豆の育種のマメな話

◇北海道と南米大陸に夢を描いた育種家の落穂ひろい「豆の話」
◇伊豆だより ◇恵庭散歩 ◇さすらい考
 

ケブラッチョ,斧も折れる硬さ,皮の「なめし」に使われた

2012-03-03 10:07:08 | 南米で暮らす<歴史・文化・自然>

南米の樹-4

アルゼンチン北部,ボリビア南部からパラグアイ北部にかけてのグラン・チャコと呼ばれる地帯に植生する「ケブラッチョ」という樹がある

 

最初にこの名前を聞いたのは,1978年(昭和53)アルゼンチンに滞在していた頃のことであったと思う。

「ケブラッチョ,極めて硬い木だ。牧場の柵,鉄道の枕木にしか使えない。この木から取れる渋(植物性タンニン)が昔から皮の鞣しに使われたこと,鉄道敷設が進み需要が増えたため,乱伐が進んだ」

大使館の松田さんが話してくれた。

 

「ケブラッチョですか?」

「材が硬いことから斧を折る,という意味があるのだそうだ」

 

斧が折れるほど硬いと言うことなのだろう。Quebrado(割れた,壊れた),Quebradizo(割れやすい,壊れやすい)の意味から来たのか・・・。

Que! Braceado(何てこっちゃ,何度も斧を振らせやがって)としたら,こじつけですか?」

 

思いつきを言ってみた。だが,返答はなかなかったような気がする。聞いたかも知れないが,覚えていない。ただ,その時のケブラッチョと言ったMさんの発音と,何しろ硬い,枕木,タンニンの単語だけが記憶に残っている。確かな語源を聞いておけばよかった。

 

ケブラッチョの名前は近年,日本でもよく耳にする。アルゼンチンの優れた市場材として認知度が高い。

 

ケブラッチョQUEBRACHO, Schinopsis lorentzii

心材は赤褐色で極めて硬く,加工も難しい。枕木,牧場の柵など耐用性を重視する材として使用された(枕木として4050年はもつという)。皮なめしに使う「渋」(タンニン)を取るため大量に伐採された。植物性タンニンは日本も輸入している。

 

高さ1020m,直径5060cm,花色は淡い黄緑,木肌は白色と褐色の二種類がある。辺材は肌色と褐色であるが,内部より渋が出て紫黒色となる。

 

なめし技術には,植物性担任を使う「タンニンなめし」と塩基性硫酸クロムを使う「クロムなめし」がある。クロムなめしは,工程の省力化,製品のソフト感などメリットもあるが,焼却により六価クロムが発生するなどの問題があり,処分には注意が必要だという。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする