピールの提案と続きました。

 足柄上病院は言うまでもなく地域の住民や県西地域全体に重要な病院。でも報告にあった現状は厳しかった。平成11年にベット数が333床あったのに今は264床と減。地域要望でできた人工透析が10年で閉められ、耳鼻科の縮小で入院している患者が他の医療機関にわざわざ行かなければならないという事情があったり、お産ではピーク時に月60人もの赤ちゃんを取り上げていたのに今は10人そこそことか。

 また、病院内に独立行政法人に触れた貼り紙があったという件でも報告がされたが、事態は聞いていたより深刻だと思ったのです。報告者は「まだ決まってもいないのに」と語気を強められて患者さんなどへの影響を心配されていました。

 神奈川県には県立病院というと、がんセンター、こども医療センターなど6つの病院があるけど県はこの全てを独立行政法人にしようとしています。独立行政法人にして採算性の重視をしていこうとするもので、不採算部門の医療ができなくなってしまうのではないかという声が上がっています。独立行政法人、このゆくてには何かと問題が多くありそうです。

 報告に横浜市の国立病院機構南横浜病院は経営改善計画の達成ができないとして廃止が言い渡されているとありました。南横浜病院といえば結核医療の拠点としてその名は高く、結核が死亡原因の第一位だった頃に国が政策医療と位置づけてきた病院です。

 報告の中身はこの病院が地域に欠かせない病院だということがよく分かり、結核についても諸外国に比べてかかってしまう人が依然と高かったり、いざというときの新型インフルエンザ対策などに重要な医療機関だと言うことが分かるのでした。

 そして、結核医療など不採算医療が国民の健康や命を守るためにはやらなければならない重要な医療だということが今度のシンポジウムでは最も理解できるのでした。
 
 フロアーからの発言では医療関係者からやはり現場のきびしい実態や頑張っている医療従事者の姿が浮き彫になっていたように思います。
 私からは上病院の実態という点で、今、人工透析患者や耳鼻科の患者さん達はどこでどのように治療されているのかを聞きました。
 
 人工透析患者はこれまでも一日に4名の対応しかできない。耳鼻科の外来は毎日非常に多かったとのことで、いずれにしてもそれまで治療していた患者さんたちが上病院を利用できなくなったということが何よりも大変な状況を物語っていると思うのでした。

 最後にアピール(案)が読まれました。県民の命と健康を守るのが自治体の責任。国の総医療費抑制政策や公立病院改革を先取りするのではなく、県民のための地域医療の充実と県立病院の拡充をすすめようということでした。その通り。

 県西地域医療を守る上で足柄上病院と小田原市立病院の充実はどちらも欠かせない。現在お産ができるのは小田原地域で2施設、足柄上地域で1施設のみ。遠くの病院まで行かなければお産ができないなんてこんなことをいつまで続けさせるつもりなのか。

 県内共産党議員と国政要望ということで国会に行き医師確保のための要望も直接する中で、大学の医学部定員を増やすという回答もいただいたが、何しろ医師を確保するためには全国にある医学部の定員増と医療従事者の働く環境整備に本腰で乗り出さない限り解決が図れないと思うのです。

 先進諸外国から大きく遅れをとる日本の医療、後期高齢者医療制度などと採算重視で命を重んじない政策では世界から見放されると思うばかりです。

 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 四川省の大地震に思う | トップ | さあーはじまった »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

なんたって住民福祉」カテゴリの最新記事