フリーアナウンサー 松原敬生の『今日のエッセイ』

思っている事、感じている事などを自由に綴ります。

沙羅の花

2011-06-16 22:41:20 | Weblog
季節の恒例の行事は数々あります。その中で、何とも言えない品の良さを感じさせる行事に「沙羅の花を愛でる会」があり、平家物語でうたわれた「沙羅双樹の花」で有名な京都の妙心寺塔頭(たっちゅう)の東林院で始まりました。
沙羅の花ははかなさの代名詞のように扱われています。それは平家物語には『沙羅双樹の花の色、盛者必衰の理を表す』と記されているからです。学生時代に良く音読したものですね。沙羅の花が何故はかないかというと、朝に咲いても夕べには散ってしまう花の様子を没落の姿に例えたからです。この平家物語には、さらに『おごれる人も久しからず』と続きますが、このフレーズも有名ですね。ともかく平家から源氏へ、公卿から武士に時代が移った際の物語なのです。
はかない、むなしいと心の中に無常感が横たわったのが、東日本大震災でした。朝、元気に学校に送り出した子供達が夕べにはもういないという現実が襲いかかった例が数多くありました。そして行政には今なお、その無常感に覆われている被災者にどう手を差し延べるかが問われているのです。無常の響き等聞こえない政治をお願いしたいですね。