竹取翁と万葉集のお勉強

楽しく自由に万葉集を楽しんでいるブログです。
初めてのお人でも、それなりのお人でも、楽しめると思います。

万葉集 集歌1957から集歌1961まで

2021年06月25日 | 新訓 万葉集
集歌一九五七 
原文 宇能花乃 散巻惜 霍公鳥 野出山入 来鳴令動
訓読 卯の花の散らまく惜(を)しみ霍公鳥(ほととぎす)野し出で山入り来鳴き響(とよ)もす
私訳 卯の花(有の花)が散るのを惜しんでホトトギスが野原に出たり山に入ったりして飛び来て、その鳴き声を響かせる。

集歌一九五八 
原文 橘之 林乎殖 霍公鳥 常尓冬及 住度金
訓読 橘し林を植ゑむ霍公鳥(ほととぎす)常に冬まで住(す)み渡るがね
私訳 橘の林を植えましょう。ホトトギスが常に冬までここに住み続けるでしょうから。

集歌一九五九 
原文 雨晴之 雲尓副而 霍公鳥 指春日而 従此鳴度
訓読 雨(あま)晴(は)れし雲にたぐひて霍公鳥(ほととぎす)春日(かすが)をさして此(こ)ゆ鳴き渡る
私訳 雨が晴れ流れ行く雲に添うようにホトトギスが春日の里を目指してここから鳴き渡って行く。

集歌一九六〇 
原文 物念登 不宿旦開尓 霍公鳥 鳴而左度 為便無左右二
訓読 物思ふと寝(ゐ)ねぬ朝明(あさけ)に霍公鳥(ほととぎす)鳴きてさ渡るすべなきさふに
私訳 貴方への恋の物思いに寝られぬ朝明けに、ホトトギスが「それはカツコヒ(片恋)」と鳴きながら飛び渡って行く。やるせなさが一層に募るほどに。

集歌一九六一 
原文 吾衣 於君令服与登 霍公鳥 吾乎領 袖尓来居管
訓読 吾(あ)が衣(ころも)君に着せよと霍公鳥(ほととぎす)吾(われ)をうながす袖に来(き)居(ゐ)つつ
私訳 ねえ、貴方。私の衣を共寝の床の貴方の体に被せなさいと、ホトトギスが私をそそのかします。その私の衣の袖に飛び来て絵柄として留っていますよ。

コメント
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