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恵庭の教会-2,ローマ教皇を頂点に抱く 「カトリック恵庭教会」

2015-04-17 08:58:44 | 恵庭散歩<記念碑・野外彫像・神社仏閣・歴史>

恵庭散歩-「キリスト教会」の章

恵庭市史(昭54)に掲載されているもう一つの教会は,「カトリック札幌司教恵庭教会」である。同誌の1,143ページには僅か3行,「本教会は昭和四十八年七月二十日,駒場町に岡藤広造から境内地の寄付を受け,教会聖堂,司祭館を建設,伝道に当って今日に至っている」とあるが,その後どうなっているのだろう? 何処にあるのだろう?

  

2.カトリック恵庭教会

所在地は恵庭市駒場町5丁目,JR恵庭駅の南方向1.8km,徒歩だと25~30分かかる。恵庭公園大通りから,ユカンボシ川河畔公園彫刻広場に向かう道路を進むと分かり易いかも知れない。住宅地の中にあるが,十字架と礼拝堂のレリーフが教会を印象付けている(写真は2015年3月撮影)。教会堂名は聖ヨセフ,カトリック札幌司教区に属するカトリック系の教会である。市街地であるが,教会内に駐車場スペースは確保されている。昭和48年(1973),駒場町に岡藤広造から境内地の寄付を受け,教会聖堂と司祭館を建設して伝道にあたった「カトリック札幌司教恵庭教会」が前身である。

カトリック札幌司教区のHP(2015.4.11)によれば,同教会の司祭は現在James J Mylet司祭(メリノール宗教会)とある。日曜日9時から主日のミサが行われている。なお,カトリック教会では,主の降誕(クリスマス,12月25日),復活の主日(復活祭,春分の日後の最初の満月後の主日),主の公現(1月2日~8日の間の主日),主の昇天(復活節第7主日),聖霊降誕の主日(復活の主日後50日目),聖母の被昇天(8月15日),諸聖人(11月1日)などが主な祝祭日とされる。

◇カトリック教会

なお,カトリック教会ローマ教皇を中心として,全世界に12億人以上の信徒を有すると言われるキリスト教最大の教派である。総本山は,バチカン市国のカトリック教会で,サン・ピエトロ大聖堂はよく知られている。ローマ教皇はバチカンに居住する(現在はフランシスコ教皇,先代ベネデイクト十六世,先々代ヨハネ・パウロ二世)。

カトリック教会の特徴は,ローマ教皇に使徒ペトロの後継者として絶対的な権力を集中した点であろう。教皇(使徒ペトロの後継者と位置づけ,カトリック教会の総代表者。全カトリック教会の裁治権と統治権を持つ),枢機教団(教皇の顧問団。教皇庁で働く高位聖職者や重要な司教区の司教から任命される),司教(教区の責任者として教区内の教会を統治する,キリストの代理者),司祭・助祭(司教を補助する)から成るピラミッド型組織で形成されている。更に,修道会組織があり,清貧・貞潔・従順の誓願を立て,祈りや修行に専念するほか,教育,福祉,医療など諸活動を行っている。

16世紀には,権力と手を結んだ教会体質の腐敗が進んだことから宗教改革が起き,プロテスタントが生まれた歴史を有する。その後は内部改革が進み,イエズス会のような世界宣教ミッションの活躍もあり,現在では多くの信徒を抱えている。かつて(1982年),イギリスとアルゼンチンが争った「フォークランド紛争(マルビナス戦争)」で,終戦の労をとれるのは教皇しかいないのではないかと囁かれていたことを思い出す。

◇日本におけるカトリック教会の歴史

日本における歴史を振り返ってみよう。

フランシスコ・ザビエル渡来と宣教:わが国におけるカトリックの宣教は天文18年(1549),イエズス会員聖フランシスコ・ザビエルの鹿児島渡来によって始まった。当時,イエズス会の他にもフランシスコ会,ドミニコ会,アウグスチノ会など会員が来日し布教に努めた。慶長9年(1614)には,信徒数が65万人を超えたと言われる。

禁教の時代:天正15年(1587)豊臣秀吉の時代に禁教令が敷かれ,迫害が続いた。

再宣教開始:安政4年(1857)鎖国令が解除されると領事館付き司祭が来日,横浜に初めて教会が建てられた(1862)。また,長崎の大浦天主堂も建設された(1865)。

信教の自由と教会の発展:明治22年(1889)帝国憲法発布により信教の自由が確保され,各地に教会が建設された。同時に,修道会が招待され,学校,病院などの事業を進める傍ら宣教が行われた。

ローマ教皇庁との関係:第二次世界大戦後に,バチカンから大司教の任命派遣がなされた。

邦人機卿の誕生:昭和35年(1960)土井大司教がローマ教皇より日本人初の枢機卿に任じられた。

16教区3管区時代:現在わが国のカトリック教会は16教区に分かれ,それぞれ教区長には日本人司教が任命されている。

◇日本カトリック教会の現勢

ところで,カトリック教会の現勢はどのようなものか? カトリック中央協議会「カトリック教会現勢2013」によれば,全国信者数は447,719人(人口の0.35%,長崎が4.3%と多い),教会数(集会所を含む)は991,修道院が819,教育施設(幼稚園から大学まで)847,司祭(司教を含む)1,409人,助祭45人,聖職者1,454人,修道士177人,修道女5,303人となっている。

◇カトリック札幌司教区

カトリック札幌司教区は司教館及び教区事務所を札幌市北1条東6丁目においている。司教(札幌司教区の代表)が在籍する「北一条教会」が司教座聖堂である。現在の司教はベルナルド勝谷太治被選司教,ほか地主敏夫名誉司教及び17名の司祭を擁する。また,各地の宣教会や修道会・他教区で働く司祭は,フランシスコ会,パリ外国宣教会,メリノール宣教会,マリア会,厳律シート会,イエズス会,韓国護政府教区等から派遣されている。

例えば,トラピスト修道院(厳律シート会)や十勝カルメン修道院(カルメン修道会)は,クッキーやジャムなどを販売しているので観光客にも知られている。また,修道会・宣教会活動による北海道内教育機関は,光星中学・高校(マリア会),ラ・サール中学・高校(ラ・サール会),白百合学園(聖パウロ修道女会),藤女子大(フランシスコ修道会),聖心女子学院(聖心会),天使大学・幼稚園(フランシスコ会)等で,数が多い。

参照:恵庭市史(昭和54),日本カトリック中央協議会HP,カトリック札幌司教区HP

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