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恵庭の樹-1、品位と長寿を誇る「市の木、イチイ」

2022-04-24 13:12:11 | 恵庭散歩<花のまち、花だより、自然観察>

わが家の記念樹

平成4年(1992)恵庭市恵み野に住宅を建てた。住民票移動など一連の転入手続きを終えると、恵庭市から「市の木、イチイ(オンコ)苗木」をプレゼントすると言うので、早速入手して庭に植えた。30年余り前のことである。その後は素人の刈込で半球仕立てにし、出葉時の瑞々しさを愛で、秋には小鳥たちが赤い実を啄ばむのを楽しんでいる。現在、樹高1m強、樹幹径10cmほどになっている。

この時初めて、恵庭市の「市の木」はイチイ、「市の花」はスズラン、「市の鳥」はカワセミだと知った。「市の木」「市の花」を制定したのは市制施行から3年後の昭和48年(1973)である。市のホームページには「市の木イチイは四季を通じて緑葉を残し、風雪に耐え抜く力強さは長寿の象徴とされています」「初夏の訪れとともに、島松原野にはスズランの花が咲き誇ります。スズランは幸福の花とも呼ばれ多くの市民に親しまれています」と選定の理由が記されている(なお、「市の鳥」カワセミを制定した平成8年)。

因みに、イチイを市の木に指定している市町村は多く、恵庭市の他に北見市、函館市、富良野市、今金町、共和町、清里町、小平町、中川町、当麻町、東神楽町、美幌町、むかわ町、由仁町、西興部村、奥尻町、せたな町、北竜町、八雲町がある。北海道では風雪に耐える姿に人気があるのだろう。また、岐阜県が県木として指定している(北海道はエゾマツ)。

 

◆イチイ(一位、櫟、学名:Taxus cuspidata Sieb. et Zucc、英名:Japanese Yew)北海道では通常オンコと呼ぶが和名はイチイ。イチイ科イチイ属の常緑針葉樹である。名前の由来は、神官が使う笏がイチイの材から作られたことからシャクノキ(笏木)とも呼ばれたが、仁徳天皇がこの樹に正一位を授けたので「イチイ」の名が出たとされている。別名アララギとも称され、アイヌ語ではクネニ(アイヌは弾力性に富むことからイチイを狩猟用の弓を作る材料として使用したことから、「弓の木」の意味「クネニ」と呼んだ)。

分布:北海道、本州、四国、九州、沖縄、千島列島、中国東北部、朝鮮半島

形態:常緑針葉樹の高木。樹高は10~15mほどになるが、暗い場所で育つため生長は遅い。幹の直径は50~100cmほどになるが、30cmになるまでに100年はかかると言われている。葉は羽状に互生、濃緑色、線形で先端が尖る。

生態:花期は3~4月、雌雄異株、小形の花をつける。初秋に赤い実をつける。種子は球形で、杯状で赤い多汁質の仮種皮の内側におさまっている。果肉は甘く食べることができるが、種子には有毒成分アルカロイドのタキシンが含まれ中毒(痙攣や呼吸困難)を起こす。

植木:耐陰性、耐寒性で刈り込みにも耐えるため、庭木や生垣に利用される。また、北海道ではサカキの代わりに玉串など神事に用いられ、神社の境内にも植えられる。

材質:年輪の幅が狭く緻密で狂いが生じにくい。また、紅褐色をした美しい心材が多く加工し易いことから、工芸品、器具材、箱材、机の天板、天井板、鉛筆材として用いられる。岐阜県飛騨地方の一位一刀彫が有名。<参照:Wikipedia、北海道の森林植物図鑑(北海道林務部監修)、樹木図鑑(日本文芸社)>

「市の木」の所以だろうか、恵庭市内にはイチイをよく見かける。多くは生垣や刈込をした庭木であるが、深山から運び出した大木を移植した庭(建設会社、造園会社など)もある。そのような古木を見ると、樹齢何年か、売買するとしたらどの位の値が付くのか下種は勘繰る。

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