豆の育種のマメな話

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大豆「ユキホマレ」とその改良品種群開発グループ,日本育種学会賞受賞

2017-04-17 17:19:41 | 北海道の豆<豆の育種のマメな話>

北海道立総合研究機構十勝農業試験場大豆育種グループ(代表,田中義則)が,平成28年度日本育種学会賞受賞の栄に輝いた(平成29329日)。受賞題目は,「複合障害抵抗性と機械収穫に優れた大豆品種ユキホマレとその改良品種群」である。

日本育種学会賞は,一般社団法人日本育種学会が「優れた学術的あるいは技術的業績に対して授与し,顕彰する」もので,学会最高の栄誉である。昭和28年(1953)に育種学会賞第1号を北海道大学 長尾正人 教授が受賞してから今年で64年目,第135号の受賞者となった。

なお,豆類関係者の受賞は,主要作物のイネに比べると少なく,これまで10件を数えるのみで(表に示した),本受賞は誠に喜ばしい。学会賞候補として推薦賜った農業研究センター及び審査頂いた関係者の皆様に御礼申し上げたい。

受賞講演の中で,代表の田中義則氏は「これらユキホマレとその品種群は,関係農試,農業改良普及センター,生産者団体,国産大豆品質協議会,加工メーカーによる各種試験の実施,旧大豆指定試験を育種基盤にイネゲノム,DNAマーカー,農食事業プロジェクトによる先進技術の開発と導入,ダイズ研究コミュニテイによる助言など多くのご支援があり育成することが出来た。あらためて関係の皆様に深く感謝申し上げる」と謝辞を述べ,これからも「ぶれない育種戦略」「柔軟な育種戦術」をもって,励みたいと決意を述べた。

育成従事者は,田中義則,湯本節三,黒崎英樹,山崎敬之,鈴木千賀,三好智明,白井滋久,荻原誠司,大西志全,山口直矢,冨田謙一,松川 勲,土屋武彦,白井和栄,角田征仁の15名である

標記受賞に関連して,平成29415日,札幌ガーデンパレスで「日本育種学会賞 受賞祝賀会」が挙行された。直近に育種学会賞を受賞した,北海道の以下4受賞グループを祝う会である。

①    北海道立総合研究機構十勝農業試験場大豆育種グループ(代表 田中義則):複合障害抵抗性と機械収穫に優れた大豆品種「ユキホマレ」とその改良品種群の育成,平成28年度育種学会賞受賞,第135

②    北海道向け良食味水稲品種育成グループ(代表 佐藤 毅):低アミロース遺伝資源を利用した北海道向け良食味水稲品種の育成,平成28年度育種学会賞受賞,第133

③    北海道立総合研究機構北見農業試験場コムギ「きたほなみ」育成グループ(代表 柳沢朗):多収性,加工適性および穂発芽耐性に優れた北海道向け秋播コムギ品種「きたほなみ」の育成,平成26年度育種学会賞受賞,第129

④    超強力小麦「ゆめちから」育成グループ(代表 田引 正):北海道の秋播栽培に適した超強力小麦品種「ゆめちから」の育成,平成25年度育種学会賞受賞,第125

これらの受賞は,北海道の育種事業が関係者の努力により実を結び,育成品種が北海道農業に大きな貢献をしていることの証である。

祝賀会では,北海道庁農政部長小野塚修一様,農研機構北海道農業研究センター所長勝田真澄様,JA北海道中央会常務理事村上光男様,ホクレン農業協同組合連合会米穀事業本部長穴田繁俊様,北海道大学教授貴島祐治様,道総研理事長丹保憲仁様,道総研農業研究本部長志賀弘行様らから祝辞やご挨拶があった。

退職後17年,育種現場を離れてから25年になる筆者が,育成グループの端っこに名前を連ねるのは面はゆい限りだが,これこそ育種の継続性を示すものかもしれない。「育種は継続,育種は総合,育種は人間性、育種は挑戦」と言い続けてきたことは間違いでなかったようだ。

育種心が受け継がれていることが何より嬉しい。

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