松阪を少し離れている間に中国の浙江省で大きな列車事故がありました。北京発福州(福建省)行きの中国高速鉄道の列車が追突して高架橋から落下するという事故でした。
2005年にJR福知山線の事故を経験している我が国にとっても人ごとと思えない今回の事故でした。しかし私たちが驚いたのは事故より、事故車両を切断して地中に埋めるという、信じられない中国当局の事故処理でした。日本の専門家は、事故車両は事故原因を究明するための貴重なもので、事故原因を検証せずに破壊するなんて考えられないと言っています。この車両の埋め立ては、国内外から多くの批判を受けて車両を掘り返すということになりました。
今の中国は以前の鎖国状態ではなく、中国国内に多くの外国人や外国メディア関係者もおり、またインターネットなどの情報網が発達した今日、臭いものに蓋は通用しない時代です。今回の一連の処理は中国らしいといえば中国らしいのですが、これから海外に中国の新幹線を売り込もうとした時に起きた今回の事故ですが、事故以上に世界からの信用を落としたのは事故後の処理ではなかったのでしょうか。
日本の新幹線は東京オリンピック以来50年の間に約2400㎞敷設されました。中国では北京オリンピック以来わずか5年間で9600㎞の敷設が行われ、今後8年間に新たに6400㎞の敷設が行われる予定で、合わせて16000㎞の新幹線網ができることになります。驚異の新幹線事業の凄まじい速さです。今回の事故もこのような中で発生したものです。日本の新幹線は開業以来、乗客が犠牲になった事故はないということで、安全性の高さを誇っているのですが、安全であるはずの原発で世界の最大級の事故を起こした我が国にとって、中国の列車事故は他山の石として、教訓としなければなりません。