竹取翁と万葉集のお勉強

楽しく自由に万葉集を楽しんでいるブログです。
初めてのお人でも、それなりのお人でも、楽しめると思います。

万葉集 集歌1972から集歌1976まで

2021年06月30日 | 新訓 万葉集
集歌一九七二 
原文 野邊見者 瞿麥之花 咲家里 吾待秋者 近就良思母
訓読 野辺(のへ)見れば撫子(なでしこ)し花咲きにけり吾(あ)が待つ秋は近づくらしも
私訳 野辺を眺めるとナデシコの花が咲いている。私が待つ秋が近づいてきたようだ。

集歌一九七三 
原文 吾妹子尓 相市乃花波 落不過 今咲有如 有与奴香聞
訓読 吾妹子(わぎもこ)に楝(あふち)の花は散り過ぎず今咲けるごとありこせぬかも
私訳 私の愛しい貴女に逢う、その言葉のひびきではありませんが、楝(あふち)の花は散り去らず、今、咲いているようにずっと貴女に逢えるように、その楝は咲いていないでしょうか。

集歌一九七四 
原文 春日野之 藤者散去而 何物鴨 御狩人之 折而将挿頭
訓読 春日野(かすがの)し葛(ふぢ)は散りにて何をかも御狩(みかり)し人し折りて挿頭(かざ)さむ
私訳 春日の野の藤の花は散ってしまっているが、さてこれからは何の花を御狩りの人々は手折って髪に挿すのでしょうか。

集歌一九七五 
原文 不時 玉乎曽連有 宇能花乃 五月乎待者 可久有
訓読 時ならず玉をぞ貫(ぬ)ける卯の花の五月(さつき)を待たば久(ひさ)しくあるべみ
私訳 まだその時節ではないのだが、薬玉として紐を貫いているような卯の花が、その花咲く五月を待っていると待ち遠しいのでしょう。

問答
標訓 問答
集歌一九七六 
原文 宇能花乃 咲落岳従 霍公鳥 鳴而沙渡 公者聞津八
訓読 卯の花の咲き散る岳(をか)ゆ霍公鳥(ほととぎす)鳴きてさ渡る公(きみ)は聞きつや
私訳 卯の花の咲き散る丘からホトトギスが鳴きながら渡って行く。貴方はその「カツコヒ」と啼く、その鳴き声を聞きましたか。

コメント
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